アリフ・マクスーラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 23:06 UTC 版)
ا と同音の文字としてى(アリフ・マクスーラ, اَلْأَلِف الْمَقْصُورَة)がある。アリフ・マクスーラとはアラビア語で「短くされたアリフ、短縮されるアリフ」を意味する。定冠詞が後続する際に長母音のāから短母音のaになることからマクスーラと呼ばれ、短縮が起きないـاء(アリフ・マムドゥーダ,الألف الممدودة)としばしば比較される。音は異なるがまったく同じ字形のものとして、点無しの ي があり、両者は解釈によって同字とされたり別字として扱われたりしている。 起源的にはアリフ・マクスーラは ي と同字であり、ナバテア文字等での古い綴り(アラビア語では消滅した語尾の /j/ 音の表記)を引き継いだものである。後に、クルアーンでは語尾にあってアリフのように読まれるものには点無しのまま母音記号の短剣アリフがつけられ(アリフ・マクスーラ)、それ以外のものは状況や地域によって点がつけられたりつけられなかったりした(点有り、点無しのヤー)。 アリフ・マクスーラは必ず語尾のみに置かれ、語頭形および語中形は存在しない。特定の語のa音もしくはその長母音ā音を音価とし、正則アラビア語フスハーにおいては決められた語にのみ用いられる。ただしアーンミーヤなどでは副詞など、フスハーでは本来アリフ・マクスーラで書くことのない ا をアリフ・マクスーラで表記することがしばしば見られる。 また、アリフ・マクスーラには上下問わずハムザが付くことはない。同じ字形のものにハムザの付いた ئ という文字があるが、これはハムザの付いたヤー(ي)である。さらに、すでに述べたようにアリフ・マクスーラは語尾のみに現れる文字であり、独立形のハムザも付かない。直前の子音の音価は常にaもしくはこれに準ずるものであり、付されるシャクルも原則としてファトハ、もしくはそのタンウィーンのみとなる。 主たるアラビア文字群であるアブジャド文字群( حروف أبجدية )には含まれず、点無しヤーとともにイダーファ文字群( حروف إضافية )に属する。通常の ا と ي はアブジャド文字群である。 Unicodeでは以下のように定義されている。 アリフ・マクスーラ (U+0649) は、語末のみに現れ点はつかない ヤー (U+064A) は、語頭・語中・語末いずれでも点がつく。ただしシャクルとしてハムザがついたときは点がつかない ハムザつきのヤー (U+0626) には点がついていないが、ヤー (U+064A) にハムザがついたものである 点無しヤー (U+06CC) はペルシア語用アラビア文字として定義され、語末・独立形では点がつかず、語頭・語中では点がつく
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