漢字Talk7とは? わかりやすく解説

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漢字Talk

(漢字Talk7 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/15 05:18 UTC 版)

漢字Talk
Classic Mac OS ファミリー
開発者
Apple
リリース情報
最新の安定版 7.5.5 - 1996年11月14日 [info]
ソースモデル クローズドソース
サポート状態
終了

漢字Talk(かんじとーく)は、Apple1996年まで使用していたMacintoshオペレーティングシステムであるClassic Mac OSの日本語版につけた名前。翻訳されたアプリケーションで構成されており、日本語フォントが設定され、ことえりと呼ばれる日本語入力システムが搭載されていた。このソフトウェアは日本でのみ発売され、サポートもアップルコンピュータジャパンのMacintoshのみを対象とした。

沿革

開発指示

1985年(昭和60年)、Macintosh部門の責任者であったスティーブ・ジョブズからの指示により、ジェームス比嘉とケン・クルグラー[1][2]Mark Davisらにより開発が始められる。大座畑重光によると漢字TalkのTalkはSmalltalkからとったという[3]

漢字Talk 1.0[4]

  • System 3.0と共に1986年(昭和61年)に披露され、最初はMacintosh Plusに割り当てられた。[5]
  • 日本語フォントとしてSapporo、Kyotoが付属[6]
    • 漢字Talk 1.1

漢字Talk 2.0[4]

  • 1987年[7]:同時発売されたMacintosh IIとMacintosh SE向けに開発が間に合わず、購入者に後日発送された。
  • System 4.1をベースとしていた[8]
  • 日本語入力フロントエンドプロセッサとして2.0変換を搭載[9]
  • 日本語フォントとしてOsaka、Kyotoが付属[6]

漢字Talk 6.0

  • 1989年3月[10][11]
  • ベースのシステムとFinderとバージョン番号が同期するようになる。
  • カレンダーを正月三が日のいずれかにセットして立ち上げるとスタートアップ時の"Welcome to Macintosh"画面に「あけましておめでとうございます」が表示された[12]

漢字Talk 7 リリース7.1

漢字Talk 7.5

それまでApple Internetスタータキットの一部として別売りだった[18]MacTCPが標準添付されている[19]

  • 漢字Talk 7.5.1:1995年 Performa 6260[20]、Power Macintosh 6300[21]に付属。
  • 漢字Talk 7.5.2:1995年 初代のPower Macintosh 9500Power Macintosh 8500、Power Macintosh 7500、PowerBook 5300、PowerBook 190、PowerBook Duo 2300c/100に付属。ネットワーク周りなど多数の問題を抱えていた[22]
  • 漢字Talk 7.5 バージョン7.5.3:1996年5月 マイナーアップデートされたPower Macintosh 9500、Power Macintosh 8500、Power Macintosh 7500に付属[23]
    • 漢字Talk 7.5 バージョン7.5.3 リリース2:1996年9月3日発表[24]。かつて一部フォントを除いたディスクイメージが無償ダウンロード提供されていた[25]
  • 漢字Talk 7.5.5:1996年11月14日発表[26]

グローバルな名称への統合

System 7.6として発表されていたOSは、リリース時にMacintosh互換機へのライセンスとの兼ね合いで、Mac OS 7.6という名称とされ[27][28]、漢字Talkという日本語版のみの独自名称の利用は7.5.5までで終わった。なお、同じ漢字文化圏CJKVである中国語や韓国語は漢字Talk 7.1と同期のSystem 7.1から対応しているが、「漢字Talk」の名称は用いず最初からSystem 7.1として対応している。

仕様

漢字Talkでの内部文字コードは、6.0.xまではShift-JISを使い、7.1からAppleも策定に協力したUnicode[29] に取って代わられたが、採用している漢字およびフォントはJISのものに縛られていた[30][31]

日本語フォント

  • Sapporo:漢字Talk 1.0に搭載されたゴシック体[32] のビットマップフォント。
  • Kyoto:漢字Talk 6.0、漢字Talk 7.1まで搭載された明朝体のビットマップフォント。
  • Osaka:Sapporoに代わって搭載されたゴシック体のビットマップフォントで、システムフォントとなった。 漢字Talk 7.1からTrueTypeフォント。漢字Talk 7.1から標準搭載。[33]
  • リュウミンL-KL:漢字Talk 7.1から搭載された明朝体のTrueTypeフォント[15]。ロックがかかっておりアウトラインがとれない。
  • 中ゴシックBBB:漢字Talk 7.1から搭載されたゴシック体のTrueTypeフォント[15]。ロックがかかっておりアウトラインがとれない。
  • 平成角ゴシック W5:漢字Talk 7.1から搭載されたゴシック体のTrueTypeフォント[15]
  • 平成ゴシック体W5:漢字Talk 7.1に標準搭載されたTrueTypeフォント。[33]
  • 平成明朝 W3:漢字Talk 7.1から搭載された明朝体のTrueTypeフォント[15]
  • 本明朝-M:漢字Talk 7.1から搭載された明朝体のTrueTypeフォント[15]
  • 丸ゴシック-M:漢字Talk 7.1から搭載された丸ゴシック体のTrueTypeフォント。本明朝-Mと同じリョービイマジクスの書体「シリウス-M」[15]

欧文TrueType

漢字Talk 7.1から標準搭載された9書体のTrueTypeフォント。BitStream社が提供した[33]

