教育、ビジネス、計算機科学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/08 04:31 UTC 版)
「PET 2001」の記事における「教育、ビジネス、計算機科学」の解説
1980年、4000 シリーズのPETが登場した。従来より大きめの12インチのモニターを採用し、CRTCを一新、BASICも 4.0 となってディスク対応コマンドが追加された。このころコモドールは、3000シリーズの顧客が32kB版を買わずに8kB版や16kB版を購入してメモリを自分で追加することが多いということに気づく。そこで4016からメモリ拡張用のソケットを取り去った。4032は学校が大量に購入した。金属製の頑丈なケースでオールインワン設計であることが、教室での乱暴な使用にもよく耐えると評価されたためである。また、他の用途ではあまり活用されていなかった IEEE 488 ポートも学校では重要な役割を果たした。これをうまく使えばLANを構成でき、当時まだ高価だったプリンターやディスクドライブを教室内の全マシンで共有可能だった[要出典]。なお当時のPETの内蔵ROMにはIEEE-488ポート用機能がなく、ユーザーが自前でプログラムを組む必要があった。 PETシリーズとしてはさらに2つのマシンがリリースされている。8000シリーズは4000シリーズと同様CRTCに日立HD46505(またはセカンドソースのモトローラ6845)を採用、12インチモニタで80x25文字表示とし、ビジネス志向を強めていたが、反面、画面表示に関しては従来機種との互換性が乏しいものとなってしまった。そのため、人気は低迷した。8032は32kBのRAMを搭載しているが、さらに64kBを追加可能である。後に最初からRAMを追加した状態の 8096 も登場している。8000シリーズにはサウンド発生用にスピーカーも1つ内蔵されていた。 2001/3000/4000 シリーズのPETのキーボードは「グラフィックスキーボード」と呼ばれていた。数字はテンキー部分にしかなく、通常数字があるアルファベットの上の一列には記号しかない。3032と4032にはBモデルという特別な機種があり、「ビジネスキーボード」と呼ばれる一般的なキー配置のキーボードを採用していた。8000シリーズでは全機種がビジネス仕様のキー配置になっている。 4000/8000シリーズは従来よりもビジネス指向を強めており、そのためにBASICを強化している。5.25インチおよび8インチのFDD装置を各種取り揃え、さらに5MBと7MBのHDD装置も用意された。ヨーロッパではビジネス用途でそれなりに人気となったが、アメリカではビジネスで標準的となったCP/Mが動作しないPETは振るわなかった。 上述したように4000/8000シリーズではモニターが大きくなっており、ビデオコントローラも従来とは異なる。このため "the killer POKE" と呼ばれる重大な非互換問題が生じた。2001/3000シリーズにはとあるレジスタがあり、それを有効にするとビデオRAMへのアクセスを走査線が垂直に戻る間(垂直帰線消去時間)だけに制限し、画面のちらつきを防ぐことができる(CPUとビデオコントローラがVRAMに同時アクセスしようとするとちらつきが発生する)。通常この機能は電源を入れたときから有効になっていた。ちらつきが気にならない場合は、ユーザーがそれを無効にでき、文字出力を高速化できる。BASICプログラムや機械語のプログラムでは、性能向上のためにこの操作を行うのが一般的だった。4000/8000シリーズではCRTCチップを採用しているため、従来のようなちらつき問題は発生しない。しかし、従来VBLANKの有効/無効の切換え用レジスタがあったアドレスにCRTCの制御レジスタを配置している。そのため、従来機種用のプログラムがちらつき防止機能の切換えをしようとすると、モニターの同期がおかしくなり、フライバックトランスを壊してしまうことがある。したがって2001/3000シリーズ向けのプログラムは4000/8000シリーズ向けに改造する必要があった。 シリーズの最後となったのはSP9000で、SuperPET あるいは MicroMainframe などとも呼ばれた。このマシンはウォータールー大学でプログラミングを教える目的で設計された。CBM 8000 シリーズのハードウェアを基本とし、MC6809を第2のCPUとして追加し、RAMも増やしている。6502で動作するBASICと6809で動作する APL、COBOL、FORTRAN、Pascal が内蔵ROMにあり、6809向けにはフロッピーディスクでアセンブラが用意された。端末プログラムも用意されており、大学にある多数の端末の代替としても使える。そのため、SuperPET上でプログラムを開発し、完成してからそのプログラムをメインフレームにアップロードするというリモート開発環境としても利用できた[要出典]。 コモドールはPETシリーズの後継としてCBM-II(英語版)シリーズ(Bシリーズとも)をリリースした。しかし、あまり成功せず、最終的に販売停止となった。しかしPETシリーズの需要はあったため、CBM-II の筐体の設計を従来のPETシリーズに流用したものが登場している。この筐体はキーボードが分離していたため SK (separated keyboard) と呼ばれている。モニターも首振り機構が追加されている。当初 8032 の基板をそのまま使っていたが、後にSK用の新マザーボードを設計し、64kBの拡張メモリを直接マザーボードに搭載した 8296 を発売。また、FDDを2機内蔵した 8296-D も登場した。 公式にはPETシリーズの一部とはされないが、1983年、コモドールはC64のマザーボードを4000シリーズによく似た筐体に収めた Educator 64(英語版) をリリースした。これは、Apple IIe に奪われた教育市場で挽回しようとしたものである。
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