線積分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/01 08:27 UTC 版)
線積分の対象となる函数は、スカラー場やベクトル場などとして与える。線積分の値は場の考えている曲線上での値に曲線上のあるスカラー函数(弧長、あるいはベクトル場については曲線上の微分ベクトルとの点乗積)による重み付けをしたものを「足し合わせた」ものとなる。この重み付けが、区間上で定義する積分と線積分とを分ける点である。
物理学における多くの単純な公式が、線積分で書くことによって自然に、連続的に変化させた場合についても一般化することができるようになる。例えば、力学的な仕事を表す式 W = F⋅s から曲線 C に沿っての仕事を表す式 W = ∫CF⋅ds を得る。例えば電場や重力場において運動する物体の成す仕事が計算できる。
弧長変数と線素
n 次元実多様体 M の領域 Ω を考える。局所的には Ω ⊂ Rn と考えることができる。Ω 内の滑らかな曲線 γ: I → Ω が r = γ(t) = (γ1(t), γ2(t), …, γn(t)) で与えられているとき、s = s(t) が γ の弧長変数であるとは、それが線分 γ に沿って端点から測った γ の弧長を与えるものであることを言う。いま γ はなめらかであるから、その弧長は区間 I = [a, b] 上の各点 t0 に対して
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ベクトル場内の曲線に沿った粒子の軌跡。下に表示されているのは、曲線に沿って粒子が動いたときに粒子が出会う場のベクトルである。それらのベクトルと軌跡の各点における曲線の接ベクトルとの点乗積の和を取ったものが、求める線積分になる。
ベクトル場の線積分も、スカラー場の線積分の場合とよく似た方法で導ける。ベクトル場 F、曲線 C、媒介表示 r(t) は上記の如くとして、リーマン和を構成しよう。区間 [a, b] を長さ Δt = (b − a)/n の n-個の小区間に分割し、i-番目の小区間から標本点 ti を取って、曲線上の分点 r(ti) を考える。ここでは分点間の距離を足し合わせるのではなくて、分点間の変位ベクトル Δsi を足し合わせる。前と同じく、F を放射曲線上の各点で評価して、それと曲線 C の各小片での F の無限小寄与を与える変位ベクトルとの点乗積をとったもの全て和の、分割のサイズを 0 にする極限
線積分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 16:01 UTC 版)
詳細は「線積分」を参照 積分の概念はもっと一般の積分領域にも拡張することができる。例えば曲線や曲面を積分領域とする積分は、それぞれ線積分や面積分と呼ばれる。これらはベクトル場を扱うような物理学に応用を持つ。 線積分は曲線に沿って評価された関数の積分である。線積分にも様々なものがあり、特に閉曲線に関する線積分を周回積分などとも呼ぶ。 積分の対象となる関数はスカラー場であるかもしれないし、ベクトル場であるかもしれない。線積分の値というのは、曲線上の各点における場の値に曲線上の適当なスカラー関数(普通は弧長、あるいはベクトル場に対しては曲線における接ベクトルとの内積)を重みとして掛けたものの和である。この重み付けこそが、線積分と通常の区間上で定義される積分とを区別するものである。物理学における簡単な公式の多くは、線積分を用いることで自然に連続的な類似対応物に書き換えることができる。例えば、力学における仕事が力 F と移動距離 s との積(ベクトル量としての点乗積) W = F ⋅ s {\displaystyle W=\mathbf {F\cdot s} } に等しいという事実から、電場や重力場のようなベクトル場 F 内の曲線に沿って動く物体に対して、その物体が場によって及ぼされる仕事の総計が、s から s + ds まで移動する間に受ける仕事を足し合わせると考えることにより、線積分 W = ∫ C F ⋅ d s {\displaystyle W=\int _{C}\mathbf {F} \cdot d\mathbf {s} } で求められる。
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