比較判定法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/28 23:08 UTC 版)
比較判定法(ひかくはんていほう、英: comparison test)は、実数や複素数を項にもつ級数が、収束するか発散するかを判定する方法である。これは、判定の対象となる級数の項を、収束性が判明している級数の項と比較することによって、収束性を判断する。比較判定法には、2 つの種類が存在する。
第一種比較判定法
第一種比較判定法とは、次のようなものである。もし、級数
が絶対収束し、n に依存しない実数 C が存在して
が十分大きい n に対して成立するならば、級数
は絶対収束する。このとき、b が a を「抑える(dominate)」という。もし、級数 Σ|bn| が発散し、
が十分大きい n に対して成立するならば、級数 Σ|an| は絶対収束しない(ただし、例えば an の符号が交互に入れ替わるような場合は、条件収束することがある)。
第二種比較判定法
第二種比較判定法とは、次のようなものである。もし、級数
が絶対収束し、n に依存しない実数 C が存在して
が十分大きい n に対して成立するならば、級数
は絶対収束する。もし、級数 Σ|bn| が発散し、
が十分大きい n に対して成立するならば、級数 Σ|an| は絶対収束しない(ただし、例えば an の符号が交互に入れ替わるような場合は、条件収束することがある)。
これは、ダランベールの収束判定法に基づくものである。
参考文献
- Knopp, Konrad, "Infinite Sequences and Series", Dover publications, Inc., New York, 1956. (§ 3.1) ISBN 0486601536
- Whittaker, E. T., and Watson, G. N., A Course in Modern Analysis, fourth edition, Cambridge University Press, 1963. (§ 2.34) ISBN 0521588073
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比較判定法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/06 09:58 UTC 版)
調和級数の発散性を示す方法の一つは別の発散級数と比較することである。調和級数の各項は、以下の第二の級数の対応する項よりも大きいかさもなくば一致するので、調和級数の和の値は第二の級数よりも大きい。 1 + ( 1 2 ) + ( 1 3 + 1 4 ) + ( 1 5 + 1 6 + 1 7 + 1 8 ) + ( 1 9 + ⋯ > 1 + ( 1 2 ) + ( 1 4 + 1 4 ) + ( 1 8 + 1 8 + 1 8 + 1 8 ) + ( 1 16 + ⋯ = 1 + 1 2 + 1 2 + 1 2 + 1 2 + ⋯ = ∞ . {\displaystyle {\begin{aligned}&1+\left({\frac {1}{2}}\right)+\left({\frac {1}{3}}+{\frac {1}{4}}\right)+\left({\frac {1}{5}}+{\frac {1}{6}}+{\frac {1}{7}}+{\frac {1}{8}}\right)+\left({\frac {1}{9}}+\right.\cdots \\[12pt]>{}&1+\left({\frac {1}{2}}\right)+\left({\frac {1}{4}}+{\frac {1}{4}}\right)+\left({\frac {1}{8}}+{\frac {1}{8}}+{\frac {1}{8}}+{\frac {1}{8}}\right)+\left({\frac {1}{16}}+\right.\cdots \\[12pt]={}&1+{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}+\cdots =\infty .\end{aligned}}} しかし、第二の級数の値は無限大であるから比較判定法により、調和級数の和も同様に無限大となる。もっとはっきり述べれば、上記の証明において比較 ∑ n = 1 2 k 1 n > 1 + k 2 {\displaystyle \sum _{n=1}^{\,2^{k}\!}{\frac {1}{n}}>1+{\frac {k}{2}}} が任意の正の整数 k に対して成立する。この証明はニコル・オレームによるもので、中世の数学の極みである。現在では、この方法が教科書的な証明の標準的なものとして教えられている。コーシーの判定法はこの方法を一般化したものになっている。
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