  • Athens (スラブセリフ)
  • Cairoは、装飾記号フォントであり、z文字の位置にある犬小屋で知られていた。
  • Chicago (サンセリフ) は、System 1– Mac OS 7.6 のデフォルトのシステムフォント。iPodの LCD 画面にも搭載されていた。
  • Geneva (サンセリフ) は、小さなポイントサイズ向けに設計され、Mac OSユーザインターフェイスのすべてのバージョンで普及していた。名前は、スイスの書体Helveticaからのインスピレーションによる。9ポイントのGenevaフォントはOld World ROM Macに組み込まれている。
  • London (ブラックレター) 古英語スタイルのフォント
  • Los Angeles (スクリプト) 手書き風の細いフォント
  • Mobile ビットマップのディンバットフォント。System 6以前はTaliesinであった。
  • Monaco (サンセリフ、モノスペース)は、9~12ptの使用に適した固定幅フォント。10ポイントのMonacoフォントはOld World ROM Macに組み込まれている。
  • New York (セリフ) は、Times Romanからインスピレーションを得たフォント。Times RomanはロンドンのTimesに使われたフォントである。

脚注

  1. ^ 【レビュー】世界のOSたち - GUIを世界に広めた「Mac OS」前編
  2. ^ ケン・クルグラーは、その後Appleを離れTransPac Software, Inc.を起業し、漢字Talk 2.0向けにTurboWriterというワープロと、日本語入力FEPのTurboJIPを開発、販売した。
  3. ^ 「漢字Talkの名付け親」が語るAppleへの想い|Mac Fan”. book.mynavi.jp. 2019年8月21日閲覧。
  4. ^ a b c 世界のOSたち - GUIを世界に広めた「Mac OS」後編 - 1 Macintoshに日本語をもたらした「漢字Talk」
  5. ^ 漢字Talk 1.0 - 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典”. yougo.ascii.jp. 2018年4月15日閲覧。
  6. ^ a b 世界のOSたち - GUIを世界に広めた「Mac OS」後編 (1)”. マイナビニュース (2012年12月11日). 2022年1月9日閲覧。
  7. ^ 漢字Talk 2.0 - 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典”. yougo.ascii.jp. 2018年4月15日閲覧。
  8. ^ 漢字Talk 2.0
  9. ^ 世界のOSたち - GUIを世界に広めた「Mac OS」後編”. マイナビニュース (2012年12月11日). 2025年2月13日閲覧。
  10. ^ a b アップル - PRWeb - 会社情報 - アップルの歴史(1989〜1991年)”. web.archive.org (2011年3月30日). 2025年2月14日閲覧。
  11. ^ 漢字Talk 6.0 - 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典”. yougo.ascii.jp. 2018年4月15日閲覧。
  12. ^ Raisan 1997, p. 168.
  13. ^ a b SuperASCII 1991年4月号, p. 45.
  14. ^ System 7で幕をあけた激動の1990年代(後編)”. ITmedia PC USER. 2022年12月9日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g h Mac OS漢字Talk 7.1とTrueTypeの登場─フォント千夜一夜物語(9) - 日本印刷技術協会
  16. ^ System7はGomTalkSysMode日本語といったパッチソフトで漢字Talk 6.0.7の日本語部分を無理やりインストールして日本語化する方法が使えた
  17. ^ Raisan 1997, p. 105.
  18. ^ 1996年5月24日 煩雑な設定なしにインターネットが利用できる 「Apple Internet スタータキット」発表”. web.archive.org (1997年2月25日). 2025年5月14日閲覧。
  19. ^ インターネットに対応してきた[最新パソコンOS]” (1995年4月8日). 2025年5月14日閲覧。 “漢字Talk7.5からは、TCP/IP ドライバである「MacTCP」が標準装備になった。これまでは、このMacTCPを手に入れるためにスターターキットを購入した人も多くいたが、これからはその必要はなくなったわけだ。”
  20. ^ この夏限定販売のMacintosh Performa 6260”. pc.watch.impress.co.jp. 2021年4月7日閲覧。
  21. ^ 「Power Macintosh 6300/120」を発表”. web.archive.org (1997年2月25日). 2021年4月7日閲覧。
  22. ^ Apple、漢字Talk 7.5.3へのアップグレードを無償で配布予定”. インプレス. 2021年4月7日閲覧。
  23. ^ Power Macintoshの新製品 4機種5モデルを発表”. pc.watch.impress.co.jp. 2021年4月7日閲覧。
  24. ^ アップル、漢字Talk 7.5.3を発表
  25. ^ ソフトウェアリファレンス 漢字Talk 7.5 バージョン7.5.3
  26. ^ アップル、「漢字Talk 7.5.5アップデート」の無償配布開始を発表
  27. ^ 祝Macintosh30周年!! SystemからMac OSへ名称変更|Mac - アスキー
  28. ^ Mac OS 7.5以降のユーザーには9,000円、それ以前のバージョンのユーザーには24,000円で提供 - アップル、Mac OS 7.6を発表、3月下旬より発売 - PC watch (1996年2月17日)
  29. ^ Unicodeとは - 日本電子出版協会
  30. ^ A Brief History of Character Codes, Steven J. Searle, originally written 1999, last updated 2004
  31. ^ Apple にまつわる歴史 … Apple 標準システム外字 - ミケネコ研究所 / 文字コードの部屋 / 機種依存文字の歴史
  32. ^ 斎藤由多加『マッキントッシュ誕生の真実』毎日コミュニケーションズ、2003年。ISBN 4-8399-0975-X 
  33. ^ a b c Mac OS漢字Talk 7.1とTrueTypeの登場─フォント千夜一夜物語(9)”. www.jagat.or.jp. 2023年6月1日閲覧。

関連項目

参考文献

  • 中原晃司、梶浦正規『マッキントッシュ礼賛』株式会社カットシステム、1997年6月1日。ISBN 4-906391-45-1 
  • 「SuperASCII 1991年4月号」第2巻第4号、株式会社アスキー出版、1991年4月1日。 

外部リンク


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