深海探査艇




深海探査艇(しんかいたんさてい、英語:Deep-submergence vehicle, DSV)とは、深海を探査する目的に供される潜水艇である。
構造
ここでは近年の艇の特徴を主として述べる。以前の類型などについてはバチスカーフの記事なども参照のこと。
球形の耐圧殻があり、蓄電池から電力が供給されるようになっている。乗組員の吐き出す二酸化炭素はアルカリ性の吸収剤で炭酸塩として吸収する。ビデオレコーダーやカメラを備えている。
耐圧殻は以前は高張力鋼が用いられていたが、1980年代頃からはチタン製が主流となっている。また水深の浅い水域用には全周がアクリル樹脂でできているものもある。耐圧殻の安全基準に関して日本は他国よりも厳しいルールがあり、設計深度×1.5+300メートルという構造強度基準で、しんかい6500では水深10,050mの水圧に耐えられる耐圧殻の設計となっている一方、中国では国際標準化機構(ISO)部会に対し、6,000mの深度については適用圧力を設計潜水深度の1.1∼1.25倍でよいではないかと提案していて米国も設計潜水深度×1.25を適用圧力としている[1]。そのため、蛟竜の方が軽く、しかも大きな径の耐圧殻を装備しているにもかかわらず、潜航深度が大きい[1]。
超音波で母船に画像や音声を送ることが出来るが、帯域が限られているので伝送容量に限界があり、動画を送る事は出来ない。デジタル圧縮技術の進展で以前に比べ、ある程度は改善されてはいるが、依然、この問題は解決されていない。そのため、使い捨ての光ファイバーを映像等の広帯域と必要とする伝送に使用する例があるが放棄された光ファイバーによる環境への悪影響が懸念される。
電動機は無整流子電動機の技術確立後はこれが主流である。バッテリーは以前は銀亜鉛電池を用いており、充電時に亜鉛の樹状結晶が成長し、セパレータに悪影響を与え、最悪の場合短絡するためサイクル寿命が短かったが、21世紀にはリチウムイオン電池が広まっている。高容量で低温でも放電特性が優れており、サイクル寿命が長い為、経費削減に寄与する。
浮力材には、バチスカーフではガソリンが用いられたが、現在ではシリカのマイクロバルーンをエポキシ樹脂で固めたシンタクチックフォームが用いられる。船体の傾斜を調整する為に従来は水銀が使用されていたが、近年ではシークリフやタートルのように水銀の代わりに数珠状につなげたタングステンのボールを移動させる事により重心を移動する機種もある。比重の重いタングステンのボールと半分は浮力材で出来たボールが連なっており片側にタングステンのボールが入り、同じ数だけ反対側のタンクに浮力材が入る事で移動した体積を補う。
運用中の潜水探査艇
1970年代までは各国で有人潜水調査艇が建造されたが、1980年代以降は遠隔操作無人探査機(ROV)の性能が向上し、有人潜水調査艇の建造数は一時期下火になっていたものの、近年、記録の樹立やレクリエーション用等、乗る事を目的として数々の新技術を投入した有人潜水艇の新たな建造例が散見される。遠隔操作無人探査機の支援母船等も含めた運用経費は同深度の潜水能力を持つ有人潜水艇と比較して1/10以下であるとされる。また、技術の進歩により、従来有人でなければ不可能だった分野でも無人機で可能になりつつある。また、タイタニック号の調査のように有人潜水艇から無人潜水艇を制御する運用も実施される。ケーブルでの操作を必要としない自律型無人潜水機も開発され、長距離の連続航行が可能となった。
日本
オーストラリア
- ディープシーチャレンジャー - ジェームズ・キャメロンによって2012年3月26日、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵の最深部(8,221 m)に到達した。
フランス
- ノティール ‐ 6000m級。
アメリカ合衆国
- アルビン
- パイシーズ - カナダで10台が製造され、現在は4号機と5号機をアメリカ海洋大気庁が運用
- ディープローバー
- トライトン
- リミティング・ファクター - 14,000msw
ロシア
中国
過去の潜水探査艇
日本
アメリカ合衆国
フランス
ベルギー
- FNRS-2 - オーギュスト・ピカールが開発した世界初のバチスカーフ
イタリア
スイス
- ベン・フランクリン (PX-15) - カナダのバンクーバーにて保存
カナダ
脚注
- ^ a b c 有人潜水船、掘削船に注力 中国の海洋開発技術
- ^ “水深1万メートル級への潜行世界一 中国の有人潜水艇「奮闘者号」”. www.afpbb.com (2022年1月13日). 2025年3月10日閲覧。
- ^ “有人潜水船「奮闘者」号、1万909メートルの潜水で新記録樹立”. spc.jst.go.jp. 2025年3月10日閲覧。
関連項目
- 大気圧潜水服
- 遠隔操作型無人探査機(ROV)
外部リンク
- http://users.skynet.be/RonSubCovers/DSRV/USA%20DSRV%20Index.htm
- http://ussubvetsofworldwarii.org/ss_submarines/submarinelist.html
- DEEP SUBMERGENCE VEHICLE (S-P)
- DEEP SUBMERGENCE RESCUE VEHICLE (S-P)
- http://www.chinfo.navy.mil/navpalib/factfile/ships/ship-dsrv.html
- http://www.jamstec.go.jp/jamstec-e/ships/index.html
- http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8080324.stm
深海調査船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 15:22 UTC 版)
父親が太平洋戦争に従軍していたことから沈没した戦艦にも興味を持っており、海底調査のため全長414フィートのオクトパス(Octopus)や調査船ペトレルを所有している。オクトパスには2つのヘリポートやプールなどの快適装備を備え外洋を長期間航行できるギガヨットであるが、2種類の海底探査機を始めとした探査機材が搭載された海洋調査船でもあり、海底調査の専門家チームが乗船している。 戦艦「武蔵」探査 フィリピンレイテ島のシブヤン海で、太平洋戦争時に沈没した旧日本海軍の戦艦「武蔵」を発見したと、2015年3月3日、自身のTwitterアカウントで報告、翌4日には新たに自身のホームページに「旧日本海軍の『武蔵』」というタイトルの動画を公開した。なお「武蔵」は8年前から捜索を続けていたという。 巡洋戦艦「フッド」探査 ポールは1941年にデンマーク海峡海戦で沈没したイギリスの巡洋戦艦「フッド」にも関心を持ち、イギリス当局の許可を得て2012年に最初の海底調査を行う。その際、フッドの生存者が回収を望んでいたフッドの号鐘を回収しようとしたが、気象条件などにより、あと一歩のところで失敗に終わった。 2015年、ポールは再度調査を行い、8月7日についに号鐘の回収に成功した。号鐘は一年かけて修復される予定である。 重巡洋艦「インディアナポリス」探査 2017年8月18日、ポールが率いる民間のチームが太平洋の水面下1万8000フィートの海底で、重巡洋艦インディアナポリスを発見した。 空母「レキシントン (CV-2)」探査 2018年3月5日、オーストラリア東岸から約800キロメートル、深さ約3200メートルの海底でレキシントン (CV-2)の残骸を発見した。 駆逐艦「島風」探査 2017年12月15日に島風と思われる残骸を発見している。 その後 詳細は「ペトレル (調査船)#調査結果」を参照 ポール・アレンが亡くなったため、調査は調査艇を引き継いだ財団によって行われている。
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