国会議員選挙の制度
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国会議員選挙においても大統領与党勢力が、院内の安定多数勢力を確保するために様々な選挙制度改正が行なわれてきた。具体的には、維新体制(第四共和国)時代は国会の三分の一を大統領が推薦(事実上の任命)する制度が導入されたり、全国区の三分の二あるいは半分を第一党に自動的に配分するなどの制度が導入された。また、民主化宣言後に導入された比例代表制でも、全国区の有効得票総数が3%未満、あるいは地方選挙区の獲得議席数が五議席未満の政党には全国区議席の配分資格を与えないなど、群小政党を排除する制度が作られている。 1988年以降の第六共和国の国会議員選挙では一貫して小選挙区比例代表並立制が採用されているが、小選挙区(地域区)の比率が選挙を重ねる毎に大きくなっており、比例代表部分は二割弱に留まっている。比例代表部分は、第14代総選挙では地域区で獲得した議席数に応じて各政党に比例配分され、第15代・第16代では地域区の候補者の得票率に応じて各政党に比例議席配分されていた。だが、違憲判決を機に2004年の第17代総選挙から二票制が導入され、政党に投ぜられた得票に応じて配分される方法となった。更に、公職選挙法(朝鮮語版)改正によって議席の配分方法が変更され、2020年の第21代総選挙から政党得票率と比して地域区での獲得議席が少なかった政党は配分議席数が優遇される。なお獲得票が3%未満の政党、若しくは地域区の獲得議席が5議席未満の政党は比例代表における議席配分の対象外となる。 歴代総選挙における選挙制度の変遷代院構成選挙実施年月日選出方法選挙制度定数任期備考第一共和国初代総選 単院制 1948年5月10日 直接選挙 小選挙区制 200 2年 憲法を制定するための制憲国会の議員を選出するために行われた。 第二代総選 単院制 1950年5月30日 直接選挙 小選挙区制 210 4年 定数が前回より10議席増。 第三代総選 単院制 1954年5月20日 直接選挙 小選挙区制 203 4年 定数が前回より7議席減。 第四代総選 単院制 1958年5月2日 直接選挙 小選挙区制 233 4年 定数が30議席増。 第二共和国第五代総選 両院制 1960年7月29日 直接選挙 民議院(下院) 小選挙区制 233 4年 民議院と参議院から構成される両院制の導入。 参議院(上院) 市・道単位の中選挙区制 58 第三共和国・第四共和国第六代総選 単院制 1963年11月26日 直接選挙(一票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 131 4年 無所属出馬は禁止。全国区は、地域区で第一党になった政党に、二分の一~三分の二を自動的に配分。 全国区(比例代表) 44 第七代総選 単院制 1967年6月8日 直接選挙(一票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 131 4年 同上 全国区(比例代表) 44 第八代総選 単院制 1971年5月25日 直接選挙(一票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 153 4年 選挙制度は前回と同じ、定数が29議席増。 全国区(比例代表) 51 第九代総選 単院制 1973年2月27日 直接選挙 地域区(中選挙区) 146 6年 三分の一は大統領推薦で統一主体国民会議が選出する。無所属候補の出馬も容認。定数は8議席増。 間接選挙 大統領推薦(維新政友会) 76 3年 第十代総選 単院制 1978年12月12日 直接選挙 地域区(中選挙区) 154 6年 制度は前回と同じ、定数は9議席増。 間接選挙 大統領推薦(維新政友会) 77 3年 第五共和国第十一代総選 単院制 1981年3月25日 直接選挙(一票制) 中選挙区比例代表並立制 地域区(中選挙区) 184 4年 全国区は地域区で第一党になった政党に、三分の二を自動的に配分。残りは地域区で各政党が獲得した議席に比例して配分される。定数は45議席増。 全国区(比例代表) 92 第十二代総選 単院制 1985年1月12日 直接選挙(一票制) 中選挙区比例代表並立制 地域区(中選挙区) 184 4年 選挙制度と定数は前回と同じ 全国区(比例代表) 92 第六共和国第十三代総選 単院制 1988年4月26日 直接選挙(一票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 224 4年 全国区は、地域区で第一党になった政党に、二分の一を自動的に配分する。定数が前回より23議席増員。 全国区(比例代表) 75 第十四代総選 単院制 1992年3月24日 直接選挙(一票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 237 4年 全国区のプレミア議席制度は廃止。 全国区(比例代表) 62 第十五代総選 単院制 1996年4月11日 直接選挙(一票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 253 4年 全国区の議席配分方法が議席比率による配分から得票率による配分に改められる。 全国区(比例代表) 46 第十六代総選 単院制 2000年4月13日 直接選挙(一票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 227 4年 選挙制度は前回と同じ、定数が26議席削減された。 全国区(比例代表) 46 第十七代総選 単院制 2004年4月15日 直接選挙(二票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 243 4年 二票制の導入。比例代表は政党票を基に各政党へ議席配分される方法に改正。定数が前々回と同じ299議席に戻された。 比例代表 56 第十八代総選 単院制 2008年4月9日 直接選挙(二票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 245 4年 選挙制度と定数は前回と同じ 比例代表 54 第十九代総選 単院制 2012年4月11日 直接選挙(二票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 246 4年 地域区の定数が1名増 比例代表 54 第二十代総選 単院制 2016年4月13日 直接選挙(二票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 253 4年 地域区の定数が7名増・比例代表の定数が7名減 比例代表 47 第二十一代総選 単院制 2020年4月15日 直接選挙(二票制) 小選挙区比例代表並立制 地域区(小選挙区) 253 4年 定数は前回と同じ。比例代表の議席配分は2つの計算式を用いる方法に改正。 比例代表 47 出典:孔義植・鄭俊坤共著『韓国現代政治を読む』芦書房117頁の表「国会議員選挙制度の変遷過程」。尚、備考に関しては西平重喜『各国の選挙-変遷と現状』(木鐸社)を参照した。
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