艦隊の再編
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 14:57 UTC 版)
第十一戦隊によるヘンダーソン飛行場砲撃が失敗したことで、山本五十六連合艦隊司令長官は外南洋部隊にガ島飛行場制圧射撃を下令し、同部隊は第7戦隊(司令官西村祥治少将:鈴谷、摩耶)を基幹とする支援部隊(第七戦隊、天龍、夕張、巻雲、風雲)に飛行場砲撃任務を与えた。支援隊および主隊(第八艦隊:鳥海、衣笠、五十鈴、朝潮)は13日午前中にショートランド泊地を出撃するとガダルカナル島へ向かい、13日深夜に鈴谷、摩耶による飛行場砲撃を成功させた。しかし飛行場の損害は限定的であり、14日午前6時以降同飛行場を発進したアメリカ軍機の空襲により、衣笠が艦橋前部に直撃弾を受け、至近弾と魚雷命中などによって機関と舵が故障し、0922(午前9時22分)に沈没し、鳥海、摩耶、五十鈴もそれぞれ損傷被害を受けた。また14日夜の揚陸命令を受けていた増援部隊(司令官田中頼三少将、第二水雷戦隊/田中少将兼務:早霜・親潮・陽炎・海風・涼風・高波・巻波・天霧・望月、および輸送船11隻)もアメリカ軍機の波状攻撃を受けて輸送船6隻が沈没し、1隻が被弾後退する被害を受けた。低速の輸送船がガダルカナル島へ到着し物資を揚陸するにはアメリカ軍飛行場の機能を破壊ことが必要であり、連合艦隊は既に14日8時30分の時点で以下の兵力部署を発令していた。 ○射撃隊(前進部隊指揮官直率)司令官:近藤信竹中将(第二艦隊司令長官) 旗艦愛宕 第四戦隊(重巡洋艦:愛宕、高雄) 第十一戦隊(戦艦:霧島) 第十戦隊(軽巡洋艦:長良/第四戦隊直衛)駆逐艦:(電、五月雨) ○直衛(第四水雷戦隊司令官) 第四水雷戦隊(旗艦/駆逐艦:朝雲) 第十一駆逐隊(白雲、初雪) 第六十一駆逐隊(駆逐艦:照月/霧島後方警戒) ○掃討隊(第三水雷戦隊司令官) 第三水雷戦隊(軽巡洋艦:川内/前路掃討)第十九駆逐隊(駆逐艦:浦波、敷波、綾波) 一方、アメリカ軍は南太平洋部隊指揮官ウィリアム・ハルゼー中将のもと、第16任務部隊/司令官トーマス・C・キンケイド少将指揮下の空母エンタープライズ、戦艦ワシントン (USS Washington, BB-56)、サウスダコタ(USS South Dakota, BB-57) を戦場に投入していた。ガダルカナル島への増援を諦めない日本軍に対し、ハルゼー中将は艦隊を分離しウィリス・A・リー少将が率いる第64任務部隊に水上戦闘による日本艦隊撃退と飛行場防衛を命じた。第64任務部隊の主戦力は、大和型戦艦と同時期に建造された新鋭ノースカロライナ級戦艦のワシントン、サウスダコタ級戦艦のサウスダコタおよび2隻が搭載する計18門の40cm砲であった。艦隊決戦に向けて、米艦隊の将兵の士気は非常に高かった。一方、アメリカ軍が戦艦2隻をガ島へ投入しつつある事は日本軍も察知しており、宇垣纏連合艦隊参謀長は手記戦藻録の中で『サボ島の西十五浬駆逐艦四、大巡又は戦艦二針路七〇度の電あり。彼も我攻撃隊の南下を認め戦艦を進入せしめたるか、戦艦對戦艦の夜戦蓋し本夜を以て嚆矢とす』と著した。ただし近藤前進部隊指揮官は14日15時35分に「(一).今夜敵巡洋艦駆逐艦各数隻、サボ島附近に出現の算大なり (二).右の場合は一時陸上砲撃を中止し、敵を撃滅したる後再興の予定」と下令し、索敵機の報告もそれを裏付けるものであったため、敵主力艦隊はガダルカナル島海域に出現しない、と評価していた。
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