普天間飛行場の移設問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 14:49 UTC 版)
「キャンプ・シュワブ」の記事における「普天間飛行場の移設問題」の解説
「普天間基地移設問題」も参照 現在キャンプ・シュワブの沖合で、基地建設が始まっているが、この海域は絶滅危惧種のジュゴンの生息北限であることなどから、住民をはじめ自然保護団体や反戦運動団体から反対の声が挙がっている。 2006年(平成18年)9月には、移設に先立つ文化財調査を巡って公務執行妨害容疑で平和市民連絡会の共同代表である牧師が逮捕された(その後釈放されている)。団体側は不当逮捕と訴えている。 この反対派の「妨害」行為に対応するためとして、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が派遣された。久間章生防衛相は、短時間に器具の設置を行うために防衛施設庁から依頼があったため、国家行政組織法に基づいて派遣を決定したとしている。ただし、警備などの行動は行わないとしている。 普天間基地「移設」に関する事業で、自衛隊の艦艇が派遣されるのは異例であり、ぶんごは12.7mm重機関銃や76mm砲などの武装を備えているため、反対派は「活動そのものを威圧するもの」、「旧日本軍を思い出させる。」として批判している。仲井真弘多沖縄県知事も『(掃海母艦を出すのは)銃剣を突きつけているような連想をさせ、強烈な誤解を生む。防衛省のやり方はデリカシーに欠ける』と抗議を行った。掃海母艦の派遣決定以降、インターネット上でも反対派の活動がより活発になった。結局、「ぶんご」は、調査に隊員を派遣したものの、調査海域に姿を見せなかった。 2007年(平成19年)5月19日、移転のための現況調査作業を海中で行っていた調査会社のダイバーが、タンクの空気を吸うため口にくわえたレギュレーターを反対派と見られるダイバーから外されたというダイバーからの申告があり、その他にも調査への妨害があったという主張が現場からなされたため、海上保安本部の第11管区が捜査に乗り出している。それに対して、反対派は事実ではないと反論している。 反対派は非暴力による抗議をしているダイバーに海上保安庁、海上自衛隊の職員が水中で殴る蹴るの暴行を加えるなど悪質な態度を取っていると主張をしている。 また、調査機器の設置により珊瑚が破壊されていることが5月21日までに時事通信社の報道で判明した。琉球新報や北海道新聞もこの事実を伝え、国の調査方法を批判した。 2007年(平成19年)6月6日に発覚した情報保全隊の市民活動監視問題に関して、社会民主党の福島瑞穂党首と保坂展人議員は6月8日に市ヶ谷の防衛省を訪問し、守屋武昌事務次官に市民活動監視は不当・不法として抗議を行ったが、その際に守屋次官はキャンプ・シュワブでの基地移設反対運動についても、海自の情報保全隊が事後の情報収集を行っていると言及したと保坂議員は自身のブログで報告している。ただし守屋次官はその後の記者団との非公式会見ではこの事を否定しており、各社の報道は両論併記となった。 一方で、現地にて環境現況調査(反対派は中止を要求)を受注したいであの作業員が、阻止行動に出ている反対派関係者に対し殺人未遂同然の行為(スクーバダイビング装備の水中でのバルブ閉止)を行なったとして防衛省に対し抗議がされている。ただし、この被害者は現時点で警察に被害届を出しておらず、バルブ閉止を行った物的証拠なども今のところ存在しない。 2010年(平成22年)1月24日、沖縄県名護市市長選挙が投開票され、アメリカ軍基地の普天間飛行場について同市辺野古沖への「移設」に反対する無所属新人で前市教育長の稲嶺進の当選が確定した。2006年(平成18年)に日米両政権が合意したキャンプ・シュワブ沿岸部への同飛行場「移設」計画の実行が地元住民の反対にあって暗礁に乗り上げる可能性もある。鳩山由紀夫内閣は2009年(平成21年)にこの移設問題の結論を5月に持ち越すことを明らかにし、県外移設の可能性を探っていたが有力な候補地が見つからず、最終的に県外移設を反故にした経緯がある。
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