日本国憲法第25条とは? わかりやすく解説

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にほんこくけんぽう‐だいにじゅうごじょう〔ニホンコクケンパフダイニジフゴデウ〕【日本国憲法第二十五条】

読み方:にほんこくけんぽうだいにじゅうごじょう

日本国憲法第3章国民の権利及び義務」の条文の一。生存権および社会福祉社会保障公衆衛生について規定する

[補説] 日本国憲法第25条
1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利有する
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進努めなければならない


日本国憲法第25条

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/22 02:24 UTC 版)

(にほんこく(にっぽんこく)けんぽう だい25じょう)は、日本国憲法第3章にある条文で、社会権のひとつである生存権を保障するとともに、の社会的使命について規定している。

条文

日本国憲法 - e-Gov法令検索

第二十五条
  1. すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
  2. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

沿革

大日本帝国憲法

無し

GHQ草案

「GHQ草案」国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。

日本語

第二十四条
有ラユル生活範囲ニ於テ法律ハ社会的福祉、自由、正義及民主主義ノ向上発展ノ為ニ立案サラルヘシ
自由、普遍的且強制的ナル教育ヲ設立スヘシ
児童ノ私利的酷使ハ之ヲ禁止スベシ
公共衛生ヲ改善スベシ
社会的安寧ヲ計ルヘシ
労働条件、賃銀及勤務時間ノ規準ヲ定ムヘシ

英語

Article XXIV.
In all spheres of life, laws shall be designed for the promotion and extension of social welfare, and of freedom, justice and democracy.
Free, universal and compulsory education shall be established.
The exploitation of children shall be prohibited.
The public health shall be promoted.
Social security shall be provided.
Standards for working conditions, wages and hours shall be fixed.

憲法改正草案要綱

「憲法改正草案要綱」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。

第二十三
法律ハ有ラユル生活分野ニ於テ社会ノ福祉及安寧、公衆衛生、自由、正義並ニ民主主義ノ向上発展ノ為ニ立案セラルベキコト

憲法改正草案

「憲法改正草案」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。

第二十三条
法律は、すべての生活分野について、社会の福祉及び安寧並びに公衆衛生の向上及び増進のために立案されなければならない。

帝国憲法改正案

「帝国憲法改正案」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。

第二十三条
法律は、すべての生活部面について、社会の福祉、生活の保障及び公衆衛生の向上及び増進のために立案されなければならない。

性格

日本国憲法第25条は、二つの条項により二重に国民に対する国家責任を明示している特殊な条文であるが、その出自を以下に記載する。

第1項は、旧日本社会党議員であった経済学者森戸辰男鈴木義男らが、ドイツ帝国ワイマール憲法第151条第1項を参考にし起案した[1]

連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が下書きした日本国憲法第25条には「健康で文化的な最低限度の生活」という文言は無い。この趣旨の文言を、憲法改正草案として初めて盛り込んだのは、第二次世界大戦後すぐに立ち上がった民間団体「憲法研究会」だった。1945年(昭和20年)12月に公表した「憲法草案要綱」に、こう書かれた[1]

一、国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス

第2項は、GHQ民生局行政部所属C.F.サムス准将が、マッカーサーの命により起案した。1919年8月11日制定のワイマール憲法第151条第1項の内容は、以下の通りである[2]

第151条(経済生活の秩序、経済的自由)
経済生活の秩序は、すべての人に、人たるに値する生存を保障することを目指す正義の諸原則に適合するものでなければならない。各人の経済的自由は、この限界内においてこれを確保するものとする。
Artikel 151
Die Ordnung des Wirtschaftslebens muß den Grundsätzen der Gerechtigkeit mit dem Ziele der Gewährleistung eines menschenwürdigen Daseins für alle entsprechen. In diesen Grenzen ist die wirtschaftliche Freiheit des Einzelnen zu sichern

最高裁判例

朝日訴訟最高裁判所判決(最判昭和42年5月24日民集第21巻5号1043頁)における判例では、日本国憲法第25条をプログラム規定と解釈しており、あくまでも国の努力目標を宣言したに過ぎないとされる。従って、具体的な施策については裁量の余地が認められる[要出典]

学説

関連条文

脚注

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出典

  1. ^ a b 神田憲行 (2016年3月30日). “GHQでなく日本人が魂入れた憲法25条・生存権「600円では暮らせない」生存権問うた朝日裁判”. 日経ビジネス (日経BP). https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/120100058/022300002/?P=2&mds 2017年8月12日閲覧。 
  2. ^ 高田敏・初宿正典編訳『ドイツ憲法集第5版』(信山社、2007年8月5日)。

関連項目


日本国憲法第25条

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 09:06 UTC 版)

プログラム規定説」の記事における「日本国憲法第25条」の解説

日本国憲法第25条におけるプログラム規定説とは、憲法25条規定裁判請求できる具体権利国民与えたものではなく、国に対してそれを立法によって具体化する政治的道徳的義務課したのであるとする学説である。 プログラム規定説はその論拠として、1.日本国憲法予定する経済体制資本主義体制であり個人による生活維持がまず期待されており社会主義体制における権利性格とは根本的に異なるものであること、2.国への請求具体的に認めるためには憲法第17条のように憲法上その趣旨明確にされていなければならない憲法生存権保障方法手続などについて具体的な規定有していないこと、3.生存権具体実現には予算を必ず伴うが予算配分は国の財政政策問題として政府裁量委ねられていることなどが挙げる。 ただし、憲法25条におけるプログラム規定説は、自由権側面については国に対してのみならず私人間においても裁判規範としての法的効力認めており、請求権側面についても憲法第25条下位にある法律解釈上の基準となることを認めている。したがって文字通りプログラム規定ではなくこのような用語を使用することは議論混乱させ問題点不明瞭にさせるもので適当でないという指摘がある。 また、朝日訴訟最高裁判決(最判昭和42年5月24日民集第21巻5号1043頁)について「この規定は、すべての国民健康で文化的な最低限度の生活営み得るように国政運営すべきことを国の責務として宣言したとどまり」という部分などからプログラム規定説をとったもの分類されることもあるが、このような分類に対して憲法保障され権利多かれ少なかれ綱領性格プログラム性格)を有するのであり、生存権綱領性格有することをもって何ら裁判規範としての意味を否定したわけではないという指摘がある。朝日訴訟最高裁判決では食管法違反事件判決同じく憲法第25条第1項について「直接個々国民に対して具体権利賦与したものではない」としつつも「何が健康で文化的な最低限度の生活あるかの認定判断は、一応、厚生大臣合目的的裁量に委されており、その判断は、当不当問題として政府政治責任問われることはあっても、直ち違法問題生ずことはない。ただ、現実の生活条件無視して著しく低い基準設定する憲法および生活保護法趣旨目的反し法律によって与えられ裁量権限界をこえた場合または裁量権濫用し場合には、違法な行為として司法審査対象となることをまぬかれない。」としており、行政庁の広い裁量権認めつつ憲法第25条裁判規範としての効力認めている。

※この「日本国憲法第25条」の解説は、「プログラム規定説」の解説の一部です。
「日本国憲法第25条」を含む「プログラム規定説」の記事については、「プログラム規定説」の概要を参照ください。

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