海上コンテナ取扱量の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 00:30 UTC 版)
「日本のコンテナ輸送」の記事における「海上コンテナ取扱量の現状」の解説
日本全国では、典型的な海洋国家ゆえに、62港もの港で国際用海上コンテナが扱えるので、コンテナを利用する利便性は、ある意味では非常に高いと言える。しかしその反面、これらの港夫々には、東京湾 ・ 伊勢湾 ・ 大阪湾(その内、名古屋港 ・ 飛島南コンテナターミナル(2005年使用開始)および、東京港 ・ 大井コンテナターミナル(2006年使用開始)の両地区は、施設が自動化されているので迅速な荷役作業が出来る。)のように、世界中ほぼすべての地域を結ぶと言う非常に便利性の高い港もあれば、近海のごく限られた航路で、しかも週に一便程度の定期船しか入港しないような港もある。 さらに、例えば通常の貸切トラックなどによる専用輸送で、帰りが空車となる片道輸送の場合には、荷主に対して利用したその車両の帰り便(いわゆる、回送料)としての運賃自体は、特段の契約条項がない限り基本的にはほぼ徴収されない。しかしトレーラーによる海上コンテナの輸送料金(いわゆる、配達料金)では、配達先でそのコンテナ自体までを降ろさない(稀にコンテナ本体が荷主の所有物で、配達先の設備を使って積荷と供に降ろす事例もある。)限り、配達が終わっての帰路時にも基本的には牽引しているシャーシー上に、空のコンテナと言う数トンの貨物を輸送している事になる。この軽量ながらも帰り荷状態という特殊な事情と運転手の待遇改善ために、先に述べた貸切トラックなどでの往復輸送時によく適用される、『帰路時にも帰り荷ありで半額割引』なる割引もない国交省認可特例での配達料金が加算される事により、往復共で二倍となる輸送料金が掛かる。またそのほかに、高速道を利用すれば往復のこれらの諸経費が掛かり、結果的には国内での陸上輸送費が非常に高くなると言う、日本国内特有の事情がある。このために、例えばアメリカから金沢や新潟地区へ外国貨物を輸入する場合は、大型コンテナ船で太平洋を越えて対岸となる東京港で陸揚げして、陸上を二倍増し料金で数百キロも運ぶよりも、アメリカから関門海峡を通って迂回して釜山港などへ一度寄港し、ここでコンテナを積み替えて日本海側の目的地近くの港に運ぶまたは、東京港で陸揚げして更に内航船に積み替えて、瀬戸内海を通って迂回し二次的に海上輸送するほうが、いずれも金沢や新潟の各地方港へ一度に大量に輸送出来る。このために、迂回に伴う多少の輸送日数と、当然の事ながらも日本海側の着地港から配達先までは例え近距離であっても二倍となる陸送費は掛かるが、結果的にはトータルコストが安いといった事情も関係している。 なお、62港のうちの13港は年間のコンテナ扱い数が1万TEU以下である。釜山港が韓国のコンテナの80 %を扱っているのとは対照的である。 2002年に国土交通省はスーパー中枢港湾政策を打ち出し、2004年に東京湾・伊勢湾・大阪湾を日本の中枢的な港湾として指定して、投資と開発によって国際競争力を回復しようと図っている。下記のデータでは確かに地方の港湾は数字の上からも切捨てに成功したことが読み取れるが、集中されたはずの東京・名古屋・大阪でのコンテナ扱い数はそれほど良い数字とは見られず、アジアでの主要港としての地位はすでに過去の栄光となってしまっている。2011年4月には、さらなる「選択」と「集中」に基づいた改正、港湾法の施行により国際コンテナ戦略港湾として、阪神港地区内の(大阪港 ・ 神戸港)および、京浜港地区内の(横浜港 ・ 川崎港 ・ 東京港)の、計5港が選定された。
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