比較判定法
比較判定法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/06 09:58 UTC 版)
調和級数の発散性を示す方法の一つは別の発散級数と比較することである。調和級数の各項は、以下の第二の級数の対応する項よりも大きいかさもなくば一致するので、調和級数の和の値は第二の級数よりも大きい。 1 + ( 1 2 ) + ( 1 3 + 1 4 ) + ( 1 5 + 1 6 + 1 7 + 1 8 ) + ( 1 9 + ⋯ > 1 + ( 1 2 ) + ( 1 4 + 1 4 ) + ( 1 8 + 1 8 + 1 8 + 1 8 ) + ( 1 16 + ⋯ = 1 + 1 2 + 1 2 + 1 2 + 1 2 + ⋯ = ∞ . {\displaystyle {\begin{aligned}&1+\left({\frac {1}{2}}\right)+\left({\frac {1}{3}}+{\frac {1}{4}}\right)+\left({\frac {1}{5}}+{\frac {1}{6}}+{\frac {1}{7}}+{\frac {1}{8}}\right)+\left({\frac {1}{9}}+\right.\cdots \\[12pt]>{}&1+\left({\frac {1}{2}}\right)+\left({\frac {1}{4}}+{\frac {1}{4}}\right)+\left({\frac {1}{8}}+{\frac {1}{8}}+{\frac {1}{8}}+{\frac {1}{8}}\right)+\left({\frac {1}{16}}+\right.\cdots \\[12pt]={}&1+{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}+\cdots =\infty .\end{aligned}}} しかし、第二の級数の値は無限大であるから比較判定法により、調和級数の和も同様に無限大となる。もっとはっきり述べれば、上記の証明において比較 ∑ n = 1 2 k 1 n > 1 + k 2 {\displaystyle \sum _{n=1}^{\,2^{k}\!}{\frac {1}{n}}>1+{\frac {k}{2}}} が任意の正の整数 k に対して成立する。この証明はニコル・オレームによるもので、中世の数学の極みである。現在では、この方法が教科書的な証明の標準的なものとして教えられている。コーシーの判定法はこの方法を一般化したものになっている。
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