線素からの導出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 01:35 UTC 版)
曲線の弧長を近似するために曲線をたくさんの線分に分解するが、弧長の長さを近似値でなく真の値として得るには無限に多くの線分が必要になる。これはつまり、各線分を無限に小さくすることを意味しているが、このことは後に積分を用いる際に効いてくる。 線分の代表元を見れば、その長さ(線素)が微分 ds であることが確認できる。この変位の水平成分を dx、垂直成分を dy で表すと、ピタゴラスの定理から d s = d 2 x + d 2 y {\displaystyle ds={\sqrt {d^{2}x+d^{2}y}}} が従う。曲線が媒介変数 t によって表されているなら弧長は線素 ds を無限小区間 dt に亘って次々に足し合わせればよいから、積分 ∫ a b ( d x d t ) 2 + ( d y d t ) 2 d t {\displaystyle \int _{a}^{b}{\sqrt {{\Bigl (}{\frac {dx}{dt}}{\Bigr )}^{\!\!2}+{\Bigl (}{\frac {dy}{dt}}{\Bigr )}^{\!\!2}}}\,dt} によって弧長 s が求められる。y が x の函数ならば、t = x として s = ∫ a b 1 + ( d y d x ) 2 d x {\displaystyle s=\int _{a}^{b}{\sqrt {1+{\Bigl (}{\frac {dy}{dx}}{\Bigr )}^{\!\!2}}}\,dx} を得る。これは y = f (x) のグラフの x = a から x = b までの弧長を与えている。 例として、曲線が { y = t 5 , x = t 3 {\displaystyle {\begin{cases}y=t^{5},\\x=t^{3}\end{cases}}} で与えられているものとし、さらに t が −1 から 1 までの値をとるものとすると、弧長を表す積分は ∫ − 1 1 ( 3 t 2 ) 2 + ( 5 t 4 ) 2 d t = ∫ − 1 1 9 t 4 + 25 t 8 d t ≈ 2.9053418626 ⋯ {\displaystyle \int _{-1}^{1}{\sqrt {(3t^{2})^{2}+(5t^{4})^{2}}}\,dt=\int _{-1}^{1}{\sqrt {9t^{4}+25t^{8}}}\,dt\approx 2.9053418626\cdots } となる。数値計算をすれば、この弧長が 2.905 にかなり近いことがわかる。超幾何函数を用いて表せば、 2 2 F 1 ( − 1 2 , 3 4 ; 7 4 ; − 25 9 ) {\displaystyle 2\,{}_{2}F_{1}\!\left(-{\frac {1}{2}},{\frac {3}{4}};{\frac {7}{4}};-{\frac {25}{9}}\right)} になる。
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