海上コンテナの旅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 01:12 UTC 版)
1 2 3 5 6 7 8 9 10 コンテナ詰めされた一般貨物は基本的に以下のように流れる。ただし特殊貨物や、工場へ空コンテナを運んで直接コンテナに詰める、工場バン詰め貨物などについてはこの限りではない。 「コンテナ船#コンテナの荷役」も参照 荷主から持ち込みまたは集荷した輸出貨物を、通関業者などの保税蔵置場に搬入し、各種手続きにより通関する。 使用するコンテナ所有会社のバンプールから、コンテナ専用シャーシで空コンテナを引き取る。このときコンテナ専用シャーシ牽引のドライバーは、荷主(トラック業者)とターミナルオペレータとの間でコンテナの状態を確認するために使うEIR(Equipment Interchange Receipt=機器受渡証の略)と呼ばれる書類などを受け取る。 通関手続きが完了次第、保税蔵置場にてコンテナに貨物を詰める(バンニング)。詰め終わったコンテナのドア口には、防犯用に船会社から配布される、管理番号が書かれた「シール」という封印をかける。 輸出貨物の入ったコンテナ(実入り)を、ふたたび専用シャーシで船会社のコンテナヤードに搬入し、荷役日まで一旦蔵置される。 前項の輸出貨物の荷造り計画に沿って、提出されている輸出関連書類に基づき、荷役プランナー(コンテナプランナー)が個々のコンテナの向け地や重量などを勘案して、本船上における積載位置などを計画する。同時にコンテナ・ヤード内においても、積載プランに応じて関連する各種コンテナの配置替えを行う。 荷役当日、ストラドルキャリアまたはトランスファーテナーなどによって、ヤード内から順番にコンテナが搬出され、そのまま直接ストラドルキャリアで船側(せんそく)に運ばれるか、または大規模なコンテナターミナルでは、本船荷役専用の特殊シャーシーに載せ換えられ、船側へと運ばれる。 ガントリークレーンにより、コンテナ荷役専用のスプレッダ装置を付けて日本国内では、20 ftコンテナの荷役の場合には、単独1個または、2個を横並び一組で40 ft扱いとして、また40 ftでは単独で1個ずつ吊り上げて本船に積み込まれる。ただし、愛知県/飛島コンテナターミナル等の極一部のスーパー港湾施設や諸外国の大規模施設では、日本の国内方式を更に真横に平行2列にして、最大で20 ftコンテナを4本同時に扱う事が出来る。さらに2015年10月現在の国土交通省港湾局技術企画課発行の情報では、中国・ZPMC(上海振貨港口機械)社が開発した、40 ftコンテナを3個同時に荷役可能なトリプル40 ftスプレッダを備えた大規模施設も存在している。なお対応するガントリークレーンは、吊り荷役時に掛かる上下時の加重等の安全性を含めて、軽く百数十トンの取り扱い能力を必要とする。 船倉内はたいていセルガイドという横ずれ防止用のレールがあるので特に固定する必要はないが、甲板上に積む際には上下のコンテナ同士を「ツイストロック」「オートロック」などの器具で固定するほか、波での横揺れや強風でも荷崩れしないよう更には、1段目 - 3段目までのコンテナを「ラッシングバー」又は、「ターンバックル」などで固定する。なおこの作業は基本的に人力である。このとき、チェッカーが積載プラン通りに積み込まれたか、積載プランと違う場合は、どこのポジションに積まれたかを確認する。 到着地では船積みとは逆の順序でヤードに蔵置され、貨物はコンテナに入った状態で輸入者に委託された各々の通関業者によって通関される。コンテナそのものも輸入品であるが、国際コンテナ条約により船会社がまとめて簡易通関する(コンテナ通関)。なお、コンテナを船から揚げる際、チェッカーはコンテナにダメージがないか、ドア口にかけられた封印シールの管理番号が正しいかを確認し、ダメージ(ヘコミ・亀裂・破損)や管理番号が違う場合は荷役担当会社に報告をする。 専用シャーシにて封印されたコンテナを引き取り、配達先の倉庫や工場へ運ばれ、中身を出す(デバンニング)。そして空になったコンテナは、そのまま専用のトラクターに牽引されて、コンテナ所有会社指定の空バンプールへ回送返却されて一連の流れが終わる。
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