旧石器時代の食事法とは? わかりやすく解説

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パレオダイエット

(旧石器時代の食事法 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/16 22:00 UTC 版)

パレオダイエット英語:Paleolithic diet)は西洋のダイエット法で、英語では「hunter gatherer diet(狩猟採集社会食事法)」、「caveman diet(穴居人ダイエット)」とも呼ばれる。

日本語では旧石器時代食原始人食と呼ばれる。

概要

旧石器時代en:Paleolithic Era)の野草野生動物を中心とした食生活を真似ることをコンセプトとしている。

農業の発達によりコメ小麦トウモロコシなどといった穀物を中心とした食生活が広まり、また牧畜により乳製品ブタウシヒツジなどの獣肉を摂取するようになり、人類の食生活は大きく変わった。パレオダイエットは旧石器時代の食事に立ち返ることを念頭に置き、農耕牧畜に頼らず、日常的に簡単に入手できる魚介類鳥類小動物昆虫野菜キノコなどの菌類根菜ナッツ類などを中心とする。旧石器時代には、自然界から容易に入手できなかった穀物、類、乳製品、類、食塩砂糖、加工油は原則的には避ける。

消化器病学専門医ウォルター・L・ヴォーグリン英語版[1][2]によって、1970年代中期に最初に流行したこのダイエット法は、多くの著者研究者によって薦められてきた[3]

旧石器食事法の考え方は、人間の遺伝学性質が農業が始まった頃(およそ1万年前)からほとんど変わっていないという考え方に基づいている。この考え方は進化論医学のテーマの一つである。パレオダイエットでは、現代人も旧石器時代の先祖の食生活を遺伝的に受け継いでいると考える。そのため、健康であるための理想的な食事法は、我々の旧石器時代の先祖と同じような食事をとることであると考えている。

また、このダイエット法の提案者は以下のように主張する。

「旧石器時代と同様の食生活を送っている人が現代にもいます。その人たちの多くは、豊かさから生じると言われる『現代病』にかかりません[4][5]

複数の研究結果から、パレオダイエットは他の様々なダイエット法より良い結果を示していると指摘されている[6]。さらに、農業が始まる以前の食生活には、健康維持に良い栄養上の特徴が多くあるとも指摘されている。 旧石器時代食10日間投与後には、被験者の血液中の脂質プロファイルには有意に改善がみられた[7]

パレオダイエットは、栄養学者[8][9]と人類学者[3][10]の中で物議をかもしているダイエット法である。

2015年、米国大統領予備選挙で共和党の候補者であったジェブ・ブッシュは、パレオダイエットで減量に成功したと報道された[11]

脚注

  1. ^ Voegtlin, Walter L. (1975). The stone age diet: Based on in-depth studies of human ecology and the diet of man. Vantage Press. ISBN 0-533-01314-3 [要ページ番号]
  2. ^ Smith, Emma (2008年10月12日). “The Ray Mears caveman diet”. The Sunday Times. http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/men/article4919415.ece 2008年11月1日閲覧。 
  3. ^ a b Richards, Michael P. (December 2002). “A brief review of the archaeological evidence for Palaeolithic and Neolithic subsistence”. European Journal of Clinical Nutrition 56 (12): 1270–78. doi:10.1038/sj.ejcn.1601646. PMID 12494313. 
  4. ^ Kligler, Benjamin & Lee, Roberta A. (eds.) (2004). “Paleolithic diet”. Integrative medicine. McGraw-Hill Professional. pp. 139–40. ISBN 0-07-140239-X. https://books.google.co.jp/books?id=-JUcjUGBV6kC&pg=PA139&lpg=PA139&dq=environment+%22paleolithic+diet%22&source=web&ots=DtSWPqB2z6&sig=Zpbk072sJouGFh2ApjHafftTP4o&redir_esc=y&hl=ja#PPA139,M1 
  5. ^ Eaton, S.Boyd; Cordain, Loren; Lindeberg, Staffan (2002). “Evolutionary Health Promotion: A Consideration of Common Counterarguments”. Preventive Medicine 34 (2): 119–23. doi:10.1006/pmed.2001.0966. PMID 11817904. 
  6. ^ Frassetto, L A; Schloetter, M; Mietus-Synder, M; Morris, R C; Sebastian, A (2009). “Metabolic and physiologic improvements from consuming a paleolithic, hunter-gatherer type diet”. European Journal of Clinical Nutrition 63 (8): 947–955. doi:10.1038/ejcn.2009.4. PMID 19209185. 
  7. ^ Frassetto LA, et al. Metabolic and physiologic improvements from consuming a paleolithic, hunter-gatherer type diet. Eur J Clin Nutr. 2009;63(8):947-55. doi: 10.1038/ejcn.2009.4. Epub 2009 Feb 11.
  8. ^ Cannon, Geoffrey (June 2006). “Out of the Box”. Public Health Nutrition 9 (4): 411–14. doi:10.1079/PHN2006959. 
  9. ^ Nestle, Marion (May 1999). “Animal v. plant foods in human diets and health: is the historical record unequivocal?”. Proceedings of the Nutrition Society 58 (2): 211–18. doi:10.1017/S0029665199000300. PMID 10466159. 
  10. ^ Milton, Katharine (2002). “Hunter-gatherer diets: wild foods signal relief from diseases of affluence (PDF)”. In Ungar, Peter S. & Teaford, Mark F.. Human Diet: Its Origins and Evolution. Westport, CT: Bergin and Garvey. pp. 111–22. ISBN 0-89789-736-6. http://nature.berkeley.edu/miltonlab/pdfs/humandiet.pdf 
  11. ^ 米大統領候補ブッシュ氏が減量成功、秘密は「原始人ダイエット」”. ロイター (2015年4月23日). 2021年5月16日閲覧。

関連項目


旧石器時代の食事法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 14:59 UTC 版)

ウォルター・L・ヴォーグリン」の記事における「旧石器時代の食事法」の解説

1975年、ヴォーグリンは、旧石器時代生きていたころの人類が摂っていた食事およびその栄養素想定した原則に基づく内容著書The Stone Age diet』(『旧石器時代の食事法』)を出版した。この本は、原始食奨める先駆け的な存在として引き合い出される。 ヴォーグリンは、「ヒト肉食動物であり、炭水化物摂取最小限抑えタンパク質脂肪豊富な動物性食品基本とした食事を取るべきである」「解剖学的には、ヒト草食動物である羊よりも、肉食動物であるに近い」と主張したイルカトラ無差別に殺して構わない、と主張した風変わりな本でもあった。 食品歴史家のエイドリアン・ローズ・ジョンソン(Adrienne Rose Johnson)は、「現代のこの食事法の立役者たちは、ヴォーグリンによる白人至上主義優生学思想受け入れがたい政治的立場理由に、ヴォーグリンを強く拒絶した」と論評した精神科臨床教授、スィルヴィア・R・カラシュワ(Sylvia R. Karasua)は、「ヴォーグリンは『ヒト10000年前までは間違いなく肉を食べ続けてきた』と信じているが、今やこの考え方明らかに間違いであることが分かっているのだ」と批判した。 ヴォーグリンは、炭水化物極めて少なく生野菜含まず動物の肉食べることの重要性について強調していた。また、初期の頃には、牛乳含めたすべての乳製品マメ科食べ物食べることには反対していなかった。この本の付録では、肉、卵、調理した収穫物野菜サヤインゲンチーズサワークリーム構成され低糖質料理奨めている。

※この「旧石器時代の食事法」の解説は、「ウォルター・L・ヴォーグリン」の解説の一部です。
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