回転_(ベクトル解析)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 回転_(ベクトル解析)の意味・解説 

回転 (ベクトル解析)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/17 02:12 UTC 版)

ベクトル解析における回転(かいてん、: rotation, curlrot(または curl)は、三次元ベクトル場の無限小回転を記述するベクトル演算子である。

ベクトル場の各点において、ベクトル場の回転はベクトルとして表され、このベクトルの寄与(大きさと向き)によってその点での回転が特徴付けられる。

概要

回転ベクトルの向きは回転軸に沿って右手系となる方にとり、回転ベクトルの大きさは回転の大きさとなる。例えば、与えられたベクトル場が、動いている流体流速を表すものであるとき、その回転とはその流体の循環密度のことになる。回転場が 0 となるベクトル場は無回転英語版であると言う。

回転をベクトル場に対する導函数に対応させるのであれば、微分積分学の基本定理に対応するのは、ベクトル場の回転場の面積分をそのベクトル場の境界曲線上での線積分と関係づけるストークスの定理(ストークス=ケルビンの定理)であると考えられる。

回転演算に相当する用語は curl, rotation の他に rotorrotational などがあり、記法 curl F に相当する記法は rot F∇ × F などがある。前者の rot 系の用語・記法を用いる流儀はヨーロッパ諸国の系統に多く、ナブラ交叉積を用いる記法はそれ以外の系統で使われる傾向にある。

勾配発散とは異なり、回転の概念を単純に高次元化することはできない。ただし、三次元に限らないある種の一般化は可能で、それはベクトル場の回転がまたベクトル場となるように幾何学的に定義される。これは三次元交叉積がそうであるのと同様の現象であり、このことは回転を “∇×” で表す記法にも表れている。

回転 “curl” の名を最初に提示したものはジェームズ・クラーク・マクスウェルで1871年のことである[1]

定義

ベクトル場 F の回転は、curl F または ∇ × F と書かれ、各点での値はその点を通る無数の直線の上への射影によって定義される。その点を始点とする任意の単位ベクトル に対し、F の回転の の上への射影は に直交する平面内の閉路上の積分を積分路が囲む面積で割った値の、積分路をその点へ無限に近づけるときの極限値として定義される。こうして定義される回転作用素 curlC1-級写像 R3R3C0-級写像 R3R3 へ写す。

線積分におけるベクトルの向きの規約

同じことだが式で書けば、

F(x, y, z) = yxŷ

のような様子で、見た目通りこの場が「回転」していることがわかる。この場に、どこでもよいから外輪 (paddle wheel) を置けば、外輪が時計回りに回転することはすぐに分かる。右手系に従うならば、この「回転」は、画面に向かって垂直に入る向きであることが期待される。右手系に座標系を取るのであれば、画面へ垂直に向かっていく方向は負の z-方向である。ここに x, y が出てこない(xy-平面に直交する)ことは交叉積と同様である。

さて、この場の回転を計算すれば、

∇ × F = −2

少し複雑な例

少し状況を複雑にして、ベクトル場

F(x, y, z) = −x2ŷ

のような場である。これは一見して回転を見つけることができないかもしれないが、例えば右側をよく見ると、この場は x = 3における値よりも x = 4 における値の方が大きい。直観的にはこの部分に小さな外輪を置けば、右側の流量が大きいので時計回りに回転し始めることがわかる。これは回転ベクトルが z が負の向きを持つことを意味する。対照的に左の方を見れば、ここに外輪を置いたとき左側の流量が多いので、外輪は反時計回りに回転し、回転ベクトルは z が正の向きを持つ。これらの直観を裏打ちするように、

∇ × F = −2x

この回転場の図が当然の如く y にも z にも依存しないものになっていること、および正の x に対して負の z-方向、負の x に対して正の z-方向を向いていることに注意。

主な恒等式

例えば ∇ ×(v × F) を考える。デカルト座標系に従えば、これは


「回転 (ベクトル解析)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「回転_(ベクトル解析)」の関連用語

回転_(ベクトル解析)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



回転_(ベクトル解析)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの回転 (ベクトル解析) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS