日本における言語島の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 17:31 UTC 版)
周囲からの隔絶によるもの - 山岳による例が多い。大鳥方言・三面方言(山形県鶴岡市大鳥、新潟県村上市三面) - 中舌母音がなくアクセントが周囲と異なる。 奈良田方言(山梨県早川町奈良田) - 周辺と異なる特殊なアクセント体系(周辺部は東京式)。四つ仮名を区別する。 井川方言(静岡市旧井川村) - 無アクセント(周辺部は東京式)。古い表現が残っている。 秋山郷方言(長野県栄村、新潟県津南町) - 周辺部とは音韻体系や文法が異なる。 白峰方言(石川県白山市旧白峰村) - 周囲の加賀弁とは特徴が異なる。 奥吉野方言(奈良県吉野郡南部) - 周辺部と異なり東京式アクセントである(周辺部は京阪式)。アクセント以外の発音や文法も周辺部とは異なる点が多い。 八丈方言(東京都八丈支庁) - 関東地方本土の方言と大きく異なり、他の伊豆諸島の方言とも一線を画す。 雲伯方言(島根県東部、鳥取県西部) - イ段とウ段の発音が近く中舌母音になり、エの発音もイに近くなるなど、東北方言と共通する特徴(ズーズー弁、裏日本式発音)があるが、この特徴が雲伯方言に飛地状に分布する理由について明確な結論は出ていない。 大量移住によるもの北海道新十津川町 - 北海道は東北地方と北陸地方の出身者が全体的に多いが、本町は奈良県十津川村からの集団移住者がほとんどであるため、文法やアクセントが周辺部とは異なる。十津川の方言は上述の奥吉野方言に属するため、「言語島の住民が移住して新たな言語島を形成した」という珍しい事例である。 下北弁(青森県下北半島) - 戊辰戦争後、会津藩の斗南藩移封に伴い、約1万5千人以上の会津藩士が集団移住した影響で、東北地方最北端の地でありながら、南奥羽方言的な特徴が見られる。 気仙沼方言(宮城県気仙沼市) - 大阪商人が開いた港町であるので大阪弁の混入があり、周辺の東北弁とは異質な単語が見られる。ただしアクセントは影響を受けていない。 東京方言(江戸言葉・山の手言葉)・首都圏方言 - 江戸幕府開府から今日に至るまで、日本全国から武士・商人・労働者など様々な階層の人間が流入して発展してきた都市であるため、主に文法面で、周辺の西関東方言とは異なるものが多い。アクセントも周辺部と多少違う。 千葉弁 - 房総半島南部や銚子市周辺などの海沿いでは、江戸時代に海運を通じて紀伊半島からの移住者が多くいたことから、関東地方でありながら西日本方言である紀州弁の要素が見られた。 千葉県君津市 - 君津製鉄所の開設に伴い、八幡製鐵の従業員とその家族約2万人が福岡県北九州市から一度に移住したため、同地の方言や文化が移入され、児童の間で君津と北九州の方言をミックスした言葉も生まれたという。2018年時点で、九州文化の面影はどうにか見つけられる程度になっていた。 家中弁 - 近世の藩主とその家中の転封によって、各地の城下町では庶民と異なる言語の島が形成されていた。山形市の香澄町弁、佐賀県唐津市の「城内言葉」、三重県桑名市や宮崎県延岡市の家中弁などがある。 海士方言(石川県輪島市海士町) - 九州北部の漁民が移住して開いた町で、周囲の輪島市方言とは異なる点が多い。
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