童画家活動とは? わかりやすく解説

童画家活動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 04:41 UTC 版)

いわさきちひろ」の記事における「童画家活動」の解説

1940年代から1950年代にかけてのちひろは油彩画多く手がけており、仕事広告ポスター雑誌教科書カット表紙絵などが主だった1952年ごろに始まるヒゲタ醤油広告の絵は、ほとんど制約をつけずちひろに自由に筆をふるわせてくれる貴重な仕事で、1954年には朝日広告グランプリ受賞した。ヒゲタの挿絵はちひろが童画家として著名になってからもおよそ20年つづいた1956年福音館書店月刊絵本シリーズこどものとも12号で、小林純一の詩に挿絵をつけて『ひとりでできるよ』を制作、これが初めての絵本となった。『こどものとも』では同じく小林の文で『みんなでしようよ』も。 この頃、ちひろの絵には少女趣味だ、かわいらしすぎる、もっとリアルな民衆の子どもの姿を描くべき、などの批判があり、ちひろ自身そのこと悩んでいた。1963年44歳)、雑誌子どものしあわせ』の表紙絵担当することになったことが、その後の作品大きく影響与える。「子どもを題材にしていればどのように描いてもいい」という依頼に、ちひろはそれまで迷い捨て自分感性素直に描いていく決意をした。1962年作品『子ども』を最後に油彩画をやめ、以降もっぱら水彩画専念することにした。1964年日本共産党内紛で、ちひろ夫婦交流深かった丸木夫妻が党を除名されたころを境に、丸木俊影響から抜け出し、独自の画風追い始める。「子どものしあわせ」はちひろにとって実験の場でもあり、そこで培った技法絵本などの作品にも多く取り入れられている。当初は2色もしくは3色刷りだったが、1969年カラー印刷になると、ちひろの代表作となるものがこの雑誌多く描かれるようになった。この仕事1974年55歳亡くなるまで続けられ、ちひろのライフワークともいえるものであった。 ちひろはハンス・クリスチャン・アンデルセンに深い思い入れをもっており、画家として自立するきっかけとなった紙芝居お母さんの話』をはじめ、当初から多く作品を手がけていた。1963年44歳6月世界婦人会議の日本代表団として渡ったソビエト連邦では異国風景数多くスケッチしアンデルセンへの思い新たにした。さらに1966年47歳)、アンデルセン生まれ育ったオーデンセ訪れたいとの思い募らせていたちひろは、「美術家ヨーロッパ気まま旅行」に母・文江とともに参加し、その念願果たした。この時、ちひろはアンデルセン生家訪れヨーロッパ各地大量スケッチ残した2度海外旅行得た経験は、同年出版された『絵のない絵本』に生かされた。 1966年赤羽末吉誘いで、まだ開発進んでいなかった黒姫高原土地購入して山荘を建て、毎年訪れてはここのアトリエ絵本制作を行うようになる当時日本では絵本というものは文が主体であり、絵はあくまで従、文章あってのものにすぎない考えられていた。至光社の武市八十雄は欧米絵本作家からそうした苦言を受け、ちひろに声をかけた。2人はこうして新し絵本、「絵で展開する絵本」の制作取り組んだ。そして1968年あめのひおるすばん』が出版されると、それ以降ほぼ毎年のように新し絵本制作した中でも1972年の『ことりのくるひ』はボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞した。 また当時挿絵画家の絵は美術作品としてほとんど認められず、絵本原画美術館での展示など考えられない時代であった挿絵画家著作権顧みられず、作品出版社が「買い切り」という形で自由にすることが一般であったが、ちひろは教科書執筆画家連盟日本児童出版美術家連盟かかわり自分の絵だけでなく、絵本画家著作権を守るための活動積極的に展開した。 ちひろは「子どもの幸せと平和」を願い原爆ベトナム戦争の中で傷つき死んでいった子どもたち心を寄せていた。1967年『わたしがちいさかったときに』は稲庭桂子勧めで、作文集『原爆の子』(岩波書店版 長田新編)と詩集原子雲下より』(青木書店版)から抜粋した文にちひろが絵を描いて出版されたものである1972年童画ぐるーぷ車展覧会に「こども」と題した3枚タブロー出品した。これがきっかけとなって制作された、ベトナム戦争の中での子どもたちを描いた1973年の『戦火のなかの子どもたち』がちひろ最後絵本となった1973年秋、肝臓ガンが見つかる。1974年8月8日肝臓ガンのため死去した

※この「童画家活動」の解説は、「いわさきちひろ」の解説の一部です。
「童画家活動」を含む「いわさきちひろ」の記事については、「いわさきちひろ」の概要を参照ください。

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