外微分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/05 02:48 UTC 版)
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可微分多様体上、外微分(がいびぶん、英: exterior derivative)は関数の微分の概念を高次の微分形式に拡張する。外微分はエリ・カルタンによって最初に現在の形式で記述された。それによってベクトル解析のストークスの定理、ガウスの定理、グリーンの定理の自然な、距離に依存しない一般化ができる。
k 形式を無限小 k 次元平行面体を通る流量を測るものと考えれば、その外微分を (k + 1)-平行面体[どれ?]の境界を通る正味の流れを測るものと考えることができる。[要追加記述]
定義
k 次微分形式の外微分は k + 1 次微分形式である。
f が滑らかな関数(0 形式)であれば、f の外微分 df は f の全微分 df である。つまり、外微分df は
を満たす一意的な 1 形式である。
一般の k 形式の外微分には様々な同値な定義が存在する。
公理による定義
外微分 d は以下の性質を満たす k-形式から (k + 1)-形式への一意的な R-線型写像として定義される:
- 滑らかな関数 f に対して d(f) ≔ df はf の微分である。
- 任意の滑らかな関数 f に対して d(df) = 0 である。
- d(α ∧ β) = dα ∧ β + (−1)p(α ∧ dβ) である、ただし α は p-形式とする。つまり、d は微分形式のなす外積代数上次数 1 の反微分である。
二番目の定義性質はより一般性を持って成り立つ: 実は、任意の k-形式 α に対して d(dα) = 0(より簡潔には、d2 = 0)である。三番目の定義性質は特別な場合として f が関数で α が k-形式であれば d(fα) = d(f ∧ α) = df ∧ α + f ∧ dα であるということを含んでいる。なぜならば、関数は 0 形式であり、スカラー乗法と外積は引数の一方がスカラーであるとき同値であるからである。
局所座標系による定義
代わりに、完全に局所座標系 (x1, …, xn) の言葉で定義することもできる。まず、座標(微分)形式 dx1, …, dxn は座標チャートの範囲内で 1-形式の基底をなす。1 ≤ p ≤ k なる各 p に対して 1 ≤ ip ≤ n とし、多重添字 I = (i1, …, ik) (および表記の濫用で dxi1 ∧ ⋯ ∧ dxik を dxI と書く)が与えられたとき、Rn 上の単純 k-形式 φ = f dxI の外微分は
よって d(f*ω) = f*dω である、ただし f* は f の引き戻しを表す。このことは、f∗ を f の押し出し(微分)として、f*ω(•) が定義により ω(f∗(•)) に等しいことから従う。ゆえに d は Ωk から Ωk+1 への自然変換である。
ベクトル解析における外微分
たいていのベクトル解析の演算子は外微分の概念の特別な場合であるか、あるいは、近い関係である。
勾配
滑らかな関数 f: Rn → R は 0-形式である。この 0-形式の外微分は 1-形式
外微分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/02 21:05 UTC 版)
詳細は「外微分」を参照 微分形式の「係数」になっている関数の微分を通じて、微分形式の次数を 1 つあげる線形写像d : ∧k(D) → ∧k+1(D)が定義される。 正確には、この写像は k によって定義域や値域が異なる写像であり dk のように k を明示して区別すべきであるが、特に気にせず、どれも d で表すことが多い。 領域 D に座標系 {x1,x2,…,xn} が与えられているとき、微分 0 形式 すなわち D 上の関数 f には全微分 d f = ∂ f ∂ x 1 d x 1 + ∂ f ∂ x 2 d x 2 + ⋯ + ∂ f ∂ x n d x n {\displaystyle df={\partial f \over \partial x_{1}}dx_{1}+{\partial f \over \partial x_{2}}dx_{2}+\cdots +{\partial f \over \partial x_{n}}dx_{n}} を対応させる。これは座標系の選び方によらない量になっている。従って多様体 M 全体で定義された関数の外微分も、局所的には上の式によって定義することで、座標系の選択によらない自然な量として定義できる。 微分 k 形式 ξ = ∑ f i 1 , ⋯ , i k d x i 1 ∧ ⋯ ∧ d x i k {\displaystyle \xi =\sum f_{i_{1},\cdots ,i_{k}}dx_{i_{1}}\wedge \cdots \wedge dx_{i_{k}}} に対しては、微分 k+1 形式 d ξ = ∑ d f i 1 , ⋯ , i k ∧ d x i 1 ∧ ⋯ ∧ d x i k {\displaystyle d\xi =\sum df_{i_{1},\cdots ,i_{k}}\wedge dx_{i_{1}}\wedge \cdots \wedge dx_{i_{k}}} を対応させる。これもふたたび局所的な座標系の取り方にはよらず、M 上の微分形式に対する外微分が考えられることになる。 このような写像 d を外微分(がいびぶん)とよぶ。任意の微分形式 ξ に対して 2 回外微分を施すと必ず d ( d ξ ) = 0 {\displaystyle d(d\xi )=0} となる。これは2つの変数に関する偏微分同士の交換性によっている。
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