総幹分離とは? わかりやすく解説

総幹分離

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 23:56 UTC 版)

自由民主党幹事長」の記事における「総幹分離」の解説

総幹分離とは、「幹事長総裁出身派閥から出さない」という慣例通称である。1979年昭和54年以降24年間にわたり踏襲され、その後概ね維持されている。閣僚任免をもつ総理総裁と、党役員任免および公認をもつ幹事長同一派閥から出ることによって、特定派閥権力集中するのを抑制するという趣旨である。 自民党結党以来幹事長に総裁派閥出身者など総裁に近い人物就任するのが通例であったが、1974年昭和49年)、椎名悦三郎椎名裁定によって総裁三木武夫選出する際、選出条件として総幹分離が打ち出された。これにより、三木任期中他派閥から幹事長指名したまた、次の総裁福田赳夫は、当初大福連合」に政権基盤置いていたこともあって総幹分離を踏襲し大平正芳幹事長に起用した1978年昭和53年12月総裁選福田勝利した大平は、「(裁定ではなく公選総裁選出され場合には、総幹分離は適用されない」として、総裁着任当初自派実力者である鈴木善幸幹事長起用模索した。しかし、この人事案他派反発買ったため、自派ながら反主流派との関係が悪くない斎藤邦吉幹事長に起用したこのように、総幹分離は、この時点では必ずしも明確な慣行とはされていなかったと解されるその後大平衆議院総選挙大敗した責任追及され妥協策として反主流派である中曽根派櫻内義雄幹事長とした。以後四十日抗争直後からハプニング解散に至る激し党内抗争の中で、櫻内党内融和奔走した実績買われ櫻内は続く鈴木政権でも続投することになる。かかる経緯により、総幹分離の慣例定着したまた、幹事長総裁派閥以外から起用した場合代わりに幹事長代理総裁派閥から選任することが慣例化した。 1981年昭和56年11月総裁就任した鈴木の下で、櫻内替わって二階堂進田中派)が幹事長に就任する。このとき以降最大派閥率いていた田中角栄は、自らの総裁返り咲きのために自派から総裁出さず代わりに幹事長ポスト自派議員送りこみ続けた田中派から竹下派代替わりしてからも同様であり、自派から総裁出していないときは、その代わり幹事長ポストを得、総裁の党運営牽制した。このことも総幹分離を定着させた一因である。 1994年平成6年)に導入され衆議院小選挙区制度は、派閥影響力殺ぎ、党本部への権力集中促進した。さらに、派閥中心の党運営否定的官邸主導政権運営行った小泉純一郎総裁就任によって、派閥影響力はさらに低下した小泉総裁就任すると、幹事長に山崎派領袖山崎拓起用した。これは、形式的には総幹分離に則っているが、山崎小泉盟友であり、最大派閥橋本派(旧田中派)を排除して主流派総裁幹事長独占するになった小泉はさらに総裁再選に伴い総裁派閥安倍晋三幹事長に起用し24年続いた総幹分離が形式の上からも途切れた安倍後任には再び山崎派武部勤起用した。もっとも、武部が自らを「偉大なイエスマン」と称したことからも分かる通りこの人事は総幹分離によって党内融和図ったというよりも、むしろ総裁意向通りやすい人物選んだものであって小泉はここでも派閥とらわれない人物本位人事貫いた。続く安倍政権第一次)においても、総裁派閥有力者であった中川秀直起用された。こうして、従来のような熾烈な派閥抗争抑制するという意味での総幹分離の原則は必ずしも絶対的なものではなくなっていった。もっとも、以後現在に至るまで基本的に総幹分離を踏襲した人事が行われている。 総幹分離の原則については、総裁身近な人物幹事長に起用することが出来ないため、総裁として自民党コントロールする手段を失わせている、総裁リーダーシップ弱体化させている、といった指摘なされている。

※この「総幹分離」の解説は、「自由民主党幹事長」の解説の一部です。
「総幹分離」を含む「自由民主党幹事長」の記事については、「自由民主党幹事長」の概要を参照ください。

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