解析接続
解析接続
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 15:08 UTC 版)
詳細は「解析接続」を参照 正則関数の重要な性質に、正則関数の連結な領域上全体での挙動が任意のより小さい領域上の挙動によって決定されてしまう(一致の定理)、というものがある。大きい領域全体でのもとの関数は小さい領域上に制限して考えたものの解析接続とよばれる。このような原理によってリーマンゼータ関数など、限られた領域上でしか収束しない級数によって定義されていた関数を複素平面全体に正則関数や有理型関数として拡張することが可能になる。場合によっては自然対数などのように複素平面内の単連結でない領域への解析接続が不可能なこともあるが、リーマン面とよばれる曲面を導入することでその上の正則関数としての「解析接続」を考えることができる。
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解析接続
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:01 UTC 版)
「フルヴィッツのゼータ函数」の記事における「解析接続」の解説
Re(s) ≤ 1 であれば、フルヴィッツのゼータ函数は、式 ζ ( s , q ) = Γ ( 1 − s ) 1 2 π i ∫ C z s − 1 e q z 1 − e z d z {\displaystyle \zeta (s,q)=\Gamma (1-s){\frac {1}{2\pi i}}\int _{C}{\frac {z^{s-1}e^{qz}}{1-e^{z}}}dz} で定義することができる。この積分路 (contour) C は負の実軸を回るループである。この定義は、 ζ ( s , q ) {\displaystyle \zeta (s,q)} の解析接続をもたらす。 フルヴィッツのゼータ函数は、s ≠ 1 である全ての複素数 s に対して定義される有理型函数へ解析接続により拡張される。また、s = 1 で、留数が 1 である単純極を持つ。定数項は、 lim s → 1 [ ζ ( s , q ) − 1 s − 1 ] = − Γ ′ ( q ) Γ ( q ) = − ψ ( q ) {\displaystyle \lim _{s\to 1}\left[\zeta (s,q)-{\frac {1}{s-1}}\right]={\frac {-\Gamma '(q)}{\Gamma (q)}}=-\psi (q)} で与えられる。ここに Γ はガンマ函数であり、ψ はディガンマ函数である。
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解析接続
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 05:12 UTC 版)
詳細は「解析接続」を参照 ある領域 E において定義される正則関数 h(z) が与えられているとする。また、E を含む領域 D 上で定義される正則関数 f(z) で z が E に含まれるときは常に h ( z ) = f ( z ) {\displaystyle h(z)=f(z)} が成り立つならば、正則関数 f を正則関数 h の(D 上の)解析接続とよび、また h は f によって D まで解析接続可能であるという。正則関数に関する一致の定理によれば、局所的に恒等的に等しい正則関数は大域的に一致するため、解析接続の概念はもう少し一般に、二つの正則関数 h, f の定義域 E と D が共通部分 E ∩ D を持つときに h ( z ) = f ( z ) for any z ∈ E ∩ D {\displaystyle h(z)=f(z){\mbox{ for any }}z\in E\cap D} であるならば、h および f は領域の和集合 E ∪ D まで広げた領域で定義される正則関数と見なすことであるということもできる。つまり、ある領域における(局所的な)正則関数は一つの大きな(大域的な)正則関数の局所的な姿であると考えることができ、解析接続は局所的な関数とその定義域の組を張り合わせて大域的な正則関数を表示する方法であると捉えられる。このような立場からは、正則関数は解析接続を可能な限り施して定義域を広げたものと考えて扱うのが自然である。 ここで、ある領域を定義域としてそこで特定の表示を持つ正則関数に対して、その定義域を超えて解析接続して得られる正則関数を考えるとき、はじめの表示がもとの定義域の外でも有効であるわけではないことには注意しなければならない。たとえば、リーマンゼータ関数の値 ζ(−1) = −1/12 に対して、Re(s) > 1 上で有効なゼータ関数の表示 ζ ( s ) = ∑ n = 1 ∞ 1 n s = 1 − s + 2 − s + 3 − s + ⋯ + n − s + ⋯ {\displaystyle \zeta (s)=\sum _{n=1}^{\infty }{\frac {1}{n^{s}}}=1^{-s}+2^{-s}+3^{-s}+\cdots +n^{-s}+\cdots } を、s = −1 に対してむりやり適用すると − 1 12 = 1 + 2 + 3 + ⋯ + n + ⋯ {\displaystyle -{\frac {1}{12}}=1+2+3+\cdots +n+\cdots } となり(→1+2+3+4+…)、この表示が s = −1 の周辺で有効でないことを見て取ることができる。(厳密にはこの記述方法は正しくない)一方で、明らかに無限大に発散するはずの右辺が負の値を持つ左辺と等しいという、この一見不可解な等式を物理学への応用などの観点から正当化する方法が、繰り込みなどいくつか知られていて、それ自体興味深い研究対象である。 最初に与えられた正則関数を解析接続したときに、ガウス平面内の領域でこれ以上解析接続できないような極大単連結領域が存在する場合はさほど問題は起きないのであるが、一般には特異点のまわりで「おかしな振る舞い」が現れて状況が複雑化するため、大域的な議論はそれほど単純ではない。たとえば、局所的には一価な正則関数でも、大域的には多価関数となるような場面に遭遇するのはこのような事情の現れの一つである。二つの解析接続がいつ一致するかというのはホモトピーの言葉を使って述べることができ、一価性定理(モノドロミー定理)などが知られている。一方、局所的に成立する関数等式は解析接続によって大域的な議論に移しても保たれる(関数関係不変の法則あるいは定理)ことが知られており、特徴的な関数等式が判っている Γ 関数やリーマン ζ 関数などの解析接続は、しばしば関数等式を用いて行われる。 正則関数の全体は層を成すことが知られている。この立場から見れば、上記の局所的な正則関数は正則関数の芽である。関数関係不変の法則によれば、微分方程式はその正則解・解析解全体の成す層を表現していると考えることができる。つまり、適当なクラスの関数が作る関数空間があたえられるとき、その空間に作用してある種の層を生み出す関手として微分方程式が捉えられるのである。
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