比較優位の一般化とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 比較優位の一般化の意味・解説 

比較優位の一般化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 23:38 UTC 版)

比較優位」の記事における「比較優位の一般化」の解説

比較優位概念は、労働力のみが生産要素場合には、2国多数財(あるいは2財多数国)の場合にまで容易に拡張させられる。 X {\displaystyle X} 国と Y {\displaystyle Y} 国の間で貿易を行う状況下において、 i {\displaystyle i} 財と j {\displaystyle j} 財とが有りそれぞれの労働投入係数それぞれ a X i {\displaystyle a_{Xi}} 及び a X j {\displaystyle a_{Xj}} と a Y i {\displaystyle a_{Yi}} 及び a Y j {\displaystyle a_{Yj}} とすればa X i a X j < a Y i a Y j {\displaystyle {\frac {a_{Xi}}{a_{Xj}}}<{\frac {a_{Yi}}{a_{Yj}}}} が成り立つとき、 X {\displaystyle X} 国は Y {\displaystyle Y} 国に対して、 i {\displaystyle i} 財に比較優位性を持ち、 j {\displaystyle j} 財に比較劣位性を持つ、と言う。 X {\displaystyle X} 国から Y {\displaystyle Y} 国へ i {\displaystyle i} 財が輸出されて j {\displaystyle j} 財が輸入されるとは限らない。別の k {\displaystyle k} 財が X {\displaystyle X} 国から Y {\displaystyle Y} 国へ輸出され、I財とJ財は共に Y {\displaystyle Y} 国から X {\displaystyle X} 国へ輸出され得る[要ページ番号]。このように、2国多数財のケースでは、比較優位は、それのみでは貿易の方向を決定しない。 貿易論では、3国3財以上の場合は、2国2財あるいは2国多数財の場合とは、様相が大きく異なる。そこで、3国以上の場合を多数国、3財以上の場合を多数財という。以下はR.ジョーンズが1961年の論文に載せた数値例である。 ジョーンズの数値例A: 米国B: 英国C: 欧州1: 小麦 10 10 10 2: リネン5 7 3 3: 服地 4 3 2 このとき、比較優位の単純な比較はできない。2国2財のどのような組合せを取ろうと、特化パタンは正しく定めることはできない。ジョーンズは、このような場合にも、置換積を最小化する特化パタンを求めればよいことを示した。置換積とは、労働投入係数に対し a1σ(1) a2σ(2) ・・・aNσ(N) という形の積をいう。ここで、σは、{1, 2, ... , N}の置換である。3国3財の場合、置換の数は全部で6個ある。上記ジョーンズの数値例では、A→1、B→3、C→2という特化パタンが唯一実現可能な完全特化パタンである。 労働のみが投入される経済では、ジョーンズの条件により特化パタンが定まるが、投入財が貿易される場合、比較優位の概念は定義ができない。ディアドルフは、いくつもの定義を与えているが、どれも完全なものではない。 これは、きわめて不充分な理論状況である。イギリスの産業革命は綿花の輸入によって可能になったし、日本は、幕末開国以来、加工貿易が基本であった。マッケンジーは1956年の論文で、「特化に関する古典的扱いの基本的な誤謬は、... 中間財貿易を無視したことである」(同所、p.56)と指摘しているが、塩沢由典の研究に至るまで、大きな進展はなかった。R.ジョーンズが1961年は論文でこの問題に取り組んでいるが、投入係数がどの国でも同一の場合しか定式化できなかった。 塩沢の貿易理論(国際価値論)は、多数国多数財で技術選択と中間財貿易が存在する場合にたいし、古典派価値論と同様の理論が成立することを示した。『リカード貿易問題の最終解決』は、2007年論文を概念的に整理し、正則領域における国際価値(各国の賃金率と世界共通の財の価格)が一義的に定まることを基本定理として示している。第4章では、リカードからポール・クルーグマンの新貿易論、マーク・メリッツの新々貿易論に至るまでの貿易論の歴史を詳しく解説している。 「貿易理論」も参照

※この「比較優位の一般化」の解説は、「比較優位」の解説の一部です。
「比較優位の一般化」を含む「比較優位」の記事については、「比較優位」の概要参照ください

ウィキペディア小見出し辞書の「比較優位の一般化」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「比較優位の一般化」の関連用語

比較優位の一般化のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



比較優位の一般化のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの比較優位 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS