日本語のアラビア文字表記法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 05:41 UTC 版)
「アラビア文字化」の記事における「日本語のアラビア文字表記法」の解説
日本語にはアラビア語起源の外来語も数多く存在するが、アラビア語にも تسونامي (津波)や سايلر فوكو (セーラー服)といった日本語が輸出され、使われている。また、 بوكيمون (ポケモン)など、欧米やアジア諸国同様に日本の漫画、ゲーム、アニメなども多く輸出され、あるいは不当に輸入複製されるなどして、タイトルその他が音訳されている例も多数見られる。なお、 مانجا (漫画)もアラビア語として定着しており、これは「漫画」のみならず「日本のアニメ」、いわゆる أنمي (アニメ)を指す言葉として使われている。アラビア語化された日本のアニメ作品一覧も参照。 以下に日本語のアラビア文字表記法における五十音表を掲げる。なお、他の言語間の音訳過程に同じく、これはあくまでも例であり、この表に倣わぬものも存在することに留意されたい。また、アラビア語版ウィキペディア لغة يابانية (日本語)の項にもアラビア文字による五十音表があるが本項のものとは異なる。本項で扱うものは置換表であり、あちらで扱われているものはあくまでも日本語の発音に言及したものである。 あいうえお あいうえおあأآ إإيي ؤأو إي أو あ゙عا عي عوبو عي عو かكا كي كو كي كو がغاجا غيجي غوجو غيجي غوجو か゚غاجاعا غيجيعي غوجوعو غيجيعي غوجوعو さسا شي سو سي سوصو ざزا جي زو زي زوظو たتا تشي تسو تي توطو だدا جي زو دي دوضو なنا ني نو ني نو はها هي هوفو هي هو ばبا بي بو بي بو ぱباپا بيپي بوپو بيپي بوپو まما مي مو مي مو やيا يو إي يو らرا ري رو ري رو わوا وي ويويئ أو ゔبافا بيفي بوف بيفي بوفو んن あいうえお あいうえおきゃكياكا كيو كيئ كيو ぎゃغياجا غيوجو غيجي غيوجو くぁくゎ كاكواقا كيكواقي كوقو كيكواقي كوقو ぐぁぐゎ غاغوا غيغوي غو غيغوي غو しゃشا شو شي شو じゃجاغا جوغو جيغي جوغو すぁすゎすぃ ساصا سي سي صو ずぁずゎずぃ ظا زي زي ظو ちゃتشا تشو تشي تشو ぢゃجاغا جوغو جيغي جوغو てゃتيا تي تيو تيتيئ تيو でゃديا دي ديو ديديئ ديو とぅتوا توي تو توي توتوؤ どぅدواضا ديدويضي دو ديدويضي دوضو つぁتسا تسي تسي تسو づぁظا زي زي ظو にゃنيا نيو نيئ نيو ひゃهيا هيو هيئ هيو びゃبيا بيو بيئ بيو ぴゃبياپيا بيوپيو بيئپيئ بيوپيو ふぁفا في ف في فو ゔぁبافا بيفي بوف بيفي بوفو みゃميا ميو ميئ ميو りゃريا ريو ريئ ريو 日本語の場合、「サ」行と言っても「サ」と「シ」では発音上の子音が異なり、前者はsだが後者shである。また「タ」行はもっと複雑で、「タ」はt、「チ」はch、「ツ」はtsの発音である。ローマ字でも綴り方によってはこうした発音の違いを再現して「sa」や「shi」、「ta」や「chi」や「tsu」というように表記を分けることがあるが、これはアラビア文字表記でも存在する。特にアラビア語には元来の発音に「ch」や「ts」が無いため、意識的に記述する必要がある。「津波」は تسونامي と綴られるが、一般にニュースなどではtsunamiという発音をするも、アラビア語話者の中には難しく感じる者も多く、またアラビア文字には子音を重ねた表記によって1つの子音を綴るといった文法が元来存在しないといった理由から、この綴りから浮かび上がるt'sunamiと音読されることもある。 日本語の特徴として、発音は一部の例外を除いて殆どに母音が付く。アラビア文字には原則として母音が存在せず、一般の文書はこうした母音の含まれない記述で綴られる。特に母音を明示する必要があるなどの場合にはシャクルと呼ばれる母音記号を付すが、これは日本で言えばルビにあたるようなものであり、通常振るものではない。一方、アラビア語には長母音の表記法はあり、この長母音表記をもって日本語の音訳に用いている。なお、 أنمي (アニメ)のような例外も少数ではあるが存在する。また、日本語には大岡越前(おおおかえちぜん)のような連母音の語が多いことが挙げられる。しかしアラビア語の発音には長母音はあっても原則として同じ単母音が連続するような発音は存在しない。ハムザ(声門閉鎖)を介する語はあるが、それでも3つ以上の同単母音連続の語はもともと存在せず、従って元来のアラビア文字の表記法には想定されていない。このため、こうした語は一般に長母音として扱い、「オーカ」のように発音、表記することとなる。 また、方言によっても異なるが、アラビア語の文語・共通語にあたるフスハーには母音は3つしか存在せず、このため日本語を音訳する際には通常「イ」段と「エ」段、「ウ」段と「オ」段は同一視される。結果、たとえば王子(おうじ)と宇治(うじ)はどちらも أوجي になる。徳川家康(とくがわいえやす)のような語の場合、「い」と「え」は同一視される上、「や」は半母音であり発音上は ي が3つ並ぶことになる。こうした語のアラビア文字表記には明確な決まりは用意されていないが、ハムザや発音に含まれるh音を綴ったり、ハイフンを入れるなどして توكوغاوا إيئه-ياسو のように表記する方法が採られている。 促音は日本語では「っ」または「ッ」と表記するが、アラビア語の発音ではハムザ(声門閉鎖)とシャッダ(子音の重複)に分類される。日本語では促音は通常、語中に現れるが、これはアラビア語では多くの場合シャッダの扱いとなる。シャッダもシャクルに含まれるため、ほとんどの場合では促音は音訳されてもアラビア語文書としては記述されることはなく、そのままでは判読が難しいことも多い。アルジャジーラなどでは日経(にっけい)は نيكي と記されている(この場合、そのまま読むと「ニキ」となる)。 このほか、一般に「ト」は تو と書くが、 طوكيو (東京)のように慣例的に他の文字が使われるものも存在する。また、「エ」段の文字で終わるものについては、通常「ي」が使われるところを、كوبه(神戸)やكورومه(久留米)などのように、できるだけ発音を区別できるように「ه」で終わらせる場合がある。個々の都道府県名、および都道府県庁所在地のアラビア文字表記については、アラビア語版ウィキペディア محافظات اليابان (「日本の県」=「都道府県」)の項を参照。 文法としては、英語のアラビア文字表記と同様に、人名などを除き、語末母音が「ア」段である名詞は慣習的に女性名詞として扱われる。従って草鞋(わらじ)は واراجي で男性名詞であり、下駄(げた)は غيتا となり女性名詞となる。
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