神田上水の構造とは? わかりやすく解説

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神田上水の構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 07:38 UTC 版)

神田上水」の記事における「神田上水の構造」の解説

神田上水始めとする江戸の上水道水の落差利用して給水する「自然流下方式」と呼ばれる方式であった神田上水井之頭池水源としている。その後各支流と合流し関口大洗堰を経て江戸市中給水している。井之頭池から関口までは野方堀と呼ばれた開渠の堀で運んだ関口から水戸屋敷までも開渠の堀で、こちらの方は白堀または素堀と呼ばれ両岸には石垣築かれてあった。 水戸屋敷出て御茶ノ水懸樋万年)で神田川渡り武家地町人地給水していた。給水を行うために使って水道網を形成していた。 『上水記』にについて下記のように記されている。 (上略地中通しを置埋ありあり埋土中に有地上にあり又高有懸あり分水ところにわかれありのふたをあけて水勢を常に考ふ中略)高にてせき上る登り竜引落すみな其地の高低にしたかふしかれとも水元より高くは上らすひきく落し高く上て水勢を増又は堀の水底を潜る所ももあり是を潜といふの下にそひて向ふの岸にわたる所もあり渡樋といふ又懸樋といふ名にて流る所を白堀といふ他方にて素堀ともいふ(下略) 『上水記』第一巻 送水であり、石樋木樋一般的で他に瓦樋・竹などの種類もあった。 石樋幹線として使われていた。1978年昭和53年)に霞ヶ関外務省地下から発掘した石樋玉川上水幹線として使用されいたものである。側壁は石を積み上げて作られていることから「石垣」と呼ばれていた。大きさ外径寸法が1250mm×1300mm、内径寸法が850mm×750mmであった。石と石との間には粘土をつめ込み漏水防いでいた。この発掘され玉川上水石樋模造品文京区本郷にある東京都水道歴史館展示されている。神田上水使用され石樋玉川上水とほぼ同じ構造であった1987年昭和62年)に文京区本郷神田上水石樋発掘された。この発掘され石樋石垣)の一部東京都水道歴史館隣接している本郷給水所公苑移築され復元されている(ギャラリー10参照)。 木樋石樋につながる幹線支線用いられた。木樋には、赤松などの木が使われていたが、が主に使用されていた。形は角型丸型三角型三種類があって角型が一番多い。木樋の1本当たりの長さ2mから3mほどで、継ぎ目合わせ目は船釘(釘の頭部には防錆のため漆が塗られてあった。)で留め、木の皮をつめて(主に漏水を防ぐ構造になっている大きさ大小様々であって大きいもので内径が1000mmを越すものもあった。 竹竹筒)は木樋上水井戸溜枡)との間を連結するときに用いられている。 貯水槽として一時的に溜めておく役割をもっている。前述の『上水記』によれば地下設けたを「埋」、「高」には流水高所上げる「登り竜」と流水低所に落とす「下り」の二種類があった。それに水の勢い水量・水質)を見たりするための「」や分水するときに使われる「わかれ分水)」といった存在していた。また、は木または石でできており、を通すための穴が開いていた。 これらの使って給水をしていたわけである。配管元禄ごろには町屋台所にも及んでいた。道路部分の伏樋から各戸引き込み宅地内の上井戸流れるようになっていた。長屋にも上水井戸設置され住人たちが共同使っていた。 水量水質に関して厳重な管理敷かれていた。神田玉川上水とも各所番人置いて毎日水量水質検査していた。神田上水では関口大洗堰に水番小兵衛、水道橋外掛守番人に伊兵衛任命されていた。 水量測定には前述使用されている。玉川上水では江戸市中の8ヶ所に配置されていたが、神田上水では水道橋掛樋のみ配置されていた。 水質面では上水道汚染されないよう高札建てている。高札内容は「上水水浴をしてはならない魚鳥取ってならない、ごみを棄ててならない、物を洗ってならない」の四項目が中心となっていた。なにしろ江戸の上浄水施していないため、導水路汚染されしまえば飲料水には使えないのであるまた、溜めておくは時々清掃し、底に溜まったヘドロ除去していた。 江戸の上水道先に紹介した通り、「自然流下方式」である。ヨーロッパ都市では18世紀後半には蒸気機関導入して揚水していた点で大きく異なる。江戸の上水道一見原始的にも思える。しかし、地下水道管施設していた点は現在の水道通ずるところがある。「水道産湯をつかい」と江戸っ子自慢であった上水道当時最新技術駆使したものであった。 ただ、火事地震といった災害には脆かった。特に木樋材質が木であるため災害が起こる度に大きな破損受けた。更に腐蝕しやすい点もあった。木樋破損腐蝕する汚物混入しやすくなるため早急に修理しなければならない。『東京市史稿 水道第一』に上水修理記録多く載せられている。神田上水だけでも30件以上ある。修理を行うための普請金も課せられていた。

※この「神田上水の構造」の解説は、「神田上水」の解説の一部です。
「神田上水の構造」を含む「神田上水」の記事については、「神田上水」の概要を参照ください。

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