宇宙葬とは? わかりやすく解説

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うちゅう‐そう〔ウチウサウ〕【宇宙葬】


宇宙葬

月面に葬られたシューメイカー博士

1999年7月31日アメリカ打ち上げた月探査機ルナプロスペクター周回軌道での観測終え月面クレーター激突しました。この探査機には、1997年亡くなったアメリカ天文学者、ユージン・シューメイカー博士(木星衝突したシューメイカー・レビー第9衛星発見者)の遺灰一部積み込こまれており、地球以外の天体葬られる初めての例となりました遺灰積み込んだのは博士教え子たちで、もともとクレーター研究第一人者で、自ら月へ行くことを願っていた博士思いは、月面への衝突によってかなえられました。

ユージン・シューメイカー博士の遺灰の一部がつみこまれた月探査機ルナプロスペクター(想像図)
ユージン・シューメイカー博士遺灰一部がつみこまれ月探査機ルナプロスペクター(想像図)

「月面葬」ビジネスも出現し賛否両論

アメリカベンチャー企業セレスティス社は、月に遺灰を送る「月面葬」ビジネス始めると発表し近い将来民間ロケット打ち上げる構想たてました費用はひとり100万円です。遺灰7グラムカプセルにおさめ、200人分を送る計画で、2003年までに4回の打ち上げ行いました日本人13人を含む約100人の遺灰地球周回する軌道打ち上げてます。
こうした「宇宙葬」や「月面葬」に対しては、賛否両論ありますシューメイカー博士場合にも、他の天体地球からのゴミ持ち込むべきではないという批判の声あがったほか、月の利用に関する国際ルール決めることが先決だという意見出されるなど、さまざまな議論をよんでいます。


宇宙葬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/16 20:11 UTC 版)

トーラスロケットによる打ち上げ(1998年2月10日)

宇宙葬(うちゅうそう)は、故人の遺骨などをカプセルなどに納めてロケット等に載せ、宇宙空間に打ち上げる、散骨の一種である。

概要

打ち上げるロケットには容積・質量の制約があることから、多くの例ではシリンダー状の容器に数グラムの遺骨を装填し、数十ないしは数百人分の遺骨を同時に打ち上げる方法がとられる。2004年に行われた例では150人分の「散骨」が行われた。打ち上げに用いるロケットは、費用削減のため既存の商業ロケットを転用している。 「宇宙葬」とはいうものの、実際にはロケット能力の制約などによって遺骨は地球の重力圏を離脱できず、地球周回軌道に乗せられる事が多い。そのため「スペースデブリの増加につながる」として、この行為に対する批判があった。

日本では2014年に『銀河ステージ』が宇宙葬に成功して以来最多実績を持ち、2018年には『エリジウムスペース』も流れ星供養に初成功した。『株式会社みんれび』が同社と協業して始めた『Sorae(ソラエ)』も宇宙葬のサービスを手がけている。2022年にはSPACE NTKが宇宙葬に成功した[1]。各社それぞれ、打ち上げ後に一定期間が経過すると遺骨が大気圏に突入して燃焼するようにしているなど、前述のスペースデブリ(宇宙ゴミ)対策を講じている模様。ちなみに、各社が提供する宇宙葬のプランには、人工衛星に遺骨を搭載するものをはじめ、月面や外宇宙に対して遺骨を打ち上げるものなど複数確認されている。

月面に対する例を挙げると、シューメーカー・レヴィ第9彗星の共同発見者であるユージン・シューメーカー1997年に交通事故で急逝したのち、2005年に遺骨が探査機ルナ・プロスペクターにより月に送られた。これは月面に対して遺骨が送られた初の例である。 また、冥王星の発見者クライド・トンボー1997年の死後、遺骨の一部が2006年に打ち上げられた冥王星探査機ニュー・ホライズンズに搭載された。これは外宇宙に向けて遺骨が打ち上げられた初の例である。 外宇宙や他の惑星へ向かう衛星は重量制限が厳しいため、かつては何らかの功績を残した著名人に限られていたが、現在は一般向けに販売されている。一般向けの例を一部挙げると、女優・島田陽子が『銀河ステージ』の宇宙葬を生前予約していることや、元プロ野球選手の富田勝もまた同社の宇宙葬で旅立ったなどがある。

なお、必ずしも全てが成功しているわけではなく、ロケットの発射失敗などで不調に終わる可能性もある[2]

