県市対立から中止決定までの動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 05:03 UTC 版)
「南びわ湖駅」の記事における「県市対立から中止決定までの動き」の解説
同年10月22日の栗東市長選挙では、3人の候補のうち唯一の推進派であり現職の国松正一(自民・公明推薦)が再選されたが、嘉田は反対派2候補の合計得票数が国松を上回ることを指摘し、協議を重視する姿勢を示しながらも建設中止の動きを止めない姿勢を示した。10月26日には滋賀県が「新幹線新駅の需要予測・経済波及効果の再検証結果」を発表した。 10月28日と同31日、新駅設置促進協議会の正副会長会議(会長が嘉田、副会長が国松ほかの周辺市の市長等)が行われ、遅くとも07年3月末までに結論を出すべく引き続き凍結も含めた幅広い議論をしていくこと、JR東海に滋賀県が負担金の支払いの猶予を申し入れていくことなどで合意した。 12月21日、嘉田は2007年度の滋賀県知事提出予算案に新幹線関連を盛り込まないことを表明した。同月、栗東市議会に用地取得に関する百条委員会が設けられた。 翌2007年1月、県広報誌に掲載された「県政ズバリ解説『新幹線新駅問題』」において「遅くとも(2007年)3月末までには結論を出す予定」と示された。2月14日、建設協議会側から提案された、本線を高架橋とせず盛り土構造のままとし、新駅の関連部分を高架橋で現行の本線に沿わせるという工費圧縮案をJR東海が拒否。一方、3月末が期限とされていた地元の建設可否結論は10月まで猶予することで合意した。 3月1日、上記の市債発行差し止め訴訟で大阪高裁は一審の判決を支持し栗東市の控訴を棄却。栗東市は3月14日、最高裁判所へ上告した。 3月23日には栗東市議会で南びわ湖駅の建設予算を削除した修正予算の議決が可決されたが、3月30日に栗東市長が予算案を再議に付した結果、新駅関係予算を削った修正予算は否決され、建設予算が含まれている原予算が可決された。一方、3月27日には滋賀県が新駅建設関連事業に基づく栗東市の地方債起債に対し地方財政法5条の3で求められている「同意」を行わないことを明らかにした。 4月8日の滋賀県議会議員選挙(第16回統一地方選挙前半戦)では定数47議席のうち、建設凍結派の民主党は11議席から13議席、建設中止派の日本共産党は2議席から3議席に増加し、嘉田知事系の「対話でつなごう滋賀の会」も2議席から4議席に増加した(公認候補ベース)。一方、建設推進派の自民党は27議席から16議席と大幅に議席を減らし、公明党の2議席(1議席から2議席に増加)および自民党推薦の無所属議員を合わせても過半数を割る結果となり、親知事派の無所属議員を含めると建設凍結・中止の勢力が県議会の過半数を占めた。 4月22日の栗東市議会議員選挙(第16回統一地方選挙後半戦)では推進派が改選前より議席を3増やし過半数の議席を獲得。4月23日、駅設置促進協議会の正副会長会議で、JR東海との協議期限の10月末までに推進か中止の合意ができない場合現行の新駅計画は消滅とする覚書をJR東海と締結することで合意した。一方、JR東海は新駅の方向性がはっきりしないとして同月中に工事関係者を撤収させた。 5月6日、建設推進派であった自民党滋賀県連会長の宇野治が凍結容認を示唆。5月9日、県議会最大会派の「自民党・湖翔クラブ」が議員総会を開き嘉田が示す「限りなく中止に近い凍結」を支持する方針を決めた。5月13日、自民党滋賀県連は定期大会で嘉田支持を正式決定し、同党幹事長の中川秀直は嘉田に対し「抵抗勢力ではなく、対話勢力として臨む」と述べた。 7月24日、新駅設置促進協議会の事務局を務める栗東市が協議会予算を使用し、滋賀県や他の関係市に無断で建設推進を訴えるDVDを作成していたことが判明した。費用115万円について栗東市側は協議会予算の栗東市負担分(700万円)の中から捻出したとしつつも、市長の国松が同日の記者会見で「県や関係市に迷惑をかけた」と謝罪。嘉田は「相談なしは残念、慎重な対応を」と述べた。 9月3日、新駅設置促進協議会の正副会長会議にて、滋賀県はJR東海との協定を履行しない方針を表明した。 10月19日、市債発行差し止め訴訟で最高裁第2小法廷は栗東市の上告を棄却し起債差し止めを命じた1、2審判決が確定。栗東市は工事費負担金の確保見通しが立たなくなった。 10月24日、新駅設置促進協議会の正副会長会議で嘉田と国松の意見がまとまらず決裂。10月28日、新駅設置促進協議会の総会において嘉田が正副会長会議で合意に至らなかったことを報告。同月末、新駅建設の根拠となる基本協定が期限を迎え、建設中止が正式に決定した。
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