睦月神事とは? わかりやすく解説

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睦月神事

名称: 睦月神事
ふりがな むつきしんじ
種別1: 民俗芸能
保護団体名: 賀茂神社睦月神事奉賛会
指定年月日 1978.05.22(昭和53.05.22)
都道府県(列記): 福井県
市区町村(列記): 丹生郡清水町大森
代表都道府県 福井県
備考
解説文:  これは賀茂神社氏子初春に際してその年の豊穣予祝して演じ田遊び一種である。庭先集合した一同祭場になる民家まで行列し家の中米俵上に戸板渡した舞台で稚児による田楽踊青年による田遊び囃子音頭)などが行なわれ、側には作りものの大扇立てかけられる。行列獅子神楽大名行列大団扇などに続いて飛子、ささら、もどきなどの舞子、牛仕いと種蒔き役の太夫などが練行する。田楽踊は、はじめに順の舞風の一人舞があり、次いで花笠をつけビンザサラを手にした四人踊りなどがある。歌詞はつかないが可憐な舞いぶりである。田遊びは、舞台大太鼓据え、それを打ちながらの二人太夫による田作り唱えごと、周囲連中囃しうたとが、交互に繰り返され進められる
 各芸能次第ともそれぞれに古風とどめており、芸能史評価が高い。

睦月神事

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/12 05:03 UTC 版)

睦月神事(むつき しんじ)は、日本の祭りの一つ。福井県福井市大森町(旧・丹生郡清水町大森[* 1]江戸時代における越前国丹生郡大森村、幕藩体制下の越前福井藩知行大森村。鎌倉時代荘園制度下における越前国志津荘大森村)に伝わる伝統行事であり、地元の賀茂神社奉納する神事芸能である[1][2]

概要

天下泰平・国家安穏・五穀豊穣など(往時は養蚕も含む)を祈願する神事で[1]越前猿楽本貫地らしく延年の面影を遺しており、大行列や田楽を模した稚児舞農耕を模した太夫田遊び儀礼など、中世芸能の生きた姿を見ることができる。

往時には、年に1度の旧暦正月14日(今でいう旧正月14日)に、現代では4年に1度、旧暦の正月14日にあたる新暦2月14日に近い日曜日(※直近の2019年平成31年〉は2月17日・第3日曜日であった。次回は2023年令和5年〉)に奉納されている[2][3][4]

奉納先は、奈良時代初頭の養老元年(西暦717年)に創建と伝えられる、大森の賀茂神社(賀茂下上大明神、福井市加茂町 賀茂神社)である[1][* 2]。所在地は福井市大森町9番地。

安土桃山時代末期の天正11年(1583年)に記された「丹生郡清水町斉藤六兵衛家文書」に所収の「賀茂明神由来覚」によれば[5]、荘園制度が健在であった鎌倉時代から室町時代前期にかけては、志津荘/志津之荘(しずのしょう)の8か村を4組に分け[* 3][6][* 4]、毎年の正月14日旧正月の14日)に交替で賀茂社の拝殿にて奉納されていた[5][6][7][6]。その拝殿が明治4年1871年/1872年)の火災で焼失すると[6]、以後は民家の敷地を利用して続けられてきた[6]。しかし経済状況の悪化などによって脱落する地区が相次ぎ、祭礼のみを行う地区が多くなっていった[6]。20世紀日本の時勢の移ろいに倣って規模の縮小を余儀なくされた昭和後期以降(第二次世界大戦戦後以降)は[6]、4年に1回、大森町でのみ盛大に行われる形に変わった[6]。大森町の大森家に伝わる江戸時代の睦月神事に関する史料(安政6年〈1859年〉の『加茂臨時祭記』、『加茂雷社祭詞録』など)には[6]、神事で奉納されるお囃子や歌などが鎌倉時代から伝わる言葉で記録されている[6]。21世紀前期現在では「800年以上前に始まった」と紹介されている[6]

1978年(昭和53年)5月22日、睦月神事で執り行われる伝統芸能[* 5]、「睦月神事の芸能」名義で[* 6]国の重要無形民俗文化財に指定された[8][7][6](現在管理者は加茂神社睦月神事保存会〈加茂神社睦月神事奉賛会〉[8][7])。1999年(平成11年)には、加茂神社睦月神事保存会(加茂神社睦月神事奉賛会)が発足すると共に[6]、睦月神事の保存と継承を図る専用施設(専用公民館)として睦月神事会館も開館した[6]