歴史

初の宇宙葬とみられるものは、セレスティス社によって空中発射型ロケットのペガサスロケットを使い1997年4月21日に行われた。このロケットにはスタートレックのプロデューサージーン・ロッデンベリーや、ティモシー・リアリーなど24人分の遺骨が格納されており、カナリア諸島の上空11kmから発射された。このロケットは遠地点578km・近地点551kmで公転周期96分の楕円軌道に乗り、2002年5月20日にオーストラリア北部に落下した。

次の宇宙葬は前記のユージン・シューメーカーのものであり、1998年1月7日にアテナロケットを用いて月面に対する科学調査と同時に行われた。このロケットは1999年7月31日に月の南極付近に衝突した。

他に、次のような例がある。

  1. 1998年2月10日・30人分・トーラスロケットによる打ち上げ・地球周回軌道
  2. 1999年12月20日・36人分・トーラスロケットによる打ち上げ・地球周回軌道
  3. 2001年9月21日・43人分・トーラスロケットによる打ち上げ・地球周回軌道
  4. 2007年4月28日・スタートレック弾道軌道
  5. 2008年8月2日・ファルコン1による打ち上げ・地球周回軌道
  6. 2012年5月22日・ファルコン9による打ち上げ(「スタートレック」のスコッティ役を演じたジェームズ・ドゥーアン、宇宙飛行士ゴードン・クーパー、カントリー歌手ランディ・ヴァンウォーマー 他)・地球周回軌道[3]
  7. 2013年6月21日・31人分・ニューメキシコ州スペースポート・アメリカより打ち上げ・弾道軌道
  8. 2014年10月23日・24人分・ニューメキシコ州スペースポート・アメリカより打ち上げ・弾道軌道(『銀河ステージ』・フライト名「コネストガフライト」)
  9. 2015年11月6日・9人分・ニューメキシコ州スペースポート・アメリカより打ち上げ・弾道軌道(『銀河ステージ』・フライト名「トリビュートフライト」)
  10. 2019年9月17日・ニューメキシコ州スペースポート・アメリカより打ち上げ・弾道軌道(『銀河ステージ』・フライト名「スターシーカー・フライト」)
  11. 2018年12月4日・エリジウムスペースによる打ち上げ・地球周回軌道(『エリジウムスペース』・フライト名「流れ星供養」)
  12. 2019年6月25日・日本人9名分・フロリダ州ケネディ宇宙センターより打ち上げ・地球周回軌道(『銀河ステージ』・フライト名「ヘリテージ・フライト」)

フィクションでの宇宙葬

映画『エイリアン』をはじめとする宇宙を舞台とした諸作品において行われる、架空葬儀方法の一つ。日本の場合、アニメ『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』に代表されるように、宇宙船での長期航海中に乗員が死亡した場合に行われることが多い。死亡した者の遺体を納めた棺を宇宙船などから宇宙空間へ流すという現実における水葬を宇宙に置き換えた形式をとることが多い。

また幸村誠のマンガ『プラネテス』では21世紀中期までは宇宙葬が行われたものの、宇宙空間に放出された遺骨や遺体がスペースデブリになるために国際条約で禁止になるという世界を描いている。

脚注

  1. ^ 吉川美津子 (2022年4月26日). “「宇宙葬」を亡き娘にプレゼントした夫婦の心情”. 東洋経済. 2022年7月7日閲覧。
  2. ^ 宇宙葬打ち上げ失敗。120人の遺灰カプセルが砂漠に散る”. ギズモード (2023年5月23日). 2023年5月24日閲覧。
  3. ^ CNN.co.jp:「スター・トレック」俳優の遺灰、宇宙へ”. 2012年7月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月23日閲覧。

宇宙葬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/17 14:13 UTC 版)

銀河ステージ」の記事における「宇宙葬」の解説

同社が行う宇宙葬は「スペース・メモリアル」という名で、プランに関しては「宇宙飛行プラン」「人工衛星プラン」「宇宙探検プラン」「月旅行プラン」と全4種あり、「宇宙飛行プランに関して2014年フライト名:コネストガフライト)、2015年フライト名:トリビュートフライト)、2018年フライト名:スターシーカーフライト)と短期間複数回のフライト成功させている。なお、施行における価格面では、宇宙葬を事業軸とする『エリジウムスペース』と『株式会社みんれび』が協業して始めたSoraeソラエ)」に及ばないものの、成功実績多さによる信頼や安心のほか、提供プラン多さ他社との差別化図っている模様

※この「宇宙葬」の解説は、「銀河ステージ」の解説の一部です。
「宇宙葬」を含む「銀河ステージ」の記事については、「銀河ステージ」の概要を参照ください。

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