京都アクセントの変遷とは? わかりやすく解説

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京都アクセントの変遷

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 17:34 UTC 版)

京阪式アクセント」の記事における「京都アクセントの変遷」の解説

平安時代後期辞書類聚名義抄』や、室町時代アクセント記した補忘記』などによって、長くであった京都アクセント平安時代からその変遷をたどることができる(右表。カッコ内は助詞。ただし、※を付けた類については、平安時代には助詞高く発音される傾向強かった。「降」は拍内の下降平安末・鎌倉動詞・形容詞連体形アクセント)。 平安時代京都アクセントは、今よりも型の種類の多い複雑な体系持っていた。例え一拍名詞は、「高」型(一類)、「降」型(二類)、「低」型(三類)、「昇」型(四類)という4つの型があり、二拍名詞は、「高高」型(一類)、「高低」型(二類)、「低低」型(三類)、「低高」型(四類)、「低降」型(五類)のほか、ごく少数語彙所属する型として、「高降」型、「降低」型、「低昇」型、「昇高」型、「昇低」型があった(「昇」は拍内の上昇)。三拍名詞は「高高高」型(一類)、「高高低」型(二類)、「高低低」型(三類)、「低低低」型(四類)、「低低高」型(五類)、「低高高」型(六類)、「低高低」型(七類)のほか、ごく少数語彙が「低低降」型や「昇低低」型だった。 このようなアクセント体系は、時代を下るごとに変化し単純化していった。まず平安時代から鎌倉時代に入る間には、拍内上昇を持つ型がなくなり一拍名詞では「昇」型が「高」型に合流し二拍名詞では「高降」型と「昇高」型は「高高」型に、「昇低」型と「降低」型は「高低」型に、「低昇」型は「低高」型にそれぞれ合流したこの後鎌倉時代から室町時代に入る間には、低い拍が語頭から二拍上続く語に変化起こりアクセント体系大きく変わった。すなわち、「低低」型(二拍名詞三類)が「高低」型になり、「低低低」型(三拍名詞四類)が「高高低」型に、「低低高」型(三拍名詞五類三拍動詞二類)が「高低低」型に、「低低降」型(三拍形容詞二類)が「高低低」型になった。この結果室町時代アクセントでは一拍目が低ければ二拍目が必ず高くならなければならなくなった現代でも高知市田辺市ではこのような室町時代アクセント体系残している。 江戸時代京都アクセントは、室町時代とあまり変わらないが、低起式の語の上がり目が後退している。すなわち室町時代に「低高高」型だったものが「低低高」型になり、「低高高高」型は「低低高高」型になっていた。このようなアクセント体系は、現代でも徳島県東南部和歌山県龍神村残っている。 さらに、幕末から明治にかけて、京阪中心とする近畿中央部ではアクセント大きく変容し、三拍形容詞一類が「高高低」型から「高低低」型になり、三拍動詞二類が、五段活用のものは「高低低」型から「高高高」型に、一段活用のものは「高低低」型から「低低高」型に変化した。同じ時期京都では三拍名詞の二・四類も「高高低」型から「高低低」型になったが、大阪などでは「高高低」型を維持したまた、近畿大部分で「低低高高」型は「低低低高」型になった

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京都アクセントの変遷

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 09:10 UTC 版)

日本語の方言のアクセント」の記事における「京都アクセントの変遷」の解説

京都アクセントの変遷 語例名義抄式(平安後期補忘記式(室町現代1拍名詞第1類子・高(高)〜高高(高) 第2類名・日降(低)〜高低(低)※ 第3類木・手低(高)〜低低(高) 2拍名詞第1類風・鳥高高(高) 第2類石・音高低(低)※ 第3類犬・山低低(高) 高低(低) 第4類糸・空低高(高) 低低(高) 第5類低降(低)※ 3拍名詞第1類形・高高高(高) 第2類小豆・女高高低(低)※ 高低低(低) 第3類力・二十歳高低低(低)※ 第4類頭・男低低低(高) 高高低(低) 高低低(低) 第5類朝日・命低低高(高) 高低低(低) 第6類雀・兎低高高(高) 低低低(高) 第7類・兜低高低(低)※ 2拍動第1類行く・着る高高 第2類有る・見る低高 3拍動第1類上がる明け高高高 第2類動く・起きる低低高 高低低 高高高低低高 3拍形容詞第1類赤い・暗い高高高高高低第2類白い・高い低低降 高低日本語のアクセント歴史については、京都アクセント記録平安時代から残っており、今の京阪式アクセントになるまでにどのような変化をしてきたかが明らかになっている。代表的な資料に、平安時代後期辞書類聚名義抄』(るいじゅみょうぎしょう)や、室町時代アクセント記した補忘記』(ぶもうき)がある。類聚名義抄では、文字周囲声点という、中国語四声を表す点が付けられている。声点文字左上付されていれば上声左下付されていれば平声右上付されていれば去声左中位のやや下がった場所に付されていれば平声(東声)を表す。上声は高い音調平声は低い音調去声上昇調、東声は下降調であった推定されている。声点から明らかになった平安時代京都アクセントは、現代よりも型の種類多く複雑なのだった京都アクセントは、南北朝時代大きな変化をしており、それより前の時代アクセント名義抄アクセントそれより後の室町時代アクセント補忘記アクセントと呼ぶ。各類の、名義抄アクセントから補忘記アクセント現代京都アクセントまでの変遷は表のようになっている(「降」は拍内下降、「昇」は拍内上昇カッコ内は助詞。ただし※を打った類については、平安時代にはむしろ、助詞高く発音されることが多かった考えられる平安時代動詞・形容詞連体形アクセントを示す)。平安時代には、表に示したアクセントの他にも、ごく少数の語が持つアクセントとして、昇(「巣」など)、昇高(「(へみ)」など)、昇低(「脛(はぎ)」など)があったが、鎌倉時代に入るまでに昇で始まる型は高で始まる型に変化した。 「中古日本語#アクセント」も参照 南北朝時代変化では、以下の通り語頭に「低」が2拍以上続く語に変化起こり最後の「低」だけを残してそれより前の「低」が「高」に変化した名義抄式から補忘記式への変化 低低→高低(2拍名詞第3類) 低低低→高高低(3拍名詞第4類) 低低高→高低低(3拍名詞第5類、2拍名詞第3類+1助詞、3拍動第2類) 低低降→高低低(3拍形容詞第2類) この変化により補忘記式では1拍目が低ければ2拍目は必ず高くなったが、その後の変化上がり目後退し現代京都では低い拍が連続するようになっている

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