石炭火力発電所とは? わかりやすく解説

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石炭火力発電所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/01 14:35 UTC 版)

ポーランドベウハトゥフ発電所英語版
ドイツ・グレーヴェンブローホのフリマースドルフ発電所英語版
石炭火力発電所の模式図
電力生産における石炭発電の割合

石炭火力発電所(せきたんかりょくはつでんしょ、英語: coal-fired power stationまたはcoal power plant)は、石炭褐炭燃料として発電する火力発電所である。世界中に約8,500の石炭火力発電所があり、合計で2,000ギガワットを超える容量がある。これらは世界の電力の約3分の1を発電しているが[1]、主に大気汚染により、多くの病気や早期死亡を引き起こしている[2]

石炭火力発電所は、化石燃料を用いる汽力発電の一種である。通常、石炭は微粉炭に加工され、微粉炭焚きボイラー燃焼させる。その熱で水を蒸気変換し、それを使用して蒸気タービン動力を発生させ、発電機を回転させる。したがって、石炭に蓄えられた化学エネルギーは、熱エネルギー機械エネルギー、最後に電気エネルギーへと順番に変換される。

石炭火力発電所は、毎年10ギガトン以上の二酸化炭素を排出しており[3]世界温室効果ガス排出量の約5分の1に相当する[1]。世界の石炭火力発電所の半分以上が中国で稼働している[4]。ヨーロッパ[5]とアメリカ[6]での廃止が進むにつれて、2020年には石炭火力発電所の総数が減少し始めた[7][8]。しかし、まだアジアでは建設が行われており、ほぼすべては中国で建設されている[9]石炭産業によって引き起こされる人々の健康と環境への影響のコストが発電コストに盛り込まれていないため、利益を上げ続けている発電所もあるが[10][11]、新しい発電所が座礁資産になるリスクがある[12]国連事務総長は、OECD諸国は2030年までに、その他の国々は2040年までに石炭火力発電の段階的廃止英語版をすべきであると述べている[13]

歴史

ロンドンのホルボーン高架橋発電所英語版。世界最初の公共の蒸気駆動の石炭発電所であり、1882年に営業を開始した。

最初の石炭火力発電所は19世紀末に建設され、レシプロエンジンを使用して直流電力を発電した。20世紀の初めになると、蒸気タービンを用いて大規模な発電所が建設できるようになり、広範囲の地域に電力を提供するために交流電力が使われるようになった。

出典

  1. ^ a b It's critical to tackle coal emissions – Analysis” (英語). 国際エネルギー機関 (2021年10月8日). 2021年10月9日閲覧。
  2. ^ Post, The Jakarta. “Killed by coal: Air pollution deaths in Jakarta ‘may double’ by 2030” (英語). The Jakarta Post. 2022年4月8日閲覧。
  3. ^ CO2 emissions – Global Energy Review 2021 – Analysis” (英語). IEA. 7 July 2021閲覧。
  4. ^ “China generated over half world's coal-fired power in 2020: study”. Reuters. (28 March 2021). https://www.reuters.com/article/us-climate-change-china-coal/china-generated-over-half-worlds-coal-fired-power-in-2020-study-idUSKBN2BK0PZ 14 September 2021閲覧. "China generated 53% of the world’s total coal-fired power in 2020, nine percentage points more that five years earlier" 
  5. ^ Piven, Ben. “EU power sector emissions drop as coal collapses across Europe”. www.aljazeera.com. 21 March 2020閲覧。
  6. ^ Roberts, David (14 March 2020). “4 astonishing signs of coal's declining economic viability”. Vox. 21 March 2020閲覧。
  7. ^ Morton, Adam (3 August 2020). “More coal power generation closed than opened around the world this year, research finds”. The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/environment/2020/aug/03/more-coal-power-generation-closed-than-opened-around-the-world-this-year-research-finds 4 August 2020閲覧。 
  8. ^ “The dirtiest fossil fuel is on the back foot”. The Economist. (3 December 2020). ISSN 0013-0613. https://www.economist.com/briefing/2020/12/03/the-dirtiest-fossil-fuel-is-on-the-back-foot 12 December 2020閲覧。 
  9. ^ “China pledges to stop building new coal energy plants abroad” (英語). BBC News. (22 September 2021). https://www.bbc.com/news/world-asia-china-58647481 22 September 2021閲覧。 
  10. ^ https://haas.berkeley.edu/wp-content/uploads/WP294.pdf
  11. ^ Davis, Lucas (21 September 2020). “Time to Vote Out Coal”. Energy Institute Blog. 27 September 2020閲覧。
  12. ^ Harrabin, Roger (12 March 2020). “Coal power developers 'risk wasting billions'”. BBC News. https://www.bbc.com/news/business-51852637 
  13. ^ “The dirtiest fossil fuel is on the back foot”. The Economist. (3 December 2020). ISSN 0013-0613. https://www.economist.com/briefing/2020/12/03/the-dirtiest-fossil-fuel-is-on-the-back-foot. 

外部リンク


石炭火力発電所

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火力発電所」の記事における「石炭火力発電所」の解説

詳細は「石炭火力発電所」を参照 火力発電黎明期から使用されている。2017年時点で世界電気38%(最大割合)が石炭作られている。日本ではかつて国内使用であったが、近年海外炭であるほか、細かな粉末微粉炭)にして燃焼している。オイルショック以降石油火力から転換した発電所も多い。中には石炭から石油転換後石炭再転換した発電所もある。 石炭世界広く分布するため、燃料安定供給性や経済性優れベースロード電源として運用されている。近年石油火力に代わって建設され60100万kW級の大型火力主力である。 発電効率上のため、近年では超々臨界圧(蒸気温度593以上、蒸気圧力24.1MPa以上)のボイラーおよび蒸気タービン採用している。 石炭燃焼させた後の灰(フライアッシュ)はセメント原料として外部売却されるほか、埋立用としても使用される石炭火力二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量が最も多いため、地球温暖化対策足かせになっている。その対策として発電効率の向上やCO₂分離回収貯留技術推進などが行われている。 「火力発電#長所と短所」を参照 また、煙突よりばい煙噴出し公害イメージするものとして描かれる事が多かったが、日本では集塵装置始めとする諸設備により大気汚染防止対策が採られている。一方こうした対策講じられていない国も多くあり、中国の例では2011年北京市天津市河北省存在する発電所ばい煙により、呼吸器疾患等で9,900人が死亡したとするデータもある。 採用北海道電力 苫東厚真発電所1,2,4号機 (総出165kW電源開発 松島火力発電所1、2号機(各50kW):石炭火力では日本初超臨界ボイラーおよび蒸気タービン採用日本初め海外炭を使用JERA 碧南火力発電所1~5号機(計410kW):石炭火力では日本最大発電量。3号機日本初超々臨界ボイラーおよび蒸気タービン採用電源開発 松浦火力発電所1号機100万kW):1号機石炭火力では日本初100万kW機。2号機は主蒸気圧力24.1M㎩、主蒸気温度593再熱蒸気温度593達成した世界初大規模超々臨界火力発電所電源開発 橘湾火力発電所1、2号機(各105kW):単機出力火力発電所では日本国内最大日本発電用石炭輸入相手国は、オーストラリア 72%、ロシア 13%、インドネシア 9%、アメリカ合衆国 3%、カナダ 2%、その他 1%である。

※この「石炭火力発電所」の解説は、「火力発電所」の解説の一部です。
「石炭火力発電所」を含む「火力発電所」の記事については、「火力発電所」の概要を参照ください。

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