アクセント体系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 08:40 UTC 版)
日本語の方言には高低アクセントを持っている方言(有アクセント)と持っていない方言(無アクセント)があるが、秋田県は全域が有アクセントであり、東京式アクセントの体系を持っている。 秋田方言のアクセントの体系は、共通語と同じく、高さが下がる場所の位置と有無のみを弁別する体系であり、東京式アクセントの体系である。高さが下がる場所を下がり目、下がり目の直前の音節をアクセント核という。秋田方言で弁別される核は共通語や多くの方言と同じく下げ核(次の音節を下げる核)である。アクセントを特定の単語から離れて一般化して示すときは、拍または音節を○で示し、下げ核を○で表す。 典型的な秋田方言における一音節語から四音節語までの語には、以下のような型の区別があり、n音節語にはn+1種類の型がある。○という音節がアクセント核であり、アクセント核は一語に一つもないか一つだけあるかのいずれかである。例えば○○は二音節で第一音節に下げ核がある語を表す。この体系は共通語と同じである。 核の位置一音節語二音節語三音節語四音節語なし○ ○○ ○○○ ○○○○ 第一音節○ ○○ ○○○ ○○○○ 第二音節 ○○ ○○○ ○○○○ 第三音節 ○○○ ○○○○ 第四音節 ○○○○ 共通語では、○○、○○○のような核を持たない型は、単独の場合に「低高高…」のように第一拍と第二拍の間に上昇があり、「平板型」と呼ばれる。それに対し、秋田方言では「低低低…」のように上昇が見られず、低く平らに発音される。これを特に「低平型」という場合もある。 秋田方言のアクセントで特徴的なのは、一音節語において核を持たない○の型と核を持つ○の型とが、助詞を付けなくても区別できることである。共通語では単独の場合はどちらも平板な「高」となって区別ができないが、秋田方言では、○型は単独の場合は弱い下降が見られ、また母音の響きがやや後に残るように発音される。一方、○型は弱い上昇が見られ、また母音を急に短く切って止める。 二音節以上の語でも、○○、○○○のような核を持たない型(平板型)と、○○、○○○のような型(尾高型)は、助詞が付かない単独の場合には共通語では区別ができない。一方、秋田方言では平板型は低く平らであるかまたは最後がやや下がり気味で、最後の音節がやや長い発音になるのに対し、尾高型は最後の音節がやや上がり気味で、最後の音節が短く切れるように発音されて区別がある。秋田県北部では尾高型の最後の音節にはっきりとした下降が見られる。
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アクセント体系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/19 13:50 UTC 版)
「秋田弁のアクセント」の記事における「アクセント体系」の解説
日本語の方言には高低アクセントを持っている方言(有アクセント)と持っていない方言(無アクセント)があるが、秋田県は全域が有アクセントの地域である。日本語の有アクセントの体系は大きく分けると京阪式アクセントと東京式アクセントとに分けられるが、秋田県は全域が東京式アクセントである。 秋田方言のアクセントの体系は、共通語と同じく、高さが下がる場所の位置と有無のみを弁別する体系であり、東京式アクセントの体系である。京阪式アクセントのような、高く始まる型(高起式)と低く始まる型(低起式)の区別はない。高さが下がる場所を下がり目、下がり目の直前の音節をアクセント核という。アクセント核には、上げ核(次の音節を上げる核)、下げ核(次の音節を下げる核)、昇り核(その音節が上がる核)、降り核(その音節が下がる核)の種類が考えられるが、秋田方言で弁別される核は共通語や多くの方言と同じく下げ核である。なお降り核は現代の方言には確認されていない。 アクセントを特定の単語から離れて一般化して示すときは、拍または音節を○で示し、上げ核を○、下げ核を○、昇り核を○、降り核を○で表す。 典型的な秋田方言における一音節語から四音節語までの語には、以下のような型の区別があり、n音節語にはn+1種類の型がある。○という音節がアクセント核であり、アクセント核は一語に一つもないか一つだけあるかのいずれかである。例えば○○は二音節で第一音節に下げ核がある語を表す。この体系は共通語と同じである。 核の位置一音節語二音節語三音節語四音節語なし○ ○○ ○○○ ○○○○ 第一音節○ ○○ ○○○ ○○○○ 第二音節 ○○ ○○○ ○○○○ 第三音節 ○○○ ○○○○ 第四音節 ○○○○ 共通語では、○○、○○○、○○○○のような核を持たない型は、単独の場合に第一拍と第二拍の間に上昇があり「低高」「低高高」「低高高高」のように発音され、「平板型」と呼ばれる。それに対し、秋田方言ではそのような上昇が見られず、「低低」「低低低」「低低低低」のように低く平らに発音される。これを特に「低平型」という場合もある。ただし共通語でも上昇は弁別的特徴ではなく、上昇の程度は下げ核での下降より弱い。どちらの話者にとっても、平板型も低平型も「下げ核がない型」として同じ型とみなされる。このため、秋田方言の低平型は最も共通語化の影響を受けにくく、若年層に至っても共通語のような平板型になっていないことも多い。しかし、近年の調査では、低平型が平板型に変化している例も見られるようになっている。 秋田方言のアクセントで特徴的なのは、一音節語において核を持たない○の型と核を持つ○の型とが助詞を付けなくても区別できることである。共通語ではこれらの型は助詞を付ければ、「日」「葉」のような○型は「低(高)」、「火」「歯」のような○型は「高(低)」となって区別できるが、「日」「火」単独の場合はどちらも平板な「高」となって区別ができない。これに対して秋田方言では、○型は単独の場合は中程度の高さで始まり、終わりにかけて弱い下降が見られる。