監視
サーベイランス
サーベイランス surveillance
サーベイランス
(Surveillance から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/04 03:19 UTC 版)
サーベイランス (英: surveillance) とは、緊急の対応が必要となる可能性のある事柄について、平常時から継続した調査を続けること[1]。経済や感染症の動向などに対してサーベイランスが実施されている[2]。動態統計あるいは経常調査の一種ともみられうるが、緊急事態に即応するため、迅速性を重視した設計をとることが多いという特徴を持つ[3]。異常が見つかったときには、それに対応してなんらかの介入手段をとる[4]。また、状況によって必要となる追加調査を行うことがある。
経済サーベイランス
国家の経済活動や経済政策が適切に行われているかを判断するための情報を集め、分析・評価するのが経済サーベイランスである。こうした情報をもとに、多国間で相互に、あるいは国際機関による政策の監視が行われる。
国際通貨基金 (IMF) によるサーベイランスでは、各国の経済指標をまとめて評価した報告書が定期的に作成されるほか、当該国を実際に訪問しての調査もおこなう[5](p26)。問題がある場合には警告を発したり、経済政策に対する助言を提供するなどの対処をとる[6]。
先進7ヶ国財務相会議や欧州連合 (EU)[7] [8]、経済協力開発機構 (OECD) なども、それぞれ経済サーベイランスを行っている。
公衆衛生サーベイランス
公衆衛生の分野では、人々の健康にとって脅威となりうる事柄について、サーベイランスを行っている[1]。その対象にはつぎのようなものがある。
- 死亡、疾病、事故、暴力など、健康を損なう事態そのもの[9]
- 人々が接触する環境(食品、薬品、水、大気、土壌、動物など)中に存在する、健康を害する要因(病原体、アレルゲン、化学物質など)[10][11]
- 免疫、アレルギー、生活習慣など、個人側の要因[11]
なかでも、ヒトからヒトに感染することで広がる感染症については、患者発生の情報を集約して対策をとる仕組みが古くから各国で構築されてきた[4]。その情報を国際的に集約するネットワークも形成されている。
感染症サーベイランスの局地的な応用として、病院など医療機関内部での感染症流行に対応するための調査が行われており、現代医療において重要な位置を占めている[12]。
参考文献
- 高島郁夫、熊谷進 編『獣医公衆衛生学第3版』文永堂出版、2004年 ISBN 4830031980
脚注
- ^ a b Thacker, Stephen B.; Birkhead, Guthrie S. (2008). “Surveillance”. In Gregg, Michael B. (英語). Field Epidemiology (3rd ed.). Oxford University Press. pp. 38-64. ISBN 978-0-19-531380-2. NCID BA87309861
- ^ Donner, Frank J. (1980) (英語). The Age of Surveillance: The Aims and Methods of Americas Political Intelligence System. Knopf. ISBN 9780394402987
- ^ Last, John M. 著、日本疫学会 訳『疫学辞典』(第3版)日本公衆衛生協会、2000年。 ISBN 4-8192-0167-0。 NCID BA45495395。
- ^ a b 鈴木基「わが国における新型コロナウイルス感染症のサーベイランス」『医療と社会』第32巻第3号、医療科学研究所、2022年10月27日、435-442頁、 CRID 1390856981716079744、doi:10.4091/iken.32-435、 ISSN 09169202。
- ^ 国際通貨基金『不確実性の時代における成長の実現』International Monetary Fund〈IMF年次報告書2025〉、2025年。www
.imf 。.org /external /pubs /ft /ar /2025 /download /japanese / - ^ 河合正弘「2020年代の国際通貨システム」『フィナンシャル・レビュー』第153巻、財務省財務総合政策研究所、2023年6月、9-75頁、 CRID 1520860155546617600、doi:10.57520/prifr.153.0_9、 ISSN 0912-5892。
- ^ 井上裕司「経済のグローバリゼーションとEUのガバナンス : 欧州レベル制度と政治過程(6)」『名古屋大学法政論集』第226巻、名古屋大学大学院法学研究科、2008年、217-261頁、doi:10.18999/nujlp.226.6、 NAID 110006873004。
- ^ 田中友義「欧州債務危機の再発防止とEU経済ガバナンスの再構築: 財政規律の多角的監視の強化と自動的制裁の導入」『季刊国際貿易と投資』第25巻第3号、国際貿易投資研究所、2013年、4-21頁、 ISSN 2759-1328、 NAID 40019920439、 NCID BA87662722、国立国会図書館書誌ID: 025101650。
- ^ Rasmussen, Sonja A.、Goodman, Richard A. 編、岩田健太郎 ほか 訳『CDCのフィールド疫学マニュアル』メディカル・サイエンス・インターナショナル、2020年(原著2018年)。 ISBN 978-4-8157-3008-6。 NCID BC04835511。国立国会図書館書誌ID: 030785095。
- ^ “環境保健サーベイランス調査”. 保健・化学物質対策 > 大気汚染による公害健康被害対策. 環境省. 2026年1月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年1月29日閲覧。
- ^ a b 厚生労働省 健康・生活衛生局 感染症対策部 感染症対策課 (2025年). “感染症流行予測調査実施要領” (PDF). 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト 感染症流行予測調査. 2026年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年1月23日閲覧。
- ^ 古宮伸洋 著「医療施設におけるサーベイランス」、吉田眞紀子、堀成美 編『感染症疫学ハンドブック』医学書院、2015年、64-78頁。 ISBN 978-4-260-02073-2。 NCID BB18801361。
関連項目
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