第三世界、ロシア、中国との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 01:00 UTC 版)
「イランの国際関係」の記事における「第三世界、ロシア、中国との関係」の解説
イランはトルコ、ブラジル、ロシア、中華人民共和国、キューバ、ベネズエラ、マレーシア、パキスタン、ベラルーシなど第三世界各国やその他の国々とも協力関係を築き、幅広い協力を得ている。中国とロシアの主導する上海協力機構にも加盟している。 トルコへは天然ガスを輸出するなど、貿易とエネルギー分野で幅広い関係を持ち、2009年からの時期は、特にそれまでの30年でもっとも関係が良好だとされている。また、トルコはイランの平和的な核エネルギーの権利を認めている。なお、ブラジル、ロシア、中国、キューバ、ベネズエラなどの国々もイランのこの権利について支持している。 2010年10月にはアブドゥラー・ギュル大統領がイランとの経済関係の拡大を強調し、10月5日、大統領は「イランとの貿易・経済関係を強化・拡大することは、トルコにとって重要なことである」と表明した。2010年のアメリカが各国に圧力をかけて強行的に進める対イラン制裁に関して、トルコのダウトオール外務大臣は一方的な対イラン制裁を非合法なものであるとして「トルコはこれらの制裁を守るべきものとは考えない」との考えを示した。さらに、「イランはわれわれにとって重要な隣国であり、貿易とエネルギー分野で幅広い関係を有している」とし、「トルコの企業は、イランとの今後の関係を自由に決定することができる」と述べた。 また、トルコとブラジルはイランと2010年5月17日にテヘランでイランの核燃料交換に関する共同宣言に調印、発表した(テヘラン宣言)。この宣言は、核問題を巡るイランと西側の協議の行き詰まりを打開する努力であり、国内で製造された濃縮度3.5%の低濃縮ウラン1200キロをトルコに移送し、代わりにテヘランの研究用原子炉が必要する20%の高濃縮ウラン120キロを受け取るというものである。 ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICs諸国は2010年9月に国連サミットでアメリカが各国に圧力をかけている対イラン独自制裁に対して反対した。この際、ブラジルのアモリン外務大臣は「我が国は、ロシア、インド、中国と共に、イランに対して受け入れがたい独自制裁を発動している国々を非難するよう国連に求める草案を提示している」、「我々は、多国間の制裁にも反対であり、もちろん、国連の枠外で科されている制裁をも支持しない」と表明している。 中国は2006年イラン最大の貿易相手国となり、輸出、輸入先ともに第二位でこの分野で特にイランとの関係が大きい国であり、今後の協力拡大を求めている。2010年9月、中国共産党の幹部はラーリージャーニー国会議長と会談し、イランとの全面的な協力の拡大は、非常に重要なものだとし、「中国は、あらゆる分野でのイランとの協力拡大を求めており、それを特に重視している」と述べた。またこの会談の中でイランの核エネルギーの平和利用を支持し、「中国政府は、国際法規を超えたあらゆる制裁に反対しており、協議がイラン核問題の唯一の解決方法だと考えている」との中国の見解を示した。また、イランは中国に油田やガス田の権益で独占的な契約を与えているとされ、中国人民解放軍の張召忠(英語版)少将は「中国は第三次世界大戦になってもイランを守るだろう」という発言の根拠にもなってるとされる。 イランと同じイスラム教国であるマレーシアは、イランの石油・天然ガス産業への投資を行っている。制裁中の10月に、マレーシア国営石油会社ペトロナスの社長が「イランから撤退するつもりはなく、これまで同様、イランの石油・天然ガス産業への投資を継続する」と発言し、改めてイランとのエネルギー協力の意向を示した。 パキスタンとの関係は良好で、イランはパキスタンを「友好国」としている。2010年のパキスタンの洪水の際には、イランは隣接する友好国として災害発生の当初から救援にあたり、一億ドル相当の資金を援助し、イスラム諸国に対してもパキスタンへの支援を呼びかけた。イランは、今回のパキスタンの洪水の被災者に最も多くの支援を行っている上位3カ国に含まれる。 エジプトとの関係は、エジプトがイスラエルを国家として認めていることからあまり良好ではなかったが、同年10月の時点で30年ぶりにイランとテヘラン-カイロ直行便を再開することで合意していた。しかし、制裁のためにアメリカ政府が、これに不満を示し、エジプト政府に対し、イランとのこの種の合意を回避するよう求めた。アメリカ国務省のトナー副報道官は、イランとエジプトの合意について、「我々はエジプトをはじめとする全ての国に対し、イランと商業取引を締結しないよう求めている」と語ったとされている。 10月5日にはアジア欧州会議が参加国46カ国が参加する会議で、イラン核問題の外交的解決の重要性を強調し、イランの核の平和利用の権利の尊重を求めた。
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