散文詩集『ムーラン・プルミエ』- 断章形式、アフォリズムへとは? わかりやすく解説

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散文詩集『ムーラン・プルミエ』- 断章形式、アフォリズムへ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/01 14:40 UTC 版)

ルネ・シャール」の記事における「散文詩集『ムーラン・プルミエ』- 断章形式、アフォリズムへ」の解説

1934年に、これまで雑誌掲載された詩をまとめた『主のない』を発表したカンディンスキー版画ドライポイント)が掲載され本書は、シュルレアリスム出版社から刊行された4冊目にして最後の詩集である(なお、1926年創設され同社1968年まで存続した)。シャールこの後1932年結婚した妻ジョルジェット・ゴルドスタンとともに家業左官屋再建するために故郷リル=シュル=ラ=ソルグ戻った敗血症患い以後しばらく同地療養することになった1936年断章形式呼ばれる簡潔な短い文章による散文詩集めた『ムーラン・プルミエ』を発表した(これ以後詩集は、主にギィ・レヴィ・マノ(フランス語版) (G.L.M) 社またはガリマール社から刊行されている)。「ムーラン・プルミエ(一番目水車)」とは、故郷リル=シュル=ラ=ソルグのソルグ川にあった実在水車で、詩集には手書きの詩が添えられ12リル絵葉書掲載されている。「断章」は、『イプノスの綴り』、『図書館燃え上がっている』、最後の詩集『疑われる女への讃辞』まで繰り返し用いられるシャールにとって重要な表現形式である。『ムーラン・プルミエ』は上述ファシズム批判表明であり、とりわけ1938年刊行の『外で夜は支配されている』以後にも「怪物」として頻出するファシズム激し言葉批判している。その対象は、ファシズムだけでなく、その台頭許している支配者の「愚鈍さ」であり、体制順応主義である。これは詩人シャールにとってシュルレアリスム現状にも通じる「詩の危機」、すなわち、「成長止めた」詩の停滞打破しようとする試みでもある。そして逆に、そのために採られた形式が「断章」であり、影響として、シャール愛読したギリシャ哲学者ヘラクレイトスからニーチェさらにはボードレールの『火箭』まで、その厭世観辛辣な批判同じよう断章アフォリズム表現されていることが指摘されるシャール最初に詩集送り、ともにシュルレアリスム運動参加したエリュアールは、1933年共産党離党し革命作家芸術家協会脱会したが、1934年スペイン内戦勃発する共和派人民戦線政府)を支持し、再び共産党入党した。したがって共産党支持することなくシュルレアリスムからも離れたシャールとは政治的に文学的に異なる道を歩んでいたが、これは二人友情影響するものではなくエリュアール当時シャール療養のために滞在していた(リル=シュル=ラ=ソルグから200キロほどのところにある)ル・カネ訪れ共同で詩を制作している。また、この後第二次大戦中にはそれぞれに対独抵抗運動展開することになる。 一方この頃シャールキアロスクーロ画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの絵に出会っている。とりわけマグダラのマリア描いた一連の絵画着想得て書いた詩「常夜灯マグダラのマリア」と散文作品眠れぬ夜を過ごすマドレーヌマグダラのマリア)」(詩の発表戦後)における女性像は、謎の女性束の間姿を見せて消えてしまう「不在」の女性として1930年から31年にかけて詩に登場するアルティーヌやローラ・アバの系譜連なるのである。 なお、ヴァレンティーヌ・ユーゴー(フランス語版)の挿絵ドライポイント入り詩集回り道のためのびら』は、スペイン内戦勃発時に書き始められ、「スペインの子どもたち」に捧げられたものだが、第二次大戦勃発により発表戦後延期された。

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