芍薬(シャクヤク)の花言葉
芍薬の花言葉は、多彩であるようでいて、いずれも「慎ましく清らかで芯が強い」という理想的な人物像に連なる。とりわけ日本ではスッと直立する芍薬の美しさが、美しい女性の立ち姿の比喩として用いられ、「立てば芍薬 / 座れば牡丹 / 歩く姿は百合の花」という言い回しで今に伝わっている。
西欧においても芍薬(peony)は殊に美しい花とされる。美しい花の代表格といえばバラが挙げられるが、芍薬は、フランスでは「聖母のバラ」といい、イタリアやスペインでは「山のバラ」という異名を持つ。
芍薬(シャクヤク)の花言葉の由来
#(1)芍薬(シャクヤク)の見た目からつけられたという説芍薬には、「はにかみ」「恥じらい」「謙虚」といった花言葉があるが、これは、昼間花びらを開いていた芍薬が夕方には閉じてしまうといった性質があることから、女性が恥ずかしがっている姿が連想されてつけられたといわれている。
#(2)ギリシャ神話からつけられた説
芍薬には、「必ず来る幸せ」といった花言葉もある。これは、ギリシャ神話のなかで、芍薬の根を用いたことで黄泉の国の王の病気を治したという話に由来し、「病気を打ち払い災いから人を守る」という意味からつけられたという。 この花言葉から、芍薬はウェディングブーケに使われることも多い。
芍薬(シャクヤク)の英語の花言葉
英語での花言葉には、「bashfulness(恥じらい、はにかみ)」、「compassion(思いやり)」などがある。意味として、日本の花言葉とほとんど変わらないが、「はにかみ」という花言葉は、はにかみ屋の妖精が隠れていた花だからというイギリス民話がもとになったという説がある。また、はにかみ屋の妖精が芍薬の花に隠れたところ、妖精の頬と同じように花も一緒に赤らんだ様子から、英語では、頬を赤く染めて恥じらっている状態を表現する慣用句に「blush like a peony」といったフレーズもある。これは、芍薬(シャクヤク)が英語名で「peony(ピオニー)」と呼ばれ、英語表現「blush like a peony」が「顔を真っ赤にする]と日本語訳されることにも関連するといえる。芍薬の英語名は「peony(ピオニー)」、学名は「Paeonia」である。これらは、ギリシャ神話に登場する医療を司る神「パイエオン」に由来している。ギリシャ神話のなかで語られるエピソードに、女神レトが出産で苦しんでいる時に、医療の神パイエオンが芍薬の薬効を使って痛みを和らげてあげるといった場面がある。このことから、パイエオンはゼウスに認められる存在となるが、一方で医神とも呼ばれていたパイエオンの師匠アスクレピオスに嫉妬され、殺害されてしまう。しかし、このことを哀れにおもった女神レトが、パイエオンを芍薬として生き返らせたといった内容である。
また、ギリシャ神話において薬として利用されていた芍薬は、実際に薬効がある植物として知られている。たとえば、芍薬の中で根の部分は漢方薬として用いられており、日本でも馴染みのある「葛根湯」は鎮痛や風邪の諸症状に効果があるとされている。そのほか、英語圏における芍薬の花言葉は花の形が似通っている「牡丹(ボタン)」とあまり区別されていないため、牡丹も英語名で「peony(ピオニー)」と呼ばれている。
芍薬(シャクヤク)色別の花言葉の解説
まず、ピンク色の芍薬(シャクヤク)の花言葉に「恥じらい」「はにかみ」「生まれながらの素質」がある。可憐で優しい女性をイメージできるピンク色の芍薬はウェディングブーケとして多く使われる。そして、白色の芍薬の花言葉には「恥じらい」「はにかみ」「満ち足りた心」「幸せな結婚」がある。白い色には純真、無垢、清楚というイメージがあるため、こちらもウェディングブーケに使われることが多く、人気もあるようだ。また、赤い色の芍薬の花言葉は「威厳」「荘厳」「誠実」である。ピンクや白などの色と違って女性の芯の強さが際立つような花言葉であり、赤い色からは上品でいて大胆なイメージが表現されるため、目上の女性への贈り物に向くとされる。たとえば、それが、強く美しい「母親」の存在に重なることで、母の日のプレゼントとして贈られることもある。そのほかに、紫色の芍薬の花言葉として、「怒り」「憤怒」が挙げられる。 ほかの色と意味が全く変わってしまうため、お祝いや贈り物で手渡すには不向きといった認識がある。ただ、他の色より目を惹くような色味であるため、豪華なイメージを出したいときに飾ることもあるようだ。共通の花言葉として、芍薬には 「必ず来る幸せ」といった意味がある。そのため、一部の色を除けば、恋人や大事な人への贈り物として喜ばれるだろう。
芍薬(シャクヤク)本数別の花言葉の解説
芍薬(シャクヤク)には、「献身」「誠実」という花言葉もある。これは、「百夜通い伝説」で語り継がれる芍薬100本の話に因んだ花言葉になる。「世界三大美女」の一人小野小町は、才女として知られており、当時数多くの男性から求婚されていた。その男性のなかから、何度も小町に恋文を送り続けてきた深草少将に対して、「大事に育てていた芍薬が少なくなってしまったので、毎晩1株づつ植えて100株になったら結ばれましょう。」といった内容の返事をした。それから、少将は、毎晩のように山のなかから芍薬を探し、1株づつ植え続けたという。しかし、毎晩のように芍薬を運んだものの、残り1本を残して息を引きとってしまったことから、小野小町は、彼が植え続けた99本の芍薬を思い浮かべて「法実経の花」を作ったというエピソードもある。二人は契りを交わすことはできなかったものの、深く誠実な愛で繋がっていたとして語り継がれている。この話から、100本の芍薬から「献身」「誠実」といった花言葉の意味をイメージすることができる。芍薬(シャクヤク)の怖い花言葉
芍薬(シャクヤク)の花言葉から、全体的に女性の美しさや奥ゆかしさ、満ち足りた心をイメージすることができる。このように、ポジティブな花言葉が多いことや、咲きぶりが豪華で香りなどがよいこともあり、誕生日や結婚式などのお祝いの場でも多く利用されている。ただ、花言葉の意味を込めて花を贈る際は、花の色には注意が必要になる。紫色の芍薬の花言葉には、「怒り」「憤怒」といった少し怖い意味がある。これは、「美しいピオニーが、ゼウスの子アポロンと恋に落ち、その後2人の仲の良い様子をアポロンの大叔母にあたる美の女神アフロディーテに見られてしまう。その様子をアフロディーテに見られて恥じらったピオニーがとても美しかったことで、その姿に嫉妬したアフロディーテがピオニーを花に変えてしまった。」という、美しい妖精に嫉妬した美の女神が起こした怖ろしいギリシャ神話に基づいている。このことから、人のネガティブな気持ちを呼び起こしてしまうほど美しい芍薬には、「怒り」「憤怒」といった花言葉がつけられている。芍薬の花を贈る際は、芍薬にはポジティブで女性的なイメージのものばかりではなく、マイナスなイメージの花言葉もあることを知った上で選ぶといいだろう。※ 花言葉の内容は諸説あります。
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