発生・発達
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 09:18 UTC 版)
すべての筋肉は沿軸中胚葉から発生している。沿軸中胚葉は胎児の体躯に沿い、体節ごとに分かれている。これは主に3つがあり、脊髄を形成する硬節、皮膚を形成する皮膚分節、筋肉を形成する神経節である。この中で神経節は上下の節に分かれており、それぞれ軸上と軸下の筋肉へとなる。ヒトの場合、上分節は脊柱起立筋と椎間筋肉の一部にしかならない。手足を含むその他の筋肉は全て下分節から発達する。 発生の期間、筋原繊維(筋前駆細胞)は脊椎に関連する筋肉へなるものと、その他の全筋肉を構成するため一度移動して体に取り込まれるものとに分かれる。通常では、側板中胚葉でつくられた筋原繊維がまず外郭を構成する結合組織を作る。そして筋原繊維は化学的な刺激に従いながら、それぞれ適切な場所で骨格筋を形成し始める。 生後、思春期前までは筋肉の発達に男女差が無いが、男性で思春期を迎えると第二次性徴によってアンドロゲンの分泌が活発となり、肩幅が広くなった後に筋肉が発達するようになり、男女間に筋肉の差が生じるようになる。 筋肉は少なくとも2度大きな進化を遂げた。ひとつは刺胞動物であり、もうひとつは左右相称動物である。これらは海綿動物に相当するような有機体にある収縮可能な細胞から進化したものと考えられる
※この「発生・発達」の解説は、「筋肉」の解説の一部です。
「発生・発達」を含む「筋肉」の記事については、「筋肉」の概要を参照ください。
発生・発達
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 09:57 UTC 版)
ヒトの胚発生の3週目はじめに、外胚葉は神経板(英語版)という端が肥厚した細長い組織を形成する。4週目までには神経板の幅が広がり、吻側が幅広で尾側へゆくにつれ細くなる形となる。この膨張は初期脳胞(英語版)と呼ばれ、前脳、中脳、菱脳のはじまりにあたる。 外胚葉由来の神経堤細胞は、神経褶(英語版)において神経板の側端部から生じる。第4週に神経褶が閉塞して神経管が形成され、神経堤に神経堤細胞が集まる。神経堤は神経管全体にわたって延び、吻側の端に頭部神経堤細胞、尾側に尾部神経堤細胞がある。神経堤から遊離した細胞は、管の中を吻側から尾側にわたって波状に遊走する。吻側の端にある細胞が脳となり、尾側の細胞が脊髄となる。 神経管は成長につれ屈曲し、吻側で三日月形の膨らみ(後の大脳半球)を形成する。この膨らみは32日目に現われる。 4週目のはじめに吻側部分が大きく腹側へ折れ曲がる頭屈が起こる。この折れ曲がった先が前脳胞に、隣のカーブしている部分が中脳胞に、さらにそこから尾側へいった部分が菱脳胞となる。これらの領域に形成される3つのコブは一次脳胞と呼ばれる。5週目には5つの二次脳胞が形成される。前脳胞は、吻側の終脳胞と尾側の間脳胞に分かれる。終脳胞は、大脳皮質、大脳基底核、およびそれに関連した器官になる。間脳胞は、視床と視床下部になる。菱脳胞は、後脳胞(英語版)と髄脳胞(英語版)に分かれる。後脳胞は、小脳と橋になる。髄脳胞は、延髄になる。また5週目のうちに脳は、神経分節(英語版)と呼ばれる、セグメントの繰り返しに分けられる。それは菱脳では菱脳節(英語版)と呼ばれる。 脳で特徴的なのは、皮質がひだ状に折り畳まれている点である。5か月を過ぎたころは、皮質はまだ平らである。24週になると、深い裂け目を伴なう皺の寄った形態が脳葉を形作り始めるのが分かるようになる。皮質に皺が寄る原因ははっきりしていないが、皺の形成は知性および神経学的障害と関連付けられてきており、様々な仮説が提唱されてきている。それらの中には、力学的なよじれ、あるいは軸索の張力、あるいは異なった接線方向への膨張を要因に挙げるものがある。少なくとも明らかなのは、皺の形成はランダムに行なわれるのではなく、各個人さらにはほとんどの種で共通した皺のパターンを作り出す、発生的にあらかじめ方向づけられた複雑なプロセスだということである。 4か月目に現われる最初の溝は、大脳外側窩である。大脳半球の尾側の端が延びるうちに、それは限られたスペースに納まるよう吻側へ折れ曲がり、これが大脳外側窩を覆って外側溝というさらに深い溝を作り、側頭葉が姿を現す。6か月までに、前頭葉、頭頂葉、後頭葉の境界を定める他の脳溝が形成される。ヒトのゲノム ArhGAP11B にある遺伝子は、脳の皺の形成と大脳化で重要な役割を果たしている可能性がある。 4.5週目でのヒトの胚、前脳の構造 5週目での脳の構造 3か月目での脳の正中面 出生時、脳の重さは約400gであり、その後25歳頃まで増加を続け男子で平均1350g、女子で1250gまで成長するが、増加は乳幼児期に急激に起こり、4〜6歳ごろには既に成人の95%ほどに達している。 こうした増加は、神経細胞の分裂・増殖によるものではなく、神経細胞の軸索や樹状突起が伸びて成長すること、グリア細胞が増加することなどによる。 人間の脳は、40歳を過ぎると10%ごとに約5%の重量と体積が失われる。70歳以上の人の減少は加速すると言われている。
※この「発生・発達」の解説は、「ヒトの脳」の解説の一部です。
「発生・発達」を含む「ヒトの脳」の記事については、「ヒトの脳」の概要を参照ください。
- 発生発達のページへのリンク