発生状況の監視
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感染監視(surveillance)とは、日常的に施設内での感染症の発生状況を把握することを指す。施設間・地域間の比較を容易にするために、血流感染症・尿路感染症・院内肺炎・人工呼吸器関連肺炎・術後感染症といった主な院内感染症の定義には米国院内感染サーベイランスシステム(National Nosocomial Infections Surveillance System, NNIS)の基準が用いられる。 実際には、感染制御チームの要員が患者カルテを調査したり、患者を直接診察して感染症に特有の症状や兆候の有無を判断したりしてデータを収集する。細菌検査室からの細菌検査室のデータも重要な情報源である。近年では細菌検査室データの自動化や電子カルテ化によりデータ抽出の自動化が進みつつあり、スタッフは臨床的なデータ収集により多くの時間を費やすことが可能となった。院内感染の約1/3は予防可能であるとされ、感染監視と予防活動は病院職員によっても次第に重要事項になりつつある。CDCによる院内感染管理プロジェクト(SENIC)によれば、感染監視活動と予防活動を重点的に行うことにより、院内感染の発症率を約32%減少させることができたと報告している。
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発生状況の監視
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 20:50 UTC 版)
感染症の対策において、その発生状況を監視し把握することは、他の全ての対策に先立って必要となる重要な事項である。また伝染性が高く重篤な感染症については、発生状況の把握と同時に、患者の入院や外出、就業の制限などによって、流行の蔓延を食い止めることが重要になることも多い。このため、世界的に重要な感染症の発生状況は各国の担当機関から世界保健機構 (WHO) に報告されて、世界規模で発生状況が監視されるとともに、その情報を元に各国が具体的な対応を行っている。 薬剤耐性病原体についても、ヒト免疫不全ウイルス (HIV) や結核、マラリアなど元々重大な感染症の薬剤耐性の状況に加え、バンコマイシン耐性腸球菌やペニシリナーゼ産生淋菌などの薬剤耐性菌などについての情報が集積されている。日本では、感染症新法に基づいて、いくつかの薬剤耐性菌による感染症が5類感染症に指定され、発生後一週間以内に届け出ることが義務づけられている。 アメリカ疾病予防管理センター (CDC) は、病院や高齢者福祉施設などから検体を集めて、耐性菌の分析・発見を行っている。また日本では、薬剤耐性菌実験施設を持つ群馬大学が事務局である「薬剤耐性菌研究会」が国内外での発生情報を収集・提供している。 また、インド、パキスタンが発生源とみられ、ほとんどの抗生物質が効かない新種の細菌に感染した患者がヨーロッパで増えており、ベルギーで2010年8月16日までに最初とみられる死者が確認された。欧米メディアによると、イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリアで感染が確認され、今後さらに拡大する恐れがある。 英医学誌『ランセット』によると、何種類かの細菌が「NDM1」遺伝子を持ち、ほとんどすべての抗生物質に対して耐性を持つようになった。こうした細菌に感染すると死亡率が非常に高くなるため、感染への監視強化と新薬の開発が必要だとしている。同誌によると、イギリスでは約50件の感染が確認されている。感染者の多くは、医療費の安いインドやパキスタンで美容整形手術を受けており、感染源は両国との見方を論文は示している。
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