池袋 - 渋谷間の建設
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 11:55 UTC 版)
「東京メトロ副都心線」の記事における「池袋 - 渋谷間の建設」の解説
第13号線池袋 - 渋谷間の地方鉄道敷設免許は、同じ第13号線の和光市 - 成増間の免許申請とともに1975年(昭和50年)9月2日に申請していた。なお、答申されていたのは志木 - 新宿間であるが、新宿付近は地理的、技術的な制約から折り返し設備が渋谷に近い代々木付近まで伸びること、渋谷まで延伸することは大きな輸送需要が見込めることから、渋谷まで延長して申請したものである。 しかし、翌1976年(昭和51年)8月11日に和光市 - 成増間の路線免許は交付されたが、池袋 - 渋谷間の地方鉄道敷設免許の交付は保留となり、以来は免許申請中状態が続いていた。1975年(昭和50年)の池袋 - 渋谷間路線免許申請では、同区間の建設費用は2,085億円を想定していた。 その後、政府は長引く不況への景気回復策として1998年11月に緊急経済対策を策定し、翌月に補正予算の編成を行った。そして、地下鉄13号線については整備による地域経済の活性化、雇用の拡大などによる景気回復に有効であるとの理由から建設予算の確保に至った。この補正予算の編成に合わせ、当時の帝都高速度交通営団は池袋・新宿・渋谷といった3大副都心への重要なアクセス、JR山手線・埼京線に対する混雑緩和へ寄与するなど、建設によるメリットが大きいことから地下鉄13号線の建設を進めることを決定した。 このため、1975年以来申請中であった地方鉄道敷設免許→改正により第1種鉄道事業免許の追加申請を1998年12月17日に実施した。そして、1999年1月25日に池袋 - 渋谷間の第1種鉄道事業免許を取得した。その後、各種手続きを経た2001年6月15日に同区間の建設が開始された(2004年4月1日に営団が民営化され建設は東京地下鉄に継承)。なお、千川駅と要町駅は駅躯体工事のみ施工されていたことから内装工事の実施、新線池袋駅(→副都心線池袋駅)では躯体工事のみ施工されていた丸ノ内線との連絡通路や連絡階段などの内装工事が実施された(2007年5月 - 2008年7月)。半蔵門線渋谷駅は、副都心線乗り入れに伴い改良工事が実施された(2007年1月 - 2008年7月)。 池袋 - 渋谷間の建設に当たり、営団地下鉄が1951年の丸ノ内線建設を施工して以来、半世紀にわたり培ってきた地下鉄建設技術を集結させた上、各種の新技術を採用した。このことから「環境負荷低減への積極的な取り組み」「建設コストの削減」「建設工事に関する沿道とのコンセンサス形成」の3点に重点を置いて建設を行った。 雑司が谷駅 - 渋谷駅間では明治通りの直下を通り、本区間で新設した7駅のうち雑司が谷駅と西早稲田駅は駅シールド工法で建設されており、それ以外の駅は開削工法で建設されている。東新宿駅は急行待避線を設置する関係で2段構造の駅としている。また、新宿三丁目駅構内には渋谷方からの折り返し用の引き上げ線が設置されている。本区間の建設には計10台のシールドマシンが使用された。 駅間は池袋駅 - 新宿三丁目間が単線シールド構造、新宿三丁目 - 渋谷間は複線シールド構造を採用している。このうち、明治神宮前 - 渋谷間の複線シールドには新たに開発した複合円形複線シールドを採用した。このトンネルは従来の丸形シールドトンネルよりも上下方向に圧縮した楕円形の断面とし、土砂掘削量の削減やトンネル下部に使用するコンクリート材を減少させ、従来のシールドトンネルと同等のコストに抑えている。 2007年1月24日、13号線の路線名を「副都心線」とすることが発表された。合わせて建設中の正式な駅名も発表し、池袋駅側から順に雑司が谷(雑司ヶ谷)、西早稲田、東新宿(新宿七丁目)、新宿三丁目、北参道(新千駄ヶ谷)、明治神宮前とした(カッコ内はそれまでの仮称)。 池袋駅ホームより、新たに建設されたA線渋谷方面を見る。 左の写真の拡大版。雑司が谷駅まで単線シールドトンネルが続く。 渋谷駅構内。撮影当時は2面4線化される前。 渋谷駅ホームから見た池袋方面のシールドトンネル。横方向に圧縮した楕円形の「複合円形トンネル」である。奥にある両渡り線は現在撤去されている。
※この「池袋 - 渋谷間の建設」の解説は、「東京メトロ副都心線」の解説の一部です。
「池袋 - 渋谷間の建設」を含む「東京メトロ副都心線」の記事については、「東京メトロ副都心線」の概要を参照ください。
- 池袋 - 渋谷間の建設のページへのリンク