こどものひんこん‐りつ【子供の貧困率】
子どもの貧困率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 10:07 UTC 版)
経済協力開発機構公表 2008年10月に「Growing Unequal? Income Distribution and Poverty in OECD Countries」で子どもの相対的貧困率を公表。2005年の日本の子どもの相対的貧困率は14%であった。世界的には、より母親が働いている国では子どもの貧困率が低く「労働は貧困を減らす」というデータも同報告書には掲載されている。2005年の日本の母親の就業率は52.7%で、24か国中の平均を下回っている。日本ではひとり親の相対的貧困率が高く、無職では60%で30か国中ワースト12位と中位であり、有業のひとり親の相対的貧困率については58%で諸外国中ワースト1位だった。2012年1月27日公表の2008年現在データでは、ひとり親無職の相対的貧困率は52.5%で、有業では54.6%と働いているほうが貧困率が高くなっている。このため、キャロライン・ケネディ駐日アメリカ合衆国大使(第29代)からは「日本は、仕事をすることが貧困率を下げることにならない唯一の国」と評されている。2009年には所得再分配後の子どもの相対的貧困率は15.7%となっている。ただし、平成28年4月28日の参議院厚生労働委員会にて福島瑞穂議員がOECDの子どもの貧困でデータが示されない理由を尋ねたところ、厚労省は、相対的貧困率はOECDで定めて定義に基づき各国で数字を出すが「一応私どもはその定義に基づいた数字を使って算出をして先方とのデータのやり取りをしておりますが、OECDの基準自体が、各国、それぞれ国が違ったり制度が違ったりするので、何といいますか、技術的な面で調整というかそろわないところがあります」と明かし、「何度も先方から修正ですとか追加の作業の依頼がありまして、これは二十六年十月以降、何回かやり取りをしております」という中で「現在そのデータをやっている中で若干、何といいますか、異常値が出ていまして、例えば就業者がいる世帯の方が貧困率が高く出るとか、ちょっといろいろそういう問題がありまして、更に今向こうと調整をしております」「これは、調整が完了し次第、OECDの方には出したいと思っておりますが、(中略)ここはできるだけ正確を期して登録をしてまいりたい」と答弁しているため、先の有業者の相対的貧困率が無業者を超えていることは異常値であり、遡及して補正が入る可能性がある。 最新比較では子どもの相対的貧困率は33か国平均より高い。内閣府は、OECDによる国際比較研究においては、日本に関するデータは「国民生活基礎調査」が用いられており、ジニ係数や再分配効果が大きくなりやすいことに注意が必要と指摘している。 国連児童基金(ユニセフ)公表 日本を含む先進35ヶ国を対象に調査し、『Report Card 10-先進国の子どもの貧困(Measuring child poverty)』を2012年5月公表。日本の子どもの相対的貧困割合は、14.9%(約305万人)。35ヶ国の中で、相対的貧困率の高い方から9番目にランクされている。ただし、貧困率を可処分所得の50%でなく40%や60%で試算した結果も掲載があり、その場合には貧困率及び国際順位が変動している。2016年報告書『子どもたちのための公平性』では、日本は所得格差で下位だった。 厚生労働省公表 国民生活基礎調査の一環として実施。貧困率は、OECDの作成基準に基づいて算出している。平成24年(2012年)の「子どもの貧困率」(17歳以下)は 16.3%となっている。2012年度厚生労働省白書では、2000年代半ばまでのOECD 加盟国の相対的貧困率について日本が加盟国中大きい順から4位であったこと、うち子どもの貧困率は13.7%と30か国中ワースト12位であると記載されている。また、2003年以降のひとり親家庭の相対的貧困率は低減してきているが、子どもの貧困率はやや上昇傾向という状況にある。なお、都道府県別の統計は公表されていないが、各世帯から集められた個票は全て都道府県を通じて厚生労働省に報告されるため、各府県で自地区の結果は把握が可能である、または厚生労働省から匿名データの提供を受けることにより都道府県レベルでは分析が可能である。しかしながら、阿部彩によると「(日本の貧困率の)16.3%の元データである「国民生活基礎調査」にて、都道府県別集計ができれば少なくとも都道府県レベルの貧困率がわかります。しかし、都道府県別ではサンプル数が少なくなるため、厚労省ではこの集計をしていません。」 との見解が示されている。平成27年の子どもの貧困率は13.9%となっており平成24年より改善がみられる。 総務省公表 「全国消費実態調査」で公表している。2016年安倍首相が子どもの相対的貧困率が改善したと発言したが、この数値をもとに発言しているとされている。
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