大唐三蔵取経詩話とは? わかりやすく解説

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大唐三蔵取経詩話

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 15:55 UTC 版)

西遊記の成立史」の記事における「大唐三蔵取経詩話」の解説

『大唐三蔵取経詩話』(および、同内容の『新雕大唐三蔵法師取経記』。以下『詩話』と記す)は、南宋時代1127年 - 1276年)に刊行された「『西遊記』原型となった物語であり、現存する刊行物としては、最古白話文学口語文体で書かれ作品)である。初版がいつ刊行されたかは不明であるが、南宋期であることは疑いなく、『水滸伝』の原型となった説話大宋宣和遺事』や、同じく『三国志演義』原型となった『三国志平話』が、それぞれ元代成立したのに比べ、かなり早い時期成立したのが注目される。『詩話』の分量それほど多くないものの、それまで語られてきた様々な三蔵伝説を採り入れ途切れていたエピソード群を初め体系的なストーリーとしてまとめたものである刊行南宋であるが、話の内容北宋時代にはすでに流布していたらしく、北宋の都開封西夏などで内容反映した絵画残っている。 刊行された『詩話』の原本中国では早く散佚し、日本高山寺長く保管されいたもの復刻されている(寛永10年1633年)の『高山寺聖教要録』に記載されており、それ以前高山寺将来されたものとみられる)。上中3巻から成り、3散佚している。ほぼ同内容の『新雕大唐三蔵法師取経記』の方も、高山寺所蔵していたもの徳富蘇峰入手し羅振玉借覧して1955年に『詩話とともに影印本として刊行している。こちらも3巻立てであるが、1巻半分2巻全部失われている。 巻末には「中瓦子張家印」と刻されている。瓦子瓦市とも)は都市盛り場のことで、様々なジャンル講談説話)が、勾欄呼ばれる寄席見せ物小屋語られていた。中瓦子その中で首都杭州臨安)で賑わい見せた瓦子だったらしい(『夢録』)。『宣和遺事』や『三国志平話』同様に瓦子営業し講釈師種本として使われたと見られ文言文語文)に近い白話文体で書かれている。「詩話」の書名通り一連の話の後に詩が記載されている体裁をとる。ただし後代白話小説においては地の文作者状況合った詩を挟み込むスタイル普通だが、『詩話においては登場人物の口から直接詠じられているのが特色であり、この形式散文である「長行」と韻文である「偈頌」が交互に現れる漢訳仏典影響見られるという。なお『詩話』では後の明代通俗小説同様に話の区切りを巻とは別に17章分けているが、これも漢訳仏典(「巻」のほかに「品」を区切りとする)の影響見られ、章回小説嚆矢であるとまでは言えない同時代物語に章回を区切ったものはなく、章回小説成立明代後期と見られる)。

※この「大唐三蔵取経詩話」の解説は、「西遊記の成立史」の解説の一部です。
「大唐三蔵取経詩話」を含む「西遊記の成立史」の記事については、「西遊記の成立史」の概要を参照ください。

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