神事は練習であっても神前で行うものと決まっている[6]。会館が完成してからは(御旅所として?)ここに太鼓と共に神輿渡御した後でその年の練習が始められるようになった[6]。奉納される稚児舞は、を迎えておもてなしする本の「祝い中(いわいなか)」[6]上に戸板を渡した舞台の上で舞う)、祝中を真似て滑稽に舞う「もどき」[6]、4人の稚児がささら)を持って舞う「ささら」[6]、1人の稚児が掛け声に合わせて華やかに舞う「さいやいや」の4種類があり[6]、それぞれの舞には、祝い中が4~7歳、もどきが10~12歳、ささらが8~10歳、さいやいやが4歳~12歳と、演目ごとに舞える年齢が決まっていて[6]、舞う者は一生に一度ずつしか行えない[6][3]。当日は、侍太鼓(触れ太鼓)に始まり、賀茂神社参拝、服装を整える丈揃(たけそろえ)、扇本(祭詞と囃子が交互を続ける)、獅子舞・囃子などが神輿と共に練り歩く神輿渡御、明神参り(現在では神事会館への練り込み)、油おしと張りもの(神事の祭場の決定)、祝い中(本舞)、もどき(本舞の真似)、ささら(ささら舞)、さいやいや(一人舞)、扇本、祝詞奏上、神輿還幸が執り行われる[4]

脚注

注釈

  1. ^ 福井市大森町(地図 - Google マップ…※該当地域は赤い線で囲い表示される)
  2. ^ 賀茂神社(賀茂下上大明神)地図 - Google マップ
  3. ^ 賀茂神社を取り巻く形で、本折・大森・山内・滝波があり、本折の先に末、大森の先に上天下、滝波の先に笹谷と清水畑(平尾を含む)がある。これを山内と清水畑、本折と笹谷、大森と上天下、滝波と末の4組に分ける。
  4. ^ 当時の8か村は以下の現行9区域に引き継がれている。
    福井市本折町(地図 - Google マップ)、福井市大森町(地図 - Google マップ)、福井市山内町(地図 - Google マップ)、福井市滝波町(地図 - Google マップ)、福井市末町(地図 - Google マップ)、福井市上天下町(地図 - Google マップ)、福井市笹谷町(地図 - Google マップ)、福井市清水畑町(地図 - Google マップ)、福井市平尾町(地図 - Google マップ)。※該当地域は赤い線で囲い表示される。
  5. ^ 文化庁による解説は、睦月神事ではなく、かかる神事で行われる芸能が指定物件であることを明示している。
  6. ^ 文化庁は「睦月神事の芸能」名義、福井県教育庁は「睦月神事」名義としていて、食い違っている。ここでは登録した側である文化庁の記述を優先した。なお、神事が丸ごと指定されることが通常でないことを考え合わせれば、芸能に限定している文化庁の情報が正確と思われる。

出典

  1. ^ a b c 由緒”. 福井市加茂町 賀茂神社(公式ウェブサイト). 賀茂神社. 2019年4月30日閲覧。
  2. ^ a b 睦月神事”. 福井市加茂町 賀茂神社(公式ウェブサイト). 賀茂神社. 2019年4月30日閲覧。
  3. ^ a b 福井市 商工労働部 観光文化局 文化振興課. “睦月神事”. 福井市文化遺産(公式ウェブサイト). 福井市. 2019年4月30日閲覧。
  4. ^ a b 睦月神事|2019年・2023年・2027年|福井市”. ニッポン旅マガジン(公式ウェブサイト). 一般社団法人 プレスマンユニオン. 2019年4月30日閲覧。
  5. ^ a b 越前国”. 「ムラの戸籍簿」データベース(ウェブサイト). 「ムラの戸籍簿」研究会[1]. 2019年4月30日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 福井放送 (2011年2月27日放送). “800年の時を越えて ~福井市大森町・睦月神事~”. ダイドー祭りドットコム 日本の祭り(公式ウェブサイト). ダイドードリンコ. 2019年4月29日閲覧。
  7. ^ a b c 福井県教育庁. “睦月神事 - 福井県の文化財”. 公式ウェブサイト. 福井県. 2019年4月29日閲覧。
  8. ^ a b 睦月神事の芸能 - 文化遺産オンライン文化庁

関連項目

外部リンク

座標: 北緯36度1分11.4秒 東経136度6分57.4秒 / 北緯36.019833度 東経136.115944度 / 36.019833; 136.115944




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