産地偽装事件
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鳴門わかめでは2008年(平成20年)の発覚以降、産地偽装発覚が相次いだ。以下は事件に関する一連の経緯である。 2008年(平成20年)1月21日 - 「鳴門わかめ」として出荷された商品に韓国や中国産のワカメが混入していたとして、徳島県は鳴門市内の加工業者2社に不適正な表示を是正するよう指示。2社のうち1社の社長は日本わかめ協会の会長を務めており、同社長が経営していた別会社も偽装に関わっていたとして厳重注意を受けた。 その後の徳島県による調査で、偽装が確認されたのは13社に及んだ。県は不正を監視するために、商品の抜き打ち検査や食品表示Gメンを導入。 産地偽装事件への対策を目的として、鳴門市内の加工業者は「鳴門わかめブランド回復緊急対策部会」を、市外の加工業者は「鳴門わかめブランド回復対策会議」をそれぞれ発足した。加工業者2団体に県漁連や生産者の代表を加え、信頼回復のため「偽装が発覚すれば自主廃業する」旨を含めた『鳴門わかめ信頼回復のための協定書』を結んだ。 2009年(平成21年)6月 - 「鳴門わかめブランド回復緊急対策部会」は「鳴門わかめブランド対策部会」に名称を変更。 7月22日 - 鳴門市内の加工業者(以下「加工業者A」)が中国産ワカメを「鳴門産」と記載したとして、徳島県から不適正な表示を是正するよう指示。 2010年(平成22年)5月9日 - 加工業者Aの前社長が徳島県警により不正競争防止法違反で逮捕。 7月22日 - 理研ビタミンが鳴門市内のワカメ業者から仕入れた原料のわかめが、産地偽装されていた疑いが強いことから商品回収を発表。 9月16日 - 加工業者Aの前社長に徳島地方裁判所で懲役2年・執行猶予5年の判決が下される。 2011年(平成23年)6月 - 鳴門市内の加工業者(以下「加工業者B」)が伝票などを適切に保管していなかったとして、徳島県から行政指導を受ける。 2012年(平成24年)11月 - 徳島県は加工業者Bに2度目の行政指導。 2014年(平成26年)1月27日 - 徳島県は加工業者Bを刑事告発、県警により加工場が家宅捜索を受ける。 同日 - 徳島県は加工業者や生産者を集めた緊急の対策会議を開催。加工業者Bは「鳴門わかめブランド対策部会」に加盟していなかったことから、生産者側は対策部会や県に「会員とそれ以外の区別が一目でわかるようにして欲しい」と要望。対策部会は、生産者が発行する産地証明書について発行を依頼しない加工業者もいることから、産地証明のために徹底するよう部会員に呼びかけるとした。 5月28日 - 徳島県警は加工業者Bの代表者と社員2名を逮捕。 10月 - 徳島県が、加工履歴を適正に管理している加工業者を県が認定する『徳島県鳴門わかめ認証制度』を設ける。 2015年(平成27年)11月2日 - 徳島県が鳴門市の加工業者(以下「加工業者C」)に対して是正指示。 11月6日 - 加工業者Cが、徳島県の聞き取りに対して出荷先などについて虚偽の回答をしていたことがGメンの調査で発覚。 12月8日 - 徳島県は悪質性が高いと判断した加工業者Cを刑事告発。県警により代表者の自宅が家宅捜索を受ける。 同日 - 加工業者による外国産わかめを使用した生産量の水増しを防ぐため、鳴門市の関係部署は養殖業者に生産履歴票の作成・保管を求めることを申し合わせた。 2016年(平成28年)1月29日 - 徳島県が鳴門市内の加工業者(以下「加工業者D」)に是正指示。同社は事件の発端となった2008年(平成20年)の最初の調査で厳重注意を受けており、「鳴門わかめブランド対策部会」の部会長が専務を務めていた。 2月10日 - 部会長による偽装事件を受けて「鳴門わかめブランド対策部会」の臨時総会が開催。信頼を失った部会を維持したままの信頼回復は困難と判断が示され、同日付での解散を決定した。 2月12日 - 新しい組織設立のため、鳴門市の加工業者の呼びかけにより鳴門市と徳島市の計4社が徳島市内で発足準備会を開催。「鳴門わかめブランド回復対策会議」の解散を決定するとともに、『徳島県鳴門わかめ認証制度』の認証を受けている加工業者による「鳴門わかめ認定業者連絡会議」を近く設立することを決定。 2月15日 - 徳島県は加工業者Dを刑事告発。対策部会の部会長による度重なる偽装であり、悪質と判断されたためである。県警により経営者自宅・倉庫・加工場などが家宅捜索を受ける。 2月18日 - 「鳴門わかめ認定業者連絡会議」が発足。偽装事件を巡って初めて生産者と加工業者が連携を図り、その時点で『徳島県鳴門わかめ認証制度』の認証を受けていた18社のうち12社が参加した。 9月 - 加工業者Cの代表者とその長男が徳島地方検察庁に書類送検。 11月25日 - 徳島県は『徳島県鳴門わかめ認証制度』普及のため、申請に必要な加工履歴記録を簡易化するためのアプリの開発を発表。 2017年(平成29年)6月1日、加工履歴作成支援アプリ「わかめ管理」が公開される。 6月10日 - 加工業者Cの代表者とその長男が、徳島地方裁判所で懲役8月・執行猶予3年の判決が下される。
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