旧石器時代の埋葬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/18 14:14 UTC 版)
ホモ・サピエンス以前の宗教的行為の証拠は明確ではない。宗教的な思考のもっとも初期の証拠は死者の儀式的な埋葬である。大部分の動物は同種個体の死にさりげない関心を向けるのみである。したがって人間の死へのこだわりはユニークである。儀式的埋葬は人間行動の進化において重要だと考えられている。儀式的埋葬は生と死の認識、来世や死後の生命の信念を意味している。フィリップ・リーバーマンは「副葬品を伴う埋葬は明らかに宗教的習慣と日常生活を超えた死への関心を意味している」と述べる。もっとも初期の死者の処理の証拠はスペインのアタプエルカから発見されている。この場所でホモ・ハイデルベルゲンシスと思われる30人分あまりの人骨が洞窟内で見つかった。ネアンデルタール人は意図的に死者を埋葬する初のホモ属である可能性がある。彼らは石の道具、動物の骨と共に仲間の遺体を浅い墓に埋めたかも知れない。これらの副葬品の存在は埋葬者への感情的な繋がりを示し、もしかすると死後の生命に対する信念を示している可能性もある。ネアンデルタール人の埋葬跡はイラクのシャニダール、クロアチアのクラピナ、イスラエルのケバラ洞窟で見つかっている。しかし一部の研究者は非宗教的な理由で埋められたかも知れないと考えている。他の何人かの研究者は、(恐らく宗教的な)埋葬に加えてネアンデルタール人のような中期旧石器時代の人類がトーテム信仰や動物崇拝を行っていたかも知れないと主張する。エミール・ベヒラーは中期旧石器時代の洞窟から見つかる証拠に基づいて、当時のネアンデルタール人がクマ信仰を持っていたのではないかと主張している。同様の人類の証拠は10万年前のものが知られており、ベンガラで着色された人骨が見つかっている。また様々な副葬品が埋葬地跡で発見された。イノシシの下顎骨が人骨の腕にはめられているのが発見されている。フィリップ・リバーマンはこう述べる: 副葬品を取り入れた埋葬儀式は10万年前にアフリカから中東に移住した解剖学的現代人によって発明されたかも知れない。
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