自己破産へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/18 07:11 UTC 版)
地方公演を主とする劇団の多くは、慢性的な財政困窮に苦しんでおり、ふるさときゃらばんも設立当初から劇団員に清貧な生活を強いていた。演劇の中でも特にミュージカルは1回の出演俳優が多数のため、安定的な財政基盤の確保は急務とされていた。大内代表の方針の基「公演活動だけで食べていく」ことを目標とし、劇団活動に集中するためアルバイトは禁止、株式会社組織とし劇団員は会社員として給与が支払われていた。そのためには制作がコンスタントに公演を決めていく必要があり、各地の公演を成功させる独自の制作システムが確立され、安定した劇団活動が高く評価されていた。 やがて、劇団では企業スポンサーを獲得し、企業広告やユニットイベントを開催する動きが出てきた。統一劇場時代から商業主義とは一線を画す舞台を行ってきた劇団員や関係者からは疑問の声もあったが、安定した生活収入を望む劇団員からは歓迎された。以後、従来の地道な地方巡演の路線と大企業の社会メセナをバックにした公演活動の二つのスタイルが確立されていった。 上記の流れから、近年は中央省庁のほか、地方自治体や公共団体が主催するイベントを企画・出演する機会も多く、設立当初の理念との解離を指摘する声もあった。前述の棚田イベントには農林水産省の関連団体から後援があったほか、リバーミュージカル「川と人と橋のものがたり」では国土交通省の支援を受けた。2008年2月には国土交通省の道路特定財源から約5億円が支出されたミュージカル「みちぶしん」に対する委員会質問により、劇団自体も「税金のムダ使い」を指摘するマスコミの批判を受けた。ミュージカル「地震カミナリ火事オヤジ」も総務省消防庁やその関連団体から助成を受けた。 劇団の人脈は多岐に渡り、劇団新制作座の流れから革新や保守、幅広い政治家とも交流があった。後半は保守化、商業主義化との批判もあった一方、地方にミュージカルを普及させた功績や、熱烈な地方応援団の存在など、劇団を支持する声も多かった。全盛期の所属劇団員は約100名であった。 設立当初から人件費や機材運搬などの費用負担が大きなネックとなっており、企業などのスポンサーからの支援に依存している部分が多かった。しかし、世界的な経済不安によって撤退するスポンサーが出るなど、経営状態は悪化していった。このため、出演者を含めた全従業員の雇用形態を変更(正社員→契約社員)するなどのリストラ策を講じてきたが、2010年2月8日、東京地裁に自己破産を申請、同月17日に破産手続き開始決定を受けて倒産した。同劇団が映画製作のために設立した「株式会社ふるきゃらシネマ」も22日までに同様に破産手続き開始決定を受けた。負債は2社合計で6億4700万円と報じられた。
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