歴史認識問題と不祥事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 05:28 UTC 版)
非常に文献の乏しい時代であり、史実から大幅な脚色がなされている。しかしこれに対しては韓国国内でも、広開土王の実在性を危うくする、神話要素が日帝残滓であるといった批判もある。また、高句麗を持ち上げすぎて百済を矮小化しているとの批判もある。 一部にいわゆる「朝鮮の大陸史観」を取り込んでおり、『朝鮮上古史』や『大朝鮮帝国史』にある超古代国家「チュシン (쥬신)」が現れる。また、通説では朝鮮半島南西部の百済の版図のどこかに比定されるカンミ城(朝鮮語版)が、中国大陸山東半島の「西百済」(『大朝鮮帝国史』の「外百済」にあたる)にあったという設定になっている。 高句麗史を「韓国史」として扱ったこのドラマは、中国の東北工程への対抗策であると看做されている。そのため、中国ではメディアを挙げた反発が起こり、放送禁止となった。 宮脇淳子は、「『朱蒙』や『太王四神記』のコスチュームを見ていると、改めて日本のアニメやテレビゲームを参考にしているんだなぁと感じます」「ファンタジーに名を借りて、どさくさ紛れにトンデモ史学まで盛り込んで歴史捏造を意図的に行っているのも、このドラマのポイントといえるでしょう。『朱蒙』では古朝鮮の版図に南京周辺まで含まれていましたが、『太王四神記』の世界観では、高句麗の領土が満洲全土やシベリアの奥深くまで広大に拡がっていました。…中国大陸の山東半島あたりに『西百済』なるものが存在していたというのです。ドラマにあったように、広開土王が即位してすぐ、百済のカンミ城(朝鮮語版)を攻めるというのは史実です。ところが、ドラマ内でのカンミ城の場所がどうにもおかしい。史実では漢江の河口あたりにあったと推定されるのですが、なぜか山東半島の先にあるのです。そればかりではなく、登場人物が遼河と呼ぶ川が山東半島の近くを流れていたりもする。そのため史実では遼河の東側にあった後燕国が西側にあるのです。歴史家の目から見ると、全く呆れ返ってしまうのですが、妄想ファンタジーを堂々と歴史ドラマと謳う人たちですから、彼らにとっての真のファンタジーとなると、地面まで歪曲してようやく成立するのかもしれません」「私が特に気になったのは、日本(国倭)との関係をなるべく描かないようにしているフシが見られることです。現在の中国吉林省集安市に、広開土王の功績を称えて息子の長寿王が建てた『広開土王碑』という石碑があります。その広開土王碑には『倭は辛卯年をもって来たりて海を渡り、百殘(百済)・新羅を破り、もって臣民となす』とあります。この碑文は一部が欠落しているために様々な解釈がされていますが、素直に読めば、百済の援軍にやってきた倭軍が高句麗を破って百済と新羅を臣民にしたということです。日本の軍勢が海を渡って高句麗軍と戦ったのは事実で、石碑に刻まれるくらいだから、歴史イベントとしてはすごく大きな話のはずなのですが、ドラマの中ではそのような場面はありませんでした。広開土王碑には391年の戦いのほかにも、倭との戦争の記録が刻まれています。400年には、倭軍が新羅を攻めたために高句麗が救援を送っています。『太王四神記』では5万人の軍隊を新羅救援に向かわせるという場面があったので、この史実を取り入れたのでしょう。ただし、最終回にほんの少し説明があっただけでしたが。また、404年にも倭が帯方郡に攻めてきたと記してあります。韓国人のメンタリティからして、いずれの戦いでも高句麗が倭軍を破ったのだから喜んでドラマに取り入れてもよさそうなものですが、おそらくは日本が軍隊を派遣するほど朝鮮半島に影響力があったという史実が面白くないのでしょう。ところが、後述するように古代の朝鮮半島において日本の国家的存在感は非常に大きかったのです。『日本書紀』の三韓征伐の話をはじめとして、日本に肩入れする理由のないシナの史書にも日本の影響力を示す傍証となる記事が書かれているし、『三国史記』ですら、たびたび倭が新羅に攻めてきたということが書かれています。また、百済は高句麗に屈服しては日本の武力を頼りに再び反抗するということをしていました。これらを鑑みれば、日本が朝鮮半島に一定の権益を有していたことは、歴史学的にほぼ間違いないと考えていいでしょう」と持論を主張している。 特殊効果担当米国人スタッフが大麻所持事件を起こすも、ペ・ヨンジュンのドラマなので時間が欲しいとのスタッフ側の要望に対しソウル高裁は一定の言い分があるとして判決言い渡しをドラマがほぼ完成する7月まで延期するという異例の判断を下した。
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