日本における敵対的買収
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 14:50 UTC 版)
これまで日本において敵対的買収が仕掛けられた事例としては以下のものがある(なお、ここでは仕掛けた側vs.仕掛けられた側として表記している)。 日本における敵対的買収概要事例*小田急電鉄・東京急行電鉄 vs. 相模鉄道(1960年ごろ)相鉄が保有する横浜駅西口の土地などを目当てに東急グループが影響下に置いていた小田急を通じて株式を取得。しかし、当時の社長が横浜出身だった三井銀行が相鉄に資金を融通したため、小田急による買収は失敗に終わった。ただし、その後も小田急は2020年現在でも後身である相鉄ホールディングスの筆頭株主である。 ミネベア vs. 三協精機(1984~1988年) 高橋高見が率いるベアリングメーカーのミネベアが精密機械メーカー三協精機の株式を取得。しかし、三協側の安定株主工作が奏功し買収は不成立。 村上ファンド vs. 昭栄(2000年) 買収は不成立。昭栄(芙蓉系の不動産業・商社)は後に村上ファンドが提案していた不動産の有効利用などを実施した。なお同社は近年、業種セクターを短期的に変更している(繊維製品→商社(旧卸売)→不動産→商社)。昭栄#日本初の敵対的TOBも参照。 スティール・パートナーズ vs. ユシロ化学工業(2003年) 買収は不成立。剰余金を配当金として拠出し、株価を吊り上げることでTOBの成立を阻止した。 スティール・パートナーズ vs. ソトー(2003年) 買収は不成立。剰余金を配当金として拠出し、株価を吊り上げることでTOBの成立を阻止した。 夢真ホールディングス vs. 日本技術開発(2005年) 買収は不成立。完全に交渉に失敗。夢真側の常識外れなビジネススタンスに問題があった。ただし、日本初の買収防衛策導入済みの企業に対する敵対的買収の試みということから注目を集めた。 ライブドア vs. ニッポン放送(2005年) 買収は不成立。堀江貴文元ライブドア社長(現ロケットエンジン研究開発会社創業社長・作家)と村上世彰元M&Aコンサルタント代表の画策によるもの。放送持株会社制本格導入の契機となった事例の一つ。 ニッポン放送の経営権問題#鹿内後の混乱 敵対的な企業買収を参照。 楽天 vs. 東京放送(現:東京放送ホールディングス、2005年) 放送持株会社制本格導入の契機となった事例の一つ。 東京放送ホールディングス#東京放送(当時)株をめぐる動きを参照。 村上ファンド vs. 阪神電気鉄道(2005年) 買収のターゲットとなった後、阪急ホールディングスとの経営統合を発表し鉄道業界の再編に繋がった(現:阪急阪神ホールディングス)。阪急・阪神経営統合も参照。 ドン・キホーテ vs. オリジン東秀(2006年) 買収は不成立。持ち帰り弁当事業への参入を目的とした買収提案を巡って、最終的には敵対的買収の事態に進展。オリジン東秀側のホワイトナイトとして登場したイオンがより有利な条件で友好的TOBを実施しこちらが成立、オリジン東秀はイオンの子会社に。イオンとドン・キホーテのトップ会談により「三社の提携」で落着したが、ドン・キホーテにとっては事実上の敗北。 王子製紙 vs. 北越製紙(2006年) 2006年5月ごろより水面下で北越側へ打診するも北越側は応じなかった。その後北越は三菱商事に対する第三者割当増資を発表した。王子製紙は2006年8月に第三者割当増資の実施の有無に対応した価格でのTOBを発表。両者の主幹事であった野村證券が王子側のアドバイザーになったことも注目された。これは提案公表時の市場価格を3割程度上回る価格での公開買い付けを行うなど既存株主へメリットがあることを指摘しての提案だったが北越製紙の取締役らは同意せず、三菱商事以外にも日本製紙が介入したこともあり、王子製紙はTOB成立を断念した。 スティール・パートナーズ vs. 明星食品(2006年) スティール・パートナーズは10月27日に明星食品に対して公開買付けを開始したが、その後日清食品による友好的TOBが実施され、こちらに多数が応じたこともありスティールのTOBは失敗に終わる。その後、スティールは日清のTOBに応札している。 スティール・パートナーズ vs. ブルドックソース(2007年) 下記#ブルドックソースの買収防衛策及びブルドックソース事件の項を参照 スティール・パートナーズ vs. サッポロホールディングス(2007年~2010年 ケン・エンタープライズ vs. ソリッドグループホールディングス(2007年) 国内上場会社では初の敵対的TOB成立となった。 M&FC vs. 日本精密(2007年) 韓国企業による初の日本企業への敵対的買収 日本電産 vs. 東洋電機製造 (2008年) 日本電産の労務管理体制に懸念を示した東洋電機製造労働組合の反対により断念。 サーベラスグループ vs.西武ホールディングス(2013年) 成和 vs. 日本ギア工業(2015年) 上場企業において敵対的買収をされた極めて数少ない例である。 原子力発電所向けに製品を納めている原発依存企業であるため、震災以降業績が低迷。大株主である成和が経営の改革を求めて経営権を巡る攻防が行われた。成和による敵対的買収は瞬く間に成立。既存の経営陣が一掃され成和関係者が経営のトップに就任、日本ギア工業は成和の子会社となり、成和が経営権を掌握した。日本ギア工業#経営権を巡る攻防も参照。 コクヨ vs. ぺんてる(2019年) スターアジア不動産投資法人 vs. さくら総合リート投資法人(2019年) J-REIT初の敵対的買収。スターアジアによるさくら総合リート投資法人の買収が成立。 コロワイド vs. 大戸屋(2020年) 大戸屋の筆頭株主であるコロワイドが大戸屋のセントラルキッチン導入をめぐる是非に付いて対立し、経営陣を一掃する目的で株式の公開買い付け(TOB)を発表。発行済株式の47%を保有し、難航していた買い付けを一年掛け成立させた。しかし、大戸屋経営陣も第三者割当増資を検討しており、対立の長期化が予想されている。
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