ء
ハムザ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 14:28 UTC 版)
ハムザは、子音の一種である声門破裂音 /ʔ/ を表す文字(記号)である。 フェニキア文字・アラム文字に端を発するセム系言語の文字においては、通常この声門破裂音 /ʔ/ は、最初の文字(例えば、ヘブライ文字における「א」(alef) など)が担うものだが、それに相当するアラビア文字の「ا」(alif) は、必ずしもその役割・用途で用いられて来なかったため、それを補うべく、「ع」(ayn, /ʕ/) から派生させる形で、新たに生み出された声門破裂音 /ʔ/ のための専用文字(記号)が、このハムザである。 単独で書かれることは少なく、基本的に「ا」(alif) (※「ل」(lam, /l/) との合字である「لا」の場合も)、「ي」(ya, /j/)、「و」(waw, /w/) 、いずれかの「台字」を必要とする。(なお、「ي」(ya, /j/) がハムザの台字になる場合、2つの下点は省かれる(「ئ」)。) 単独形台字付き文字名転写音価意味・役割ء 等 أ إ لأ لإ ئ ؤ hamza ʾ / ’ / ‚ [ʔ] 声門破裂音 使用規則は以下の通り。 語頭に登場する場合は、常に「ا」(alif) のみが台字になり、/ʔa/ /ʔi/ /ʔu/ といった発音を形成する。また、語中・語末では、台字の種類を問わず、常にハムザは台字の上に付くが、この語頭の場合に限り、母音記号と同じく、母音の音価が/a/もしくは/u/の場合、ハムザは上に付き(「أ」)、/i/ の場合、下に付く(「إ」)。 語中に登場する場合は、「أ」/ʔa/、「ئ」/ʔi/、「ؤ」/ʔu/ といったように、後続する母音の音価に合わせた台字がそれぞれ採用される。(※ただし、「i > u > a」といった序列を伴う、少々ややこしい例外規則があり、ハムザ/ʔ/に後続する母音が/u/であっても、ハムザ/ʔ/の直前の母音が/i/なら、/i/に合わせた台字が採用されて「ئ」になり、同じく、後続する母音が/a/でも、直前の母音が/i/か/u/なら、それらに合わせた台字が採用されて、「ئ」や「ؤ」になる。)また、母音を後続しない(台字の母音音価が消去される)場合は、直前の母音に合わせ、直前がア/a/ なら「أ」が、直前がイ/i/ なら「ئ」が、直前がウ/u/なら「ؤ」が、それぞれ用いられる。 語末に登場する場合は、上記した語中の後者の場合と同じく、直前の母音に合わせて、/(-a)ʔ/なら「أ」が、/(-i)ʔ/なら「ئ」が、/(-u)ʔ/なら「ؤ」が、それぞれ用いられる。 まとめると、以下のようになる。 字形(母音記号付き)字形音価場所أَ- أ- /ʔa/ 語頭 إِ- إ- /ʔi/ أُ- أ- /ʔu/ -أَ-(-ئَ-)(-ؤَ-) -أ-(-ئ-)(-ؤ-) /ʔa/(/(-i)ʔa/)(/(-u)ʔa/) 語中(後続母音あり) -ئِ- -ئ- /ʔi/ -ؤُ-(-ئُ-) -ؤ-(-ئ-) /ʔu/(/(-i)ʔu/) -أْ -أ /(-a)ʔ/ 語中(後続母音なし)及び語末 -ئْ -ئ /(-i)ʔ/ -ؤْ -ؤ /(-u)ʔ/ なお、ハムザが台字を用いずに単独形「ء」で書かれるのは、基本的に語末であり、(台字選択のための先行母音が無い)子音終わりの場合や、(直前に、台字と同じ「ا」(alif)、「ي」(ya, /j/)、「و」(waw, /w/) 、いずれかの字母が来ることになる)長母音終わりの場合など、台字を用いるのが不適当な場合に限られる。
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ハムザ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 04:26 UTC 版)
詳細は「ء」を参照 ハムザ(همزة hamza)は声門閉鎖音/声門破裂音を意味する。元々は声門閉鎖音/声門破裂音と長母音āの一部としての役割両方を持っていたアリフ(ا)から、声門閉鎖音/声門破裂音のみを分離するため後代になって発案された。当時は声門で調音することは知られておらず、調音部位が近いアイン(ع)に似ているとしてこれを切り取った形で開発された。 ハムザはその位置や隣接した母音との関係に従い、単独もしくは台座(كرسيّ,クルスィー)と呼ばれる台座の文字の上または下に小さい ء を書くことで示される。 台座となる文字はアリフ(ا)、ワーウ(و)、弁別点の無いヤー(ى、*アリフ・マクスーラではない)の3つ。語頭では必ず台座はアリフ(ا)となる。 ا では母音価がaもしくはuのときには文字の上に、iのときは下にハムザを書く表記が一般的。 و と ى では文字の上にハムザを書く。 ハムザは語頭では単独で書かれることが無いが、ハムザそのものや隣接した文字につく母音の種類や有無によっては語中や語尾において単独で書かれることがある。 原則としてハムザは文字として書かれるが、日常で書かれるアラビア語文特にアーンミーヤのアラビア語表記では省略されることが非常に多い。
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