統一教会とマインドコントロール
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「マインドコントロール」の記事における「統一教会とマインドコントロール」の解説
1992年、山崎浩子は桜田淳子らとともに統一教会の合同結婚式に参加したが、その翌年の1993年、山崎浩子は親族によって統一教会から隔離され、そこで元信者の牧師らの説得を受け脱会を決意した。山崎浩子は、脱会を表明する記者会見で「すべてが間違いだったことがわかった」と語り結婚を破棄した。さらに記者会見では「わたしはマインドコントロールされていました」とも語り、同日、アメリカの元信者であったスティーブン・ハッサンの書いた『マインドコントロールの恐怖』(恒友出版)が発売されてベストセラーになった。この頃から、日本でも「マインドコントロール」という言葉が広く知られることになった。 「マインドコントロール」の概念は、具体的な物理的手段を用いた強制的な「洗脳」に対し、物理的手段を用いない方法であるとされ、本人が気づかないうちに取り込まれてしまうというカルトなどによる巧妙な手法を指すものとして登場した。 霊感商法問題を専門とする弁護士の郷路征記は、「マインド・コントロール」を「人の思想、感情と行動を操作して変化させ、その人が形成してきた人格の上に、操作者の意図する人格を植え付けることや、そのために用いられる技術」と定義している。「マインド・コントロール」を受けた信者は善悪の基準が転換し、客観的には悪とされる行為も、神のためであれば善であると信じるようになる、とし、信者が霊感商法や無言電話、違法な選挙運動などの反社会的な行為を平気で行うのは、マインド・コントロールの結果、その行為が善であると信じているからであると主張する。 批判に対し、統一教会は、「マインドコントロール」という理論は、もともとアメリカで宗教運動から信者を強制的にやめさせるための理論として出現したものであり、非科学的理論であり、反宗教的なイデオロギーに基づいた空論だと反論している。 日本共産党の政党機関紙「しんぶん赤旗」を刊行する「赤旗」社会部は、神学者の浅見定雄が分析した統一教会の「洗脳」の仕組みを明らかにした。主な特徴は以下の7点である。 隔離 - 信者が自分の親に説明し難くなった場合に「親に会わない口実」「統一教会をどう説明するか」などの手引書を作っており家族に秘密にさせる。ビデオも一人で見る。 雰囲気 - 親切にする。歌やゲームもある共同生活。 反復 - 同じことを徹底的に反復して教え込む。 精神管理 - 感想文や日記を書かせて弱点や疑問点を把握する。 食事管理 - 信仰の名の下で粗食をともにする。 睡眠管理 - 慢性的に寝不足にし暗示にかかりやすくする。 呪いの暗示 - 脱退すると霊に打たれる、霊界で先祖が苦しんでいる、水子が祟っている、等と不安を持たせる。 宗教学者のダグラス・E・コーワン(英語版)、宗教社会学者のデイヴィッド・G・ブロムリー(英語版) は、洗脳理論そのものには数々の問題点があると述べている。 第一に洗脳の技術が反カルト活動家が言うほどの効果があり、無差別なものであるのなら、対象や時代に関わりなくその技術は機能するはずであるが、実際北アメリカでは新宗教が若い人の勧誘にかなり成功していたのは、1960~70年代の対抗文化運動の間だけであり、以降は劇的に減少している。 第二に洗脳を効果的に行うには、おそらくある程度の専門技術が必要なはずであるが、洗脳を行っていると非難されている新宗教では、加入間もない新人メンバーたちが勧誘活動を行っている。時間の経過で技術は向上するはずであるが、そういった成果の向上は見られない。また実際のところ、新宗教は全体として信者を引き付け維持することに失敗しており、1970年代にE・パーカーが統一教会に対して行った最も徹底的で信頼できる調査(期間は6年)で、パーカーは入門者が会員として残る確率は、極めて低いと結論付けている。統一教会に勧誘された人々のうち、実際に会員として加わったのはごくわずかで、新会員もほとんどは短期間で活気を失っていた。
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