たいあつ‐こく【耐圧殻】
耐圧殻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 13:26 UTC 版)
潜水艦は潜航時には水圧が加わるので、船体は水圧に潰されない強度が必要である。船体の耐圧部分は耐圧殻と呼ばれる。耐圧殻の配置形式には大別して単殻式と複殻式がある。 単殻式 船体は耐圧構造船殻一層のみで、その内部に居住区画、機関、海水タンク、燃料タンクなどを収容している。つまり、船体自身が耐圧殻といえる。構造が単純であり、船体の小型化が可能であるが、海水槽を船体内部に搭載する必要があり、船体容量が少なくなる。 サドルタンク式 基本的に単殻式と同一であるが、船体外部側面にバルジを設置して、バルジ内部空間を燃料タンクとして利用したもの。第二次大戦期の潜水艦で多く採用された。バルジに加わる水圧は燃料を介して内殻に伝わるため、バルジは非耐圧でも問題ない。ただし、燃料消費後はバルジ内部が空になり、そのままだと水圧で潰されてしまうので、代わりに海水を注入する。 複殻式 非耐圧構造の外殻と耐圧構造の内殻の二層からなる二重構造船体であり、ちょうど魔法瓶のようにできている。外殻と内殻の空間は燃料タンクまたは海水タンクとして利用し、内殻内部に居住区画その他を収容する。 外部の海水から掛かる水圧は外殻には掛からず、外殻と内殻の間にある海水または燃料を介して内殻に伝わる。そのため、外殻は非耐圧でも問題ない。 複殻式の特徴は以下のとおり。外殻と内殻の間を、燃料や海水を入れる空間に利用可能である。そのため、航続力や予備浮力を増加できる。 外殻と内殻が離れているため、外部に漏れる騒音を減らすことができる。また、外殻が中空装甲として機能するので、被弾時に外殻や間の海水・燃料が爆圧を吸収し、内殻への衝撃が少なくなり、被害を低減できる。そのため、生存性向上に寄与する。 半殻式 部分複殻式とも呼ばれる。船体に単殻式部分と複殻式部分を混在させた、両者の中間的形態である。 複眼式 外殻内部に2本の内殻がある構造。伊四百型潜水艦やタイフーン型原潜など、大型の戦略級潜水艦に見られる。
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