ない‐せき【内積】
内積
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/27 19:38 UTC 版)
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線型代数学における内積(ないせき、英: inner product)は、(実または複素)ベクトル空間上で定義される非退化かつ正定値のエルミート半双線型形式(実係数の場合には対称双線型形式)のことである。二つのベクトルに対してある数(スカラー)を定める二項演算であるためスカラー積(スカラーせき、英: scalar product)ともいう。内積を備えるベクトル空間は内積空間と呼ばれ、内積の定める計量を持つ幾何学的な空間とみなされる。エルミート半双線型形式の意味での内積はしばしば、エルミート内積またはユニタリ内積と呼ばれる。
定義
複素数体 ℂ 上のベクトル空間 V 上で定義された二変数の写像 ⟨,⟩: V × V → ℂ が内積あるいはエルミート内積であるとは、x, y, z ∈ V および λ ∈ ℂ を任意として
- 第一変数に関する線型性: ⟨λx + y, z⟩ = λ⟨x, z⟩ + ⟨y, z⟩;
- 第二変数に関する共軛線型性: ⟨x, λy + z⟩ = λ⟨x, y⟩ + ⟨x, z⟩;
- エルミート対称性: ⟨x, y⟩ = ⟨y, x⟩;
- 非退化性: V の元 x に対して ⟨x, x⟩ = 0 ならば x = 0;
- 半正定値性: V の任意の元 x に対して ⟨x, x⟩ ≥ 0
を満たすことを言う(ここで上付きのバー • は複素共役を表す)。すなわち、複素ベクトル空間上の内積は非退化正定値のエルミート形式である[注釈 1]。
実ベクトル空間の場合も同様で、実ベクトル空間 V 上の二変数の写像 ⟨,⟩: V × V → ℝ が内積であるとは、それが非退化正定値の対称双線型形式であるときに言う[注釈 2]。
場合によっては、非負の「半定値」半双線型形式を考える必要があることがある。つまり、⟨x, x⟩ は非負であることのみが要求され、非退化でないものも考えるということである(後述)。
基本性質
エルミート対称性に注意すれば、任意の x に対して
内積(Dot product)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 01:23 UTC 版)
「直交曲線座標」の記事における「内積(Dot product)」の解説
カルテシアン座標系における内積においては、( ユークリッド空間に直交基底を考えると)単純に成分の積の和になる。同様に、直交曲線座標でも、2つのベクトル x と y の内積は、ベクトルの成分を正規化基底で表示すると、このような馴染みのある形になる。 x ⋅ y = ∑ i x i e ^ i ⋅ ∑ j y j e ^ j = ∑ i x i y i {\displaystyle \mathbf {x} \cdot \mathbf {y} =\sum _{i}x_{i}{\hat {\mathbf {e} }}_{i}\cdot \sum _{j}y_{j}{\hat {\mathbf {e} }}_{j}=\sum _{i}x_{i}y_{i}} これは、ある点での正規化基底がデカルト座標系を形成できるという事実の直接的な帰結である:この基底は正規直交基底である。 x ⋅ y = ∑ i h i 2 x i y i = ∑ i x i y i h i 2 = ∑ i x i y i = ∑ i x i y i {\displaystyle \mathbf {x} \cdot \mathbf {y} =\sum _{i}h_{i}^{2}x^{i}y^{i}=\sum _{i}{\frac {x_{i}y_{i}}{h_{i}^{2}}}=\sum _{i}x^{i}y_{i}=\sum _{i}x_{i}y^{i}} これは、ベクトルを成分形式で書き出し、基底ベクトルを正規化し、内積を取ることで容易に導き出すことができる。例えば、2Dの場合、 x ⋅ y = ( x 1 e 1 + x 2 e 2 ) ⋅ ( y 1 e 1 + y 2 e 2 ) = ( x 1 h 1 e ^ 1 + x 2 h 2 e ^ 2 ) ⋅ ( y 1 e ^ 1 h 1 + y 2 e ^ 2 h 2 ) = x 1 y 1 + x 2 y 2 {\displaystyle {\begin{aligned}\mathbf {x} \cdot \mathbf {y} &=\left(x^{1}\mathbf {e} _{1}+x^{2}\mathbf {e} _{2}\right)\cdot \left(y_{1}\mathbf {e} ^{1}+y_{2}\mathbf {e} ^{2}\right)\\[10pt]&=\left(x^{1}h_{1}{\hat {\mathbf {e} }}_{1}+x^{2}h_{2}{\hat {\mathbf {e} }}_{2}\right)\cdot \left(y_{1}{\frac {{\hat {\mathbf {e} }}^{1}}{h_{1}}}+y_{2}{\frac {{\hat {\mathbf {e} }}^{2}}{h_{2}}}\right)=x^{1}y_{1}+x^{2}y_{2}\end{aligned}}} ここでは、正規化された共変基底と反変基底が等しいことが利用されている。
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