尿
『ガリヴァー旅行記』(スウィフト)第1編第5章 「私(ガリヴァー)」がリリパット(小人国)に滞在中、皇妃の居間から火事が出て、宮殿全体が焼失しそうになった。小人たちの手では消火不能だったので、「私」は多量の尿を放出して、3分間で大火を消した。
『ガルガンチュア物語』第一之書(ラブレー)第17章 パリ見物に出かけた巨人ガルガンチュアは、ノートルダム大聖堂の塔の上へ腰をおろして休憩した後、大勢のパリ市民めがけて放尿する。そのために溺れ死んだ者の数は、女子供を除いて26万418人だった。
『詩語法』(スノリ)第27章 トールが巨人ゲイルレズの館を訪れる途中、大きな川を渡っていると、水かさが増して肩まで没する。それは、ゲイルレズの娘ギャールプが川の両岸をまたいで、放尿したためだった。トールは「水源で塞き止めねばならぬ」と言って、大きな石を彼女に投げつけた。
『日本書紀』巻1・第5段一書第6 一云(あるにいはく=一説に言う)。ヨモツヒサメに追われて逃げるイザナキが、大樹に向かって尿をすると大きな川になった。ヨモツヒサメが川を渡ろうとする間にイザナキはヨモツヒラサカに到り、黄泉国から脱出できた。
『パンタグリュエル物語』第二之書(ラブレー)第28章 巨人パンタグリュエルは、ディプソード人たちと戦った時、敵陣に向けて尿をし、敵兵をことごとく溺死させた。そして十里四方が局地洪水となった。
★2.女が尿をする夢は、王を産むことを意味する。
『歴史』(ヘロドトス)巻1-197 メディアのアステュアゲス王は、ある時、自分の娘マンダネが放尿して町中に溢れ、さらにアジア全土に氾濫する、との夢を見た。これはマンダネの産む子が、アステュアゲスに代わって王となることを意味していた。
*山頂で尿をし、流れて国内に行きわたる→〔夢の売買〕1の『三国史記』巻6「新羅本紀」第6・第30代文武王前紀。
石になった花嫁の伝説 平久保村の娘が、いやいやながら川平(かびら)村へ嫁に行く。馬に乗って何キロか来た所で、娘は小用を催し、馬から下りて藪に入る。いつまでも戻って来ないので、皆が探しに行くと、娘はしゃがんだまま、石になっていた(沖縄県石垣市)。
嫁ケ島(高木敏雄『日本伝説集』第23) 出雲国宍道湖に氷が張り詰めた時分に、氷の上を嫁入りの行列が通った。花嫁が小用に行きたくなり、氷の上で用をたすと、氷が溶けて花嫁は湖に沈んでしまった。その花嫁が1つの島になったのが、今の嫁ケ島である。
『岩かげのアカマター』(沖縄の民話) 畑仕事をする乙女が小用をもよおし、岩かげで用をすませて戻ろうとすると、岩の後ろの方から、赤い鉢巻をした美青年がちらっと顔を出した。乙女はこの美青年に魅せられてしまい、そこから動こうとしない。百姓たちは「アカマターの仕業だ」と知って、いそいで乙女を畑へ連れ戻し、アカマターと情を通じないうちに助けることができた〔*アカマターの正体は蛇〕。
*女が尿をして蛇に魅入られ、動けなくなる→〔目〕1bの『今昔物語集』巻29-39。
*女が尿をして妊娠する→〔太陽〕1aのうつぼ舟の伝説(天道童子の伝説)。
★4.修行者の尿をなめて、鹿が子を産む。
光明皇后の誕生と女鹿の伝説 和泉国の智海上人が山で修行中、女鹿が来て上人の尿をなめ、懐胎して少女を産んだ。少女は近隣の媼に預けられ村里で育ったが、7歳の時、この地を通りかかった藤原不比等に見出されて、都へ上った。この少女こそ、後に聖武天皇の妃となった光明皇后である(大阪府和泉市室堂町)。
★5.寝小便。
『にんじん』(ルナール)「失礼ながら」 「にんじん」は、時々寝小便をした。母親はその跡始末をする時に、ベッドに残った寝小便を木のへらですくって、スープに溶け込ませた。母親はスープを「にんじん」に飲ませ、「ああ、汚い。お前は食べたんだよ。自分のやつをね。昨夜のやつをさ」と言った。
尿検査(ブレードニヒ『ヨーロッパの現代伝説 悪魔のほくろ』) 徴兵検査の時、ある青年が、ガールフレンドが糖尿病であることを利用して、彼女の尿サンプルを提出した。「糖尿病ゆえ兵役不適格」と判定されることをねらったのである。後日、青年のもとに通知が来た。「あなたは糖尿病であるばかりでなく、妊娠もしているので、記載された日時に営舎に出頭して下さい」。
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