また母音の響きがやや後に残るように発音される。一方、○型は中程度の高さから始まって末尾にかけて弱い上昇が見られ、また母音を急に短く切って止める。 二音節以上の語でも、○○、○○○、○○○○のような核を持たない型(平板型)と、○○、○○○、○○○○のような型(尾高型)は、助詞が付かない単独の場合には共通語では「低高」「低高高」「低高高高」となり区別ができない。一方、秋田方言では平板型は低く平らであるかまたは最後がやや下がり気味で、最後の音節がやや長い発音になるのに対し、尾高型は最後の音節がやや上がり気味で、最後の音節が短く切れるように発音されて区別がある。例えば共通語で「鼻」は平板型、「花」は尾高型だが単独では区別できない。一方秋田方言では単独でも平板型の「鼻」は「低低」、「花」は「低高」で区別できる。 秋田県北部では尾高型の最後の音節にはっきりとした下降が見られ、例えば「花」、「雨」、「男」などの語の最後の音節に下降が現れる。例えば鹿角地方にはこの現象が見られる一方で、秋田市や由利地方では、このような下降は消失している。このような下降がない場合でも、三音節以上の尾高型の○○○○や○○○○のような型では「低低高」「低低低高」のように最後の音節のみが高く発音されることになる。これは、共通語の「低高高」「低高高高」のような第二拍から高い発音とは異なっている。このような発音は低平型よりも早く衰退しており、高年層では本来の形がほぼ保たれているものの、中年層では共通語のような発音にほぼ変化している。 共通語では、頭高型では第一拍のみが高く、平板型では第二拍から終わりまで高く、それ以外の型(中高型・尾高型)では第二拍から下げ核のある拍まで高いという音調である。一方、秋田方言では、頭高型で第一音節のみが高いのは同じであるが、平板型では全ての音節が低く、中高型・尾高型では下げ核がある音節のみが高いという違いがある。すなわち、高く発音される音節は一つの語に付き一つまでである。現在ではこの規則は中高型・尾高型のものから崩れつつあると言える。
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アクセント体系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 17:34 UTC 版)
京阪式アクセントは、語頭が高い(高起式)か低い(低起式)かを区別し、さらに何拍目で下がるかを区別するアクセントである。下がり目の直前の拍をアクセント核(下げ核)と言う。アクセント核を○で表し、高起式をHで、低起式をLで表すと、「はな」(鼻)はH○○(下がり目なし)、「おと」(音)はH○○で、「あめぇ」(雨)はL○○である(「め」は拍内で下降する)。高起式は語頭が高く、語頭から下げ核まで平らに発音される(下げ核がなければ語末まで平ら)。低起式は語頭が低く、語頭以降は音が上昇する性質がある。この点を重視して、高起式を平進式、低起式を上昇式と呼ぶ場合もある。低起式での上昇の仕方には地域差がある(後述)。 京阪式アクセントの地域では一拍語は長音化する傾向がある。そのため、かあ(蚊)、なあ(名)、きい(木)のように、助詞を付けなくても3つのアクセントの型(パターン)を区別できる。助詞が付いた場合も長音化することが多いが、長音化しない場合はかが、なが、きが、のようになる。また、二拍名詞でも、低起式でアクセント核のない型(Lいつ)と最後の拍に核のある型(Lあめぇ)では、後者に拍内の下降があることで、助詞を付けずに区別することができる。 1拍語にはH○、H○、L○の3種類の型がある。また2拍語にはH○○、H○○、L○○、L○○の4種類の型がある。H○○、H○○○のような、高起式で末尾にアクセント核がある型は、理論上はありえるが現実にはほとんど該当語がない。 下げ核の有無下げ核の位置1拍語2拍語3拍語高起式なし-/ki/ きい (気) /kiɡa/ きが(気が) /kikara/ きから (気から) — /kaze/ かぜ(風) /kazeɡa/ かぜが (風が) — /jameru/ やめる(止める) あり1/hiꜜ/ ひい(日) /hiꜜɡa/ ひが(日が) /hiꜜkara/ ひから(日から) — /kaꜜwa/ かわ(川) /kaꜜwaɡa/ かわが(川が) — /siꜜroi/ しろい(白い) 2— (なし) /ataꜜma/ あたま(頭) 3— (ほぼなし) 低起式なし-/˩ki/ きい(木) /˩kiɡa/ きが(木が) /˩kikara/ きから(木から) — /˩ito/ いと(糸) /˩itoɡa/ いとが (糸が) — /˩okiru/ おきる(起きる) あり2— /˩haruꜜ/ はる(春) /˩haruꜜga/ はるが(春が) — /˩kusuꜜri/ くすり(薬) 3— /˩maQtiꜜ/ マッチ(マッチ) 大阪のアクセント。低起式は˩、下げ核はꜜ で示している。
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アクセント体系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 05:43 UTC 版)
詳細は「日本語の方言のアクセント#歴史」を参照 日本語(本土方言)諸方言および中古日本語の声点資料の比較から、1音節名詞に3類、2音節名詞に5類の、主要なアクセント型の対立(類の対立)があったと考えられ、その音調は、中古日本語と同様に2音節名詞であれば第1類から第5類までそれぞれHH、HL、LL、LH、LFとする説が比較的有力である(Hは高い音調、Lは低い音調、Fは下降調)。一方で、琉球諸語ではこのうち2音節名詞の第3類・第4類・第5類がそれぞれ二つの類に分裂していることが明らかとなったため、日琉祖語にはより多くのアクセント型の対立があったと考えられる。
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