沖縄県の子どもの貧困問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 00:52 UTC 版)
「子どもの貧困」の記事における「沖縄県の子どもの貧困問題」の解説
自治体別分析では、沖縄県内の子どもの貧困率が29.9%に上ることが2016年1月29日、都道府県で初めてとなる県の調査で分かった。2012年時点の全国平均16.3%の約2倍。子どもの3人に1人が貧困状態に置かれていることになる。ひとり親世帯の貧困率は58.9%で、全国を4.3ポイント上回った。内閣府では沖縄子供の貧困緊急対策事業として平成28年度予算で10億円(補助率10/10)で3年間地域の実情を踏まえた対策に集中的に取り組むことを予定している。沖縄県に関しては、河野太郎沖縄担当相は2021年5月の沖縄の日本復帰49年に関するインタビューで、沖縄の子どもの貧困率が高い理由の一つとして10代の妊娠率の高さと、若いうちの妊娠が引き金であることを問題とし、いかに若い人の妊娠率を下げるかについて言及した。また、性教育の重要さにも触れている。それに対し、地域の支援団体や沖縄大学教授など若年の母子支援に取り組む関係者からは反発の声が上がっていると報道されている。しかしながら、官民が協力して作成した「沖縄子どもの貧困白書」において沖縄県子どもの貧困対策計画を担当した沖縄県の所管課長も、県の子どもの貧困率の高さの要因を核家族化の進展などにより子育て家庭の養育力やひとり親家庭の出現率が高いことなどがあると分析している。その2016年参考指標では離婚率が全国1.75%で沖縄は2.51%、母子世帯割合が全国1.46%で沖縄は2.72%、非婚母子世帯も全国7.8%で沖縄12.2%となっている。当事者団体のしんぐるまざーすふぉーらむ沖縄も母子世帯出現率、若年出産率、DV相談件数などいずれも全国の2倍であり、別れた子の父からの養育費受け取り状況が全国より低調であること、低賃金の現状に言及している。支援者からは10代の若年出産が多い沖縄県の特徴から学業の中断や、低学歴による就労不利、若年層であることでの生活力不足などが心配されており、乳幼児ネグレクト率も高い。教育困難校の現場からも、高校に進学しない最も懸念する子供は全てひとり親世帯で全体のひとり親世帯が3割を占めており、卒業後何人かは間もなく母親になり若年層妊娠の負の連鎖が語られている。また、デキ婚率も平成22年度全国25.3%に対し、沖縄県が42.4%と全国1位となっている実態がある。日本では緊急避妊薬が処方箋なく薬局で購入できず、諸外国で認められている経口中絶薬やインプラントや皮膚に貼るシールなどによる避妊法が未承認で女性自身が主体的に避妊する手段が少ない状況にある。おきなわ子ども未来ネットワークは、厳しい経済状況にある女性が望まない妊娠を防げるよう子宮内避妊用具(リング)の費用を援助する「リングキャンペーン」を行ったが、医療関係者や保健師が避妊を勧めても、男性が協力しない、避妊具を準備するお金がないなどの事情で進まないことがあり報道で希望者が殺到したため受付を一時停止した。沖縄県の若年妊娠率は2.6パーセントと全国平均の2倍である状況を支援団体も憂えており、その背景には性行為やその先にある妊娠に関する知識不足、家庭の貧困問題、親からの暴力など、いろんな原因が絡み合っているがその子どもたちの共通点として、親子間の『関係性の貧困』と挙げている。
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