変動性と関連問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 09:39 UTC 版)
「イギリスの風力発電」の記事における「変動性と関連問題」の解説
詳細は「風力発電#出力変動」を参照 季節による風容量係数季節日中夜間昼夜冬44% 36% 38% 夏31% 13% 20% 風力発電は変動的な資源であり、ある発電所においてある時点で生みだされる電力量は、(他の要因の中でも)風速、空気密度、およびタービン特性に依存する。 風速が低すぎる(約2.5m/s未満)場合だと風力タービンは電力を供給できず、風速が高すぎる(約25m/s超)場合では損傷を避けるためタービンを稼働停止する必要がある。この場合、他の電力資源が需要を満たす能力を持っていなければならない。2009年に公表されたイギリスの風の変動性に関する3件の報告書は、風の変動性が送電網を制御不能にさせることはなく、若干の追加費用を定量化させることに概ね同意している。イギリスにおける最大20%の風力発電市場普及に関する調査は、費用が3-5ポンド/MWhだと示している。イギリスでは夏よりも冬のほうが電力需要が高く、それは風速も同じである。 単一タービンからの出力は、局所的な風速の変化に応じて大幅かつ急速に変化する可能性があるが、より大量のタービンがより広大なエリアに接続されると、平均出力はさほど変化しない。グラハム・シンデンによる研究では、実際のところ、数千の風力タービンの変動が幾つかの異なる場所や風況に広がって、途切れ途切れにはならず滑らかになることが指摘されている。場所間の距離が長くなると、各地点で測定された風速の相関関係は減る。 スコットランド政府の広報担当者は、再生可能エネルギーによって生じた電力がスコットランドの電力使用量の27%を占めると述べている。 2011年4月5-6日の夜、スコットランドの風は強く、激しい雨が降っていたため、通常よりも多くの水力発電が生じた。送電網が過負荷になってイングランドへの電力送達が妨げられ、結果的に風力発電が停止した。 その結果として風力発電事業者は、生みだせたであろう電力の20倍と推定される「系統制約解消費(constraint payments)」で知られる補償金(合計約900,000ポンド)をナショナル・グリッドによって支払わされた。エネルギー・気候変動省(DECC)の報道官は、この出来事を異常であると説明し、より大きなエネルギー貯蔵容量とより良い電力配分インフラの必要性が示されたと述べた。風力エネルギー供給業者への「系統制約解消費」の支払いは、風力発電の使用およびその実施に対する批判の原因の1つとなっている。 2011年には、潜在的な発電損失量の10倍に相当する約1,000万ポンドの系統制約解消費が受け取られるだろうと推算された。 供給が変動する性質のため、風力エネルギーの大規模な使用をサポートするために必要とされる予備またはバックアップの必要量に関して、いくつかの論争がある。 2008年の貴族院経済問題委員会への提出で、E.ON UKは最大80-90%のバックアップが必要であると主張した。他の研究では、設置された間欠的容量の15%から22%という必要条件が与えられている。配電網のバランスを取る責任があるナショナルグリッドが2009年6月に報告したことでは、配電網は多くをバックアップに費やすことなく風力エネルギーのオンオフに対処することができるが、それはいわゆる「スマートグリッド」を使用したり、エネルギー貯蔵技術を開発したり、他のヨーロッパとの相互接続を増強したりしてピーク時の電力を分散することによってのみ可能だとした。 2011年6月、セントリカを含むエネルギー企業数社は、風力発電のバックアップ発電として機能するために、2020年までに100億ポンドの費用をかけて17ヵ所のガス火力発電所が必要になると政府に伝えた。しかし、それらは多くの時間が待機状態になるため、投資を経済的にするために、すでに風力に支払われている補助金に加えて「容量支払制度」が必要となる模様である。 2015と2016年に、ナショナルグリッドは10基の石炭火力発電所およびガス火力発電所と契約し、全ての発電モードで予備容量を維持した。その費用は1億2,200万ポンドで、これは平均電気料金の0.3%に相当する